三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、インチキ宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり、そしてそのことを日記にまとめてみたり。

オウム真理教事件死刑囚の死刑執行(4)

2019年01月11日 | 死刑

なぜオウム真理教は事件を起こしたのか。
なぜオウム真理教は凶悪な宗教になったのか。

アンソニー・トゥー『サリン事件死刑囚 中川智正との対話』は、お金の問題、そして麻原彰晃が絶対的な力を持っていたことをあげています。
麻原彰晃に絶対の服従を要求し、生活の規則も厳しかった。
どの団体でも活動するのに資金がいる。
オウム真理教の一番大きな資金源は、信者にすべての財産を寄付させることだった。
これに不満を持つ人、疑問を持つ人が出たので、そういう人たちを拷問、はては殺人までするようになった。

しかし、教祖が絶対者で、お金にうるさい宗教はいくらでもありますが、殺人まですることはありません。
では、なぜあんな事件が起きたのか。
藤田庄市「死刑大量執行の異常 宗教的動機を解明せぬまま」(「世界」2018年9月号)を参考にして私なりにまとめると、麻原彰晃の誇大妄想、そして神秘体験と被害妄想が大きいと思います。

自分は神によって選ばれたのだという誇大妄想。
その背景には麻原彰晃の神秘体験がある。

「アビラケツノミコトを任じる」という1985年に麻原が受けた神託が、彼の宗教的妄想と使命感を決定した。神託の意味は、麻原が「神軍を率いる光の命」であり、ハルマゲドンにおいて彼は修行によって超能力を得た信徒たちを率いて戦う存在だった。


信者も神秘体験を経験して麻原彰晃を信じ、その指示に従うようになった。
麻原彰晃は国家権力を覆そうとして武装化に走り、通常兵器だけではなく、生物兵器や化学兵器を作ろうとした。

麻原彰晃は自分やオウム真理教がフリーメーソンなどによって毒ガス攻撃されているという被害妄想を持っていました。
1990年2月、衆議院選挙でオウム真理教は全員が落選した。
必ず当選すると信じていた麻原彰晃は当局による妨害があったと思い、4月、「マハーヤーナではなくヴァジラヤーナでゆく」と宣言。

広瀬健一さんはヴァジラヤーナについてこう書いています。

麻原はヴァジラヤーナの救済として「ポア」を説きました。当初ポアは、麻原が前記神秘的な力によって、信徒の精神を解脱の状態、あるいは幸福な世界に転生する状態に高めることでした。それが転じて、人々を殺害することによって、より幸福な世界に転生させることとして説かれるようになったのです。


藤田庄市氏は、オウム真理教は神秘体験を重視したが、麻原彰晃は正式に師についてきちんとした修行をしていない、つまり師匠に教えを授かるという師資相承を受けていなかったことを指摘しています。
そのため、神秘体験が真実なものか、幻覚にすぎないかの判断ができていなかった。

ヨーガでは修行がもたらす身体および意識変容を麻原の霊的能力によるものと信徒に思い込ませ、盲目的なグル=麻原信仰の道具とした。


1審で裁判官に名前を聞かれたとき、土谷正実は「私は麻原尊師の弟子です」と答えた。
トゥー氏はこのように書きます。

1審の頃は土谷は麻原をまだ尊敬していたのは間違いないという。土谷は獄中で明るい光に囲まれるという神秘体験をしたそうだ。麻原の威光が空間を超えて自分に伝わったのだと、土谷は思ったそうである。


藤田庄市氏は「事件の底を流れる宗教的動機は無差別大量殺人による救済だった」と結論しています。

現代人は悪業を積み続け地獄へ堕ちる。その彼らを救済するには彼らの命を絶ち、麻原がそのカルマを背負いポアするしかない。ポアのポイントはここにある。麻原一人が人の死に時を見切ることができ、その者と縁をつけ、カルマを代わりに負い、高い世界へ転生させるのである。ここに無差別大量殺人すなわり救済という信仰内容が確立した。

麻原彰晃も神秘体験の犠牲者と言えるかもしれません。

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