妄想日記

妄想・考察・スロット

夏休み前フォトメ相談室(2)

2006年07月07日 | コラム
■Q2■
『もらったメールには全て返信すべき?』

[質問]
 これからフォトメデビューしようと思っている50代ガチムチ系の者です。半年前から月に1回は必ずジムに通っているので30歳くらいにしか見られず、ゲイの集まる場所ではみんなのイヤラシい視線が私に集まるのが分かります。当然、ヤリ部屋では元をとらずに帰ったことはありません。(もっとも、ああいう場所にイケメンはいないので、相当妥協しています)
 そんな私ですが、そろそろ特定の恋人が欲しくなりました。
 フォトメに載せようかと思うのですが…ただ、イケてない人からのメールには返信する気になれないのです。
 もちろん投稿文には、
「身長180㎝以上・水泳体型・坊主・一重・20歳前後のさわやか系・バリタチ・デカマラ・ちょいS←これらに全て該当する人以外にはレスしません!」
 と、タイプを明記するつもりです。
しかし、それでも勘違い野郎からメールが来てしまった場合、やはり返信しなければいけませんか。


[回答]
 まさかアナタの口から「勘違い野郎」などという言葉が出るとは驚きでした。今年のフォトメびっくり大賞にノミネートしておきます。

 ところで、ファミレスのドリンクバーは50杯お代わりしても元がとれないのだそうですが…ハッテン場で元をとらずには帰らないというアナタがいったいどれだけハッスルしてらっしゃるのか、気になります。(ひょっとして、「相当妥協しています」…というのは、ウサ晴らしに無料コンドームをごっそり持って帰ることなのでしょうか…)

 さて、ご質問にお答えしましょう。
 フォトメに載せたら、気の進まない相手にも返信するべきでしょうか?

 マナーの観点から言えば、そのとおりです。もらったメールには、すべからく返信すべきでしょう。
 …が、そもそもマナーとは、
「自分がされたくないことは人にもしない」
 という思考の中から生まれた相互協定のようなもの。
ですから、もしあなたが逆の立場に立たされたときに不快に感じないと思うのであれば、メールを返さなかったところでなんの差し障りもありません。法律に触れるわけでもないですし、せいぜいアナタが世間の批判を浴びれば済むだけのことです。

 しかしおそらくアナタは、
「メールを返さないことはそんなに悪いことだろうか」
とは思うとしても、決して
「世間の批判を浴びたい」
 と思っているわけではないですよね?
 そうであるならば、世間の批判を軽減する措置を講じてみてはいかがでしょう。

 そのためにはまず、あなたの投稿文案にある、
「これらに全て該当する人以外にはレスしません!」
 という文章を見直す必要があります。
 どこがよくないのかというと、もっとも目に余るのは「!」(感嘆符)です。
 これがあることによってこの文章には切迫感が生じているのですが、そのためにまるで、現実に「これらに全て該当」しない人からウンザリするほどメールが届いていて、おかげで大迷惑を被っているのだ…と言わんばかりに聞こえるのです。そしてネットを通じてこの文章を目にした人にとっては、あたかもこの文章が自分に発せられたものであるかのように感じられてしまいます。何しろ、ほとんどの人はアナタのタイプに合致していないわけですから。
 ですから、彼らはあなたの投稿文を読んで、
(誰がオマエなんぞにメールしたよ!)
 と思うことでしょう。
 そう、
 アナタの書きぶりはまるで、スーパーの店員が店頭で拡声器を使い、買い物客に向かって
「万引きは犯罪です! 見つけたら直ちに警察に引き渡します!」
 と叫んでいるようなものなのです。客たちは、なんて失礼な店だろうと感じるとは思いませんか?

 またこの構図は、掲示板でよく見かける
「デブ・オヤジはマジ勘弁!」
 などという書き方にもあてはまります。
「勘弁(してほしい)」
 とお願いされてしまえば、「デブ・オヤジ」からのアクションがある(あった)ことが前提・既成事実となってしまいます。
 確かにこのレトリックはひとつのテクニックではあるのですが、しかし、使い方が大変に難しいのです。
 誰も言い寄ってこないうちから「マジ勘弁」願うというこの行為は、多くの場合、被害妄想・虚言妄言の類だと思われて終わりとなってしまうことでしょう。
 例えるなら、
「誰か助けて! 先生が…先生がいきなり私を!」
 と叫びながら、自らセーラー服を引き裂いて廊下へ走り出ていくようなものなのです。(どんな理由でそんな行為にいたったのかは知る由もありません…が、オカマ心をくすぐる行動ではあります。このあたりが、「マジ勘弁」が流行した理由のひとつかもしれません)

