損か?
投資家も深刻だ。
「米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイが6日発表した2021年7~9月期決算は、純利益が前年同期比66%減の103億ドル(約1兆1600億円)となった。米株式相場はいったん同四半期に頭打ちになり、評価益の計上が減った。運用難で手元資金が1490億ドル(約16兆9000億円)まで積み上がり、過去最大となった。
バークシャーの純利益は、アップルなど保有する上場株の評価損益で大きくふれやすい。7~9月期の評価益は38億ドルにとどまり、前年同期(247億ドル)から大きく減った。同期間の米S&P500種株価指数は総じてみればほぼ横ばいだった。バークシャー会長のバフェット氏は株主に対し、評価損益の影響を除いた営業利益に注目するよう呼びかけている。M&A(合併・買収)で傘下に収めた事業会社の業績動向を映すからだ。
事業部門の主力は保険や鉄道、エネルギー、製造業部門だ。7~9月期の営業利益は64億ドルとなり、前年同期に比べて18%増えた。部門別にみると鉄道部門の営業利益は12%増の22億ドルとなった。経済再開に伴って小売商品の貨物輸送が増えたほか、工業製品や農産物の輸送も好調だった。
株主からは手元資金の活用を求められている。バークシャーの現金・同等物は9月末時点で1490億ドル。6月末(1440億ドル)から増加し、過去最大となった。バフェット氏はかねて大型M&Aを狙うと公言しているが、目立った案件は出てきていない。
買収価格の高騰がバークシャーの大型M&Aを阻んできた。カネ余りで投資ファンドとの案件争奪戦が激しくなったことが一因だ。さらにバイデン米政権が大企業による買収を厳しく審査する方針を打ち出した。米エネルギー大手ドミニオン・エナジーからパイプライン事業を買収する計画だったが、7月中旬に撤回した。
余剰資金は投資よりも自社株買いに向かった。7~9月期の自社株買い実施額は76億ドルとなった。バークシャーの四半期実績としては過去3番目に大きい。20年以降、自社株買いのペースは上がっているものの、手元資金の余剰感は解消できていない。一部の株主からは配当の実施を求める声があがる。
バフェット氏は8月30日に91歳の誕生日を迎えた。5月の株主総会後にエネルギー事業を統括するグレッグ・アベル副会長(59)を後継者に選んだと明かした。ただ交代時期は示されず、バフェット氏がしばらく巨大コングロマリットを率いるとみられている。資金の有効活用法は今回の決算でも打ち出されなかった。」
経済は、投資家が損では?