三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、インチキ宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり、そしてそのことを日記にまとめてみたり。

オウム真理教事件死刑囚の死刑執行(3)

2018年12月29日 | 死刑

江川紹子さんはオウム真理教事件について、「個々の事件の動機、どういう方向に教団が進んでいたのか、という点もほぼ分かりました」と言っています。(2018年8月22日の対談、『年報死刑廃止2018』所収)
しかし、早川紀代秀さんはこのように書いています。

共同共謀正犯といっても、オウム事件のような、グルと弟子という関係性の中で行なわれた犯行は「共謀」という概念にはなじまないものです。私の判決に出てくる事件の動機や目的にしても、グルの動機や目的を推察したものであり、それらは、私達、弟子の犯行の動機や目的とはまた違います。私達弟子は、なぜあのような犯行を命じたグルの指示に従ったのかということを語れても、なぜあのような犯行の指示を出したのかということは推測でしか語れません。これを本当に語れるのは、グルであった松本死刑囚だけです。(略)
このまま刑が執行されたなら、〝正解〟は永遠に謎のままとなるでしょう。
ぜひとも、ご本人の意見を聞いてから、死にたいものです。


アンソニー・トゥー『サリン事件死刑囚 中川智正との対話』にもこのように書かれています。

中川氏は、「自分は麻原氏にかなり信用があり、多くの相談を受けた。しかしそれでも麻原氏しか知らないことがまだたくさんある。麻原氏が裁判で自らいろいろ話してくれるといいのですが」と話してくれたことがあった。

オウム真理教事件がなぜ起きた、麻原彰晃は何を考えていたのか、死刑執行によって事件の真相が明らかにならないまま闇に葬られたわけです。

麻原彰晃だけではありません。
菊地直子さんは都庁小包爆弾事件において原料をアジトに運んだが、それが何だったか知らなかったと主張。
中川智正んは菊地直子に対してむしろ有利に証言した。
ところが、井上嘉浩さんは菊地直子さんが運んだ中身が何であるか知っていたと証言している。
高橋克也さんの裁判でも井上嘉浩さんと中川智正さんの証言は正反対になっている。

そして、アンソニー・トゥー氏はこのように書いています。

井上は、検察側に協力すればまた無期に戻されるかも知れないと思っているのだと、中川氏の弁護士は私に話した。私は「それは無理でしょう。死刑が確定している上に、井上は15人の殺人の罪に問われている身ではないですか」と話した。その弁護士は「私も無理とは思っていますが、本人はそう思わず、何とかして死刑を回避したいと願っているので、あらゆる機会を通じて検察側に有利なように証言しているのです」と話してくれた。(略)
井上は中川氏、遠藤をはじめ他の多くの信者の事件への関わりを重くしようとしたようだ。

誰の証言が正しいかということもわからないままになってしまいました。

リチャード・ダンジッグ元海軍省長官が中川智正さんや広瀬健一さんたちと面会し、テロについて聞いたと、『サリン事件死刑囚 中川智正との対話』にあります。
ところが、日本では行政の人や専門家がオウム真理教事件の死刑囚に会ったとは寡聞にして知りません。
仮に日本人研究者からそうした要望があったとして、法務省や拘置所が許可を出すかは疑問です。
なぜアメリカからの要望には応じたのかと思います。
こうした事件を繰り返さないために、日本政府も研究者に依頼すべきでした。

だからといって、オウム真理教事件がなぜ起きたのか、死刑執行によって真相が闇に葬られた、だから執行すべきではなかったと言いたいわけではありません。
それだったら、真相が明らかになれば処刑してもかまわないということになります。

トゥー氏はこんな話を書いています。

私は毎日新聞の警視庁付の記者からこんな話を聞いた。警察も中川氏がオウムに関する知識が豊富でかつ協力的であることを知り、彼を呼んで警察の人達に講義してもらいたいと