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宇宙人と呼ばれる人たち

2006-01-16 21:48:02 | 街づくり

佐賀市から南西へ20数キロ行った有明海沿いに鹿島市がある。長崎街道沿いに古い街並みが残っているということで先般訪れたが、そこで宇宙人的人物に出会った。
名刺には国交大臣、厚生大臣顕彰、国・マイスター・現代の名工認定とあり、腕利きの板金工のようである。風の噂では古い建物を必死で残そうとしている名物お爺さんがいるということであったのだが、先般お会いすることが出来て街をご案内頂いた。
峰松工業代表の峰松昭次郎さん、64歳であり、肥前浜宿保存会で有志を募り街並み保存活動を続けておられ、その熱い想いを語ってくれた。元禄年間からの酒蔵が建ち並び、クラッシックコンサートが時折開催されている700人収容の酒蔵も残っている。
一方海に近い地区では船頭や鍛冶屋の茅葺屋根の家並みが辛うじて残っており、峰松さんはこれらの街並みを残そうと孤軍奮闘している。というのは町の人たちはなかなかこれら古民家の価値に気付かず、峰松さんは地元では正に宇宙人的存在になっている。
以前に全国の街おこしの成功事例を見聞する機会があったが、そこで共通していたのは当初当事者は”宇宙人”呼ばわりされていたことである。「あの人は一体何をやっているのだろう」と冷たい視線で周囲から見られている。価値あるものが街にあっても、そこに住んでいる人たちにはその価値が見えないことはよくあることである。外の人には見えるものが、中の人には見えないのである。
宇宙人呼ばわりされても、周囲から冷たい視線で見られても、街を良くしようという熱い想いを持ち続けることによって成功が訪れた事例は多い。
陰ながら峰松さんを応援して、肥前浜宿の古き街並みを残したいものである。