阿部ブログ

日々思うこと

北京故宮博物院200選 :「水村図巻」は凄い!

2012年02月18日 | 日記
1月4日から開催されていた「北京故宮博物院200展」の最終日である2月19日(日)に上野・東京国立博物館に赴いて、その品々を拝見した。

中でも趙孟頫の「水村図巻」は圧巻であった、凄い!
流石に中国山水画史上の最高傑作の一つである。
その「水村図巻」をガラス越しとは言え間近に観る事が出来たのは、年初早々の収穫だ。

内藤湖南の「支那絵画史」によれば趙孟頫の一族は悉く風雅風流揃いの一族であり宋の帝室から重きを置かれており、この趙孟頫が宋滅亡後、元に出仕したことが世上批難されたとある。
それはそう、趙孟頫の一族は、元々は宋の初代皇帝太祖・趙匡胤の末裔であるから、彼は正真正銘の王族の一族であるから、これは裏切りと言われても釈明の余地がないような気がする。

趙孟頫が宋・元の二朝に仕えたことで宋滅亡後は、元の朝廷に出仕しなかった趙孟堅は「蘭亭帖」をこよなく愛した人で「落水蘭亭」で有名な人だが、この趙孟堅は趙孟頫との面会を断固拒絶。面会出来ずに去った趙孟頫が座った坐具を、家人に洗わせたと言う逸話が残っている。

まあ、これはさておき趙孟頫の言辞を聞け。
内藤湖南が引用するもの。
「水村図巻」を観た者は、この意を汲むであろう。

「画は古意あるを貴ぶ、
たとへ巧みなりとも古意なきものは貴からず、
今人は用筆彩色に誇るも古意を欠きて非なり、
我が画は質朴なれど古意あり、
識者は之を識る。
人物画は宋は唐に及ばず、
吾れは悉く唐の手法を学びて宋の筆墨を捨てん。」

本物を観た者に勝ものなし。

最後に、趙孟頫の「水村図巻」を観て思い出した夏目漱石の漢詩を掲載して終わる。

座に詩僧あり 静かに詩を句をねんじ
門に俗客無く 静かに香を焚く
花間の宿鳥  朝露を振るい
柳外の帰牛  夕陽を帯ぶ
随所随縁   清興足る
江村の日月  老来長し

徒然なるままに


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