阿部ブログ

日々思うこと

オーストラリアが潜水艦戦力を倍増させ中国海軍力に対処する

2013年05月28日 | 雑感
オーストラリアのギラード政権は、中国の海洋進出を受け、海軍力増強を企図し、現在6隻のコリンズ(Collins)級潜水艦を倍増し新型潜水艦12隻体制とする。オーストラリア政府は、今年2013年の国防白書で、次期潜水艦調達計画「Project Sea 1000」を明らかにし、400億豪ドル(約4兆円)の予算で、2020年から新型潜水艦を導入する。。コリンズ級は、スウェーデンのコックムス社(Kockums AB)に1987年に発注し、オーストラリア国内で建造した通常型潜水艦。
オーストラリアのシンクタンク・インデペンデント・リサーチは、米国の原子力潜水艦の購入を提案しているが、オーストラリア海軍は、スターリングエンジン(AIP:Air-Independent Propulsion(非大気依存推進))を搭載する海上自衛隊の「そうりゅう」型潜水艦に注目している。「そうりゅう」型の静粛性は、ドイツ海軍のUボート212A型と並ぶ程の性能を有すると言う。212型は燃料電池推進でその静粛性は世界一との評判だ。

オーストラリア海軍(RAN : Royal Australian Navy) は、水中排水量4000トンクラスの、通常動力型の大型潜水艦を要求しており、4000トン級の通常潜水艦は、海上自衛隊の「そうりゅう」型潜水艦であり、前述のUボート212A型の水中排水量は1830トンで2000トンに満たない中型艦。武器輸出三原則など廃棄して、インドに新明和の飛行艇を、オーストラリアには「そうりゅう」型を提供するべきで、中国海軍の伸張に対抗するべきだ。

スターリングエンジンを実用化したのは、スウェーデン海軍の「ネッケン」で、量産型は「ゴトランド」で、前述のコックムス社が開発したエンジンを搭載している。「そうりゅう」型のスターリングエンジンは、このコックムス社からのライセンスを得て、川崎重工が生産した「V4-275R MkⅡ」を搭載。当然の事ながらオーストラリアは、前例を踏襲しコックムス社に対し2012年6月に、次期通常型潜水艦のデザイン・スタディを発注している。今年5月には、オーストラリア国防相とスウェーデンの国防相が、会談しスウェーデンのスターリングエンジンなど潜水艦関連の知的所有権に、オーストラリアのアクセスを認めるという合意に達している。

オーストラリアの動きは周到で、スウェーデンとの合意と同じ5月には、米豪防衛通商条約 (Australia - United States Defence Trade Cooperation Treaty) が発効した。この条約は、軍事分野での技術に関する両国の協力関係へのコミットメントを反映したもので、ダーウィンへの海兵隊配備を含む、米豪軍事同盟の強化につながるもので、我が国としては歓迎すべき条約締結だ。またオーストラリア海軍とシンガポール海軍 (RSN : Republic of Singapore Navy) が潜水艦救難に関する合意文書 (Submarine Rescue Support and Cooperation Arrangement) に調印した。この合意文書には、両国が共同で開発した潜水艦救難資材の相互運用性についての具体的・詳細な取決めを行う内容であり、対中国海軍包囲網が着々と構築されている。
最も、不動産バブル崩壊、地方政府の債務危機、不良債権問題が顕在化して、中国経済は失速して軍拡もままならくなるだろうが。
 
日本は、台湾、ベトナム、フィリピン、オーストラリア、インドなどと対中海軍力包囲網を構築するべきだ。特にベトナムやフィリピンには強力に武装した、最新鋭の沿岸監視船を早期に供与して、人材育成、共同訓練などを実施して対中監視・抑止を確実にする事が重要で、今後もやるべき事は様々あり、着実に事を進めるべき。

さて、オーストラリアの海軍力増強は、インドのそれと同じ背景にあることは理解頂けると思う。
着々と海軍力と沿岸防衛監視能力を強化するインド

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