 では、どのように書けば無用な反感を買わず、かつ、タイプでない相手からのメールにレスしなくても済むのでしょうか。
 このことに限らず、掲示板上で最も慎まなければならないのは、
「何様!?」
 と思わせる発言です。上記の、
「レスしません!」
「マジ勘弁!」
 という書き方もこれに該当することはお分かりでしょう。
 「マジ勘弁」について若干の補足をすると…
 勘弁してほしい、という言葉は、腰を低くしてお願いする言葉です。しかし、願いを聞き届けてもらうために本来丁重に扱うべき相手を「デブ・オヤジ」と蔑んでみせることによって、この文章の本旨は請願の形を借りた揶揄にすぎなくなっているわけです。「何様!?」と思われても仕方がありません。

 ですから、イケない相手にメールを返さず、かつ、揶揄と受け取られないないように断るつもりであれば、
「予め頭を下げてしまおう」
 という発想が生まれます。
 そして、この発想に基づいた最近の流行りは、投稿文の最後にこういう↓一文を加えることです。
 
「メールなかったら、ごめんなさい」

 もちろん、メールを返さないことはマナー違反ですから、こういう言い訳をしておいたからといって許されるものではありません。
 ただ、
「レスしません!」
「マジ勘弁!」
 と書くことに比べれば、いくぶん誠実さが感じられる…というのが、流行の理由なのでしょう。
 …しかし、
 私はむしろ、この文章の不誠実さ、欺瞞が鼻についてなりません。
 おそらく意識せずに選んだ言葉遣いなのでしょうが、
 それにしても、
 なぜ、
「メールなかったら」
 なのでしょう。
 この書き方をした場合に焦点となっているのは、返信メールの「有る・無し」という、事象の問題です。
 が、本来ここで問題にすべきは、投稿者が返信を「する・しない」という、行為であるはずなのです。
 つまり書くとすれば、
「メールなかったら、ごめんなさい」
 ではなく、
「メールしなかったら、ごめんなさい」
 とすべきでしょう。投稿者の意志とは無関係に、自然現象のごとく返信があったりなかったりするなら話は別ですが。
 このように論点のすり替えがあまりに明白で、自分の行為に対して責任をとりたくないという(無意識的な)逃げが透けてみえる書き方をしてしまっては、せっかく「ごめんなさい」と謝ってみせても、誠実さのアピールにはなりません。むしろ不誠実さをアピールしているようなもので、その証拠に、こういった書き方をする投稿者の多くは数日後に再投稿をして、
「先日はたくさんのメールありがとう! 全員にはレスできなかったけど、まだまだ募集してるんで、メールよろしく!」
 というようなことを言ってのけたりします。「レスできなかった」と書いていますが、これも同様の責任放棄です。メールするもしないも投稿者の意志次第なのですから、それをあたかも外的な要因のせいで「できなかった」かのように言うのは欺瞞でしょう。(もっとも、メールをくれた人の外見が原因でメール「できなかった」のだ、と言いたいのかもしれませんが…)
 いずれにせよこれを見た全国の常識人から、
(全員にレスしてから募集しろよ!)
 というツッコミが入っているであろうことは、想像に難くありません。

 話を進めましょう。
 どうすれば、メールを返さなくても(比較的)許されるのでしょうか。
 許されない理由を考えてみたとき、
「メールしたほうの人間は返事を期待しているのだから、返すのが当然だ」
 というマナー論があることはすでに述べました。が、もうちょっと突っ込んで考えてみましょう。
 返信をもらえずに不快感を覚えた人間の心理は概ね、

A 「メールがないということは、ボクのことがタイプではなかったということなのだろう」(がっかり)

B 「しかしこちらは返事を期待しているのだから、タイプと違うなら違うで、そのことをきちんと伝えて断るべきではないのか」(ムカッ)

 という、A(哀)→B(怒)の思考を経たうえでの不快感なのだろうと思います。
 では、この思考経路A→Bを辿らせなければ、不快感というゴールには至らないのではないでしょうか。

 具体的に例をあげてみましょう。

 例えば、
「ぼくは誰にも返信しません。ごめんなさい」
 と書いておくのも手です。
 そうすれば、「誰にも返信しない」と公平な扱いを明言していますから、メールをもらえなかった人も、「自分がイケメンと判断されたかどうか」という思考ルートAに足を踏み入れることがなくなります。
 また、前提は「レス無し」だと断ってあるので、返信がなかったとしても、Bのように文句を言うことはできません。レス無しを了承したうえでメールを出したのですから。
 このとき注意すべきは、
「オヤジにはレスしません!」
 のように断り書きをしていた場合とは違う、ということです。
 どう違うのかといえば、「オヤジはレス無し」と条件付きの断りを入れていた場合には、相手が自分を「オヤジ」だと認識していない場合も多く、その場合、当人は「レス無し」を了承することなくメールを送ってきているからです。この場合、送り主は当然思考Bのように憤慨することでしょう。
 ですから、「無条件にレス無し」としておくのが一番問題がないのです。
 もっとも、
 もちろんあなたは、イケメンから届いたメールには全身全霊を傾けてレスを返すわけです。
「本当は誰にもメールを返さないつもりでしたが、あなたがとても気になったので…」
 とでも書いて返せば、ふたりのときめきタコメーターが一気に回転速度をあげるという効果もあります。

 こうしてみてみると、「誰にも返信しません」というのはなかなか便利な文句のようです。
 ただ問題は、
(何目的の投稿だよ!)
 と思われてしまっては意味がないのではないか、ということですが…
 しかし、投稿文を工夫すれば全く問題はありません。
 要は、
「イケるかどうかに関わりなく、誰にも返信しない」
 あるいは、
「不可抗力により、誰にも返信できない」
 という断りを入れておけばよいのです。

 では最後に、どのように自然なかたちで断りを入れるか、いくつか例をあげておきます。
 ぜひこれを参考にして、イケない相手からのメールに煩わされることなく、快適なフォトメライフを送ってください。


(回答者:鷺ヶ蔵能勢雄)
    


(参考:レスをしないための言い訳集)


(文例1)
 みなさんこんにちは! ぼくは、不治の病を患っているジャニ系の22歳です。
 会った人にはよく、「画像で見るより顔色が悪いね」って言われるかな!(^^)ヾ
 そんなボクですが、カレシを大ボシュウしちゃいます!
 でもイケメン担当医に明日をも知れないかもとか言われてるから、レスできなかったら死んでるんでごめんなさい m( _ _ )m

◎長所
・返信をしなくても、恨みごとを言われる心配がありません。(お悔やみは言われるかもしれません)
・余命があまりないなら後腐れなくていいかも…と考える人からたくさんメールをもらえます。
・純愛に飢えた善良な人々からもたくさんメールをもらえます。

×短所
・純愛に飢えた善良な人々からメールをもらえますが、彼らの純愛は相手が死んではじめて成就するので、早く死なないと何をされるか分かりません。
・「カレシ募集してる場合じゃねーだろ!」と、他人の揚げ足をとることしか楽しみのない心の貧しい人からもたくさんメールが届きます。
・2回以上投稿すると、ほとんどの人にスルーされるようになります。





(文例2)
 放置プレイ希望者募集!
 放置されたいヤツ、画像プロフつきでメールくれ!
 とりあえず全員放置するゼ!

◎長所
・メールを無視しても、かえって悦ばれます。

×短所
・メールをくれたイケメンと会っても、相手は放置希望者なのでイチャイチャできません。





(文例3)
 誰か助けてください! 私の中に69人の人間がいるんです!
 いまこの文章を書いている私(輝夜斗)はゲイです。でも、突然他の人格に体が支配されてしまいます。そのせいで、今までカレシとか全然つくることができませんでした。
 いま私がこういう投稿をしていることに、他の人格は気づいていません。だから、私しか知らないフリーメールのアドレスにメールをお願いします!
 もっとも、私の人格でいられる時間はごくわずかですから、返信できるかどうか分かりませんが…
 とにかく、よろしくお願いします! あ、画像とプロフは必ずつけてくださいね~。ちなみにネコです♪

◎長所
・可哀想な人だと同情してもらえる。
・人格を変えて何度でも投稿できる。
・メールをくれた人と実際に付き合うことになっても、多重人格を理由に遊び放題。

×短所
・会っている最中にときどき人格を変えてみせる必要があり、面倒。
・69も人格があるのに全ての人格がネコだったりするせいで、怪しまれやすい。



   (夏休み前フォトメ相談室・第2回 おわり)