青春の後ろ姿を
人はみな忘れてしまう
あの頃の私にもどって
あなたに会いたい♪
というわけで、最近読み終えた本。
山田奈津子ほか『あの日に戻れたら』(主婦と生活社、2007年)
「第一回JUNON恋愛小説大賞受賞作4編収録」という帯広告につられて買った一冊です(決して帯広告のサエコの言葉につられたわけではありません)。JUNONという雑誌を読んだことはありませんが、名前ぐらいは知っていて、『JUNONって小説も掲載する雑誌なのか』『恋愛小説大賞か』と思い、思わず買ってしまいました。
読み終えて、奥付の前のページを見ると、この恋愛小説大賞の内容が紹介されていました。
大募集 JUNON恋愛小説大賞
ケータイで読む・ケータイで選ぶ・ケータイでも書ける
大賞を決めるのもあなたです!
これ、すごくね?(笑)
この本は投稿された小説を読者が選び、表題の大賞、そして特別賞、優秀賞2編、計4編を活字にしたものです。
どれもこれも内容的には読みやすいもので、小生には向いている内容。(笑)
とりわけ面白かったのが、優秀賞を受賞した「同級生」(鹿目けい子)でした。
これまたこの本の最後には、受賞の弁が掲載されているのですが、18歳が2名、24歳が1名の中で、鹿目さんは31歳。職業も他が短大生、予備校生、アルバイトなのに鹿目さんだけ脚本家。
そんなことを知らずに読み終えたのですが、やっぱり鹿目さんの作品がよく書けていたと思いましたし、読んだ後で年齢と職業を知って『やっぱりね』と思いました。
「同級生」は、とにかく筋書きが良かったです。高二の主人公(芝原)とまだ見ぬメル友で高三のジュン、そして同級生の須藤友香。男子高校生芝原を中心に、北海道に住むメル友ジュンとのメールのやりとりとともに、病気がちで高校を留年し、芝原と同級生になってしまった須藤とのやりとりがかわりばんこに展開されます。
この小説は、ケータイがなければ生まれなかった小説といえるわけで、現代の若者には、ホントにケータイつながりって大事なんだなぁと思います。
最初に不思議に思ったのは、まだ見ぬメル友がいるということはどういうことなのかなということでした。実は、次のようなからくりがありました。
出会いのきっかけは、まさに運命だった、と僕は勝手に思っている。
彼女は昨年の11月に携帯を買った。大学受験の情報収集や、緊急連絡用だった。
彼女がメールアドレスを設定しようとしたところ、自分が考えたアドレスは誰かが使っているため、登録できなかった。
自分の名前と誕生日の数字を組み合わせたアドレスだった。
そのアドレスを使っている相手はどんな相手なのか、興味を持った彼女はメールをした。
そのメールが届いた相手が、僕だった。
僕とジュンは名前も誕生日も一緒だった。
漢字と生まれた年は違っていたが
「JUN0328@・・・・・」
というのが僕のアドレスで、彼女が取ろうとしたアドレスだった。
結局、彼女のアドレスは
「JU03N28@・・・・・」
と決まり、そのアドレスから、僕にメールが届いたことがすべての始まりだった。[pp.201-202]
『そんなに簡単にメールを出したりしないよー』と野暮なことはいわないでください。(笑)
この二人の出会いが、実は悲劇的なクライマックスにつながるキッカケになっています。クライマックスは書けませんが、思わずウルウル。
読みながら「うまい!」と唸ってしまいました。
この「同級生」以外の3編も、「あの日」を思い出しながらそれなりに楽しめました。今となっては小難しい話で汲汲とし、ともすると小賢しい知恵を絞って立ち振る舞ったり、自分で自分を責めたくなったりしますが、30年以上も前に、これらの小説に登場する人物たちと同じ年齢を経験し、同じような思いを抱いていた自分がいたんだよなあと思うと、『あのときの自分ってどこに行っちゃったんだろうね』と苦笑してしまいます。
『今夜は妙に寒いな』と思いつつ、Joni MitchellのアルバムSHINEを聞きながら。
人はみな忘れてしまう
あの頃の私にもどって
あなたに会いたい♪
というわけで、最近読み終えた本。
山田奈津子ほか『あの日に戻れたら』(主婦と生活社、2007年)
「第一回JUNON恋愛小説大賞受賞作4編収録」という帯広告につられて買った一冊です(決して帯広告のサエコの言葉につられたわけではありません)。JUNONという雑誌を読んだことはありませんが、名前ぐらいは知っていて、『JUNONって小説も掲載する雑誌なのか』『恋愛小説大賞か』と思い、思わず買ってしまいました。
読み終えて、奥付の前のページを見ると、この恋愛小説大賞の内容が紹介されていました。
大募集 JUNON恋愛小説大賞
ケータイで読む・ケータイで選ぶ・ケータイでも書ける
大賞を決めるのもあなたです!
これ、すごくね?(笑)
この本は投稿された小説を読者が選び、表題の大賞、そして特別賞、優秀賞2編、計4編を活字にしたものです。
どれもこれも内容的には読みやすいもので、小生には向いている内容。(笑)
とりわけ面白かったのが、優秀賞を受賞した「同級生」(鹿目けい子)でした。
これまたこの本の最後には、受賞の弁が掲載されているのですが、18歳が2名、24歳が1名の中で、鹿目さんは31歳。職業も他が短大生、予備校生、アルバイトなのに鹿目さんだけ脚本家。
そんなことを知らずに読み終えたのですが、やっぱり鹿目さんの作品がよく書けていたと思いましたし、読んだ後で年齢と職業を知って『やっぱりね』と思いました。
「同級生」は、とにかく筋書きが良かったです。高二の主人公(芝原)とまだ見ぬメル友で高三のジュン、そして同級生の須藤友香。男子高校生芝原を中心に、北海道に住むメル友ジュンとのメールのやりとりとともに、病気がちで高校を留年し、芝原と同級生になってしまった須藤とのやりとりがかわりばんこに展開されます。
この小説は、ケータイがなければ生まれなかった小説といえるわけで、現代の若者には、ホントにケータイつながりって大事なんだなぁと思います。
最初に不思議に思ったのは、まだ見ぬメル友がいるということはどういうことなのかなということでした。実は、次のようなからくりがありました。
出会いのきっかけは、まさに運命だった、と僕は勝手に思っている。
彼女は昨年の11月に携帯を買った。大学受験の情報収集や、緊急連絡用だった。
彼女がメールアドレスを設定しようとしたところ、自分が考えたアドレスは誰かが使っているため、登録できなかった。
自分の名前と誕生日の数字を組み合わせたアドレスだった。
そのアドレスを使っている相手はどんな相手なのか、興味を持った彼女はメールをした。
そのメールが届いた相手が、僕だった。
僕とジュンは名前も誕生日も一緒だった。
漢字と生まれた年は違っていたが
「JUN0328@・・・・・」
というのが僕のアドレスで、彼女が取ろうとしたアドレスだった。
結局、彼女のアドレスは
「JU03N28@・・・・・」
と決まり、そのアドレスから、僕にメールが届いたことがすべての始まりだった。[pp.201-202]
『そんなに簡単にメールを出したりしないよー』と野暮なことはいわないでください。(笑)
この二人の出会いが、実は悲劇的なクライマックスにつながるキッカケになっています。クライマックスは書けませんが、思わずウルウル。
読みながら「うまい!」と唸ってしまいました。
この「同級生」以外の3編も、「あの日」を思い出しながらそれなりに楽しめました。今となっては小難しい話で汲汲とし、ともすると小賢しい知恵を絞って立ち振る舞ったり、自分で自分を責めたくなったりしますが、30年以上も前に、これらの小説に登場する人物たちと同じ年齢を経験し、同じような思いを抱いていた自分がいたんだよなあと思うと、『あのときの自分ってどこに行っちゃったんだろうね』と苦笑してしまいます。
『今夜は妙に寒いな』と思いつつ、Joni MitchellのアルバムSHINEを聞きながら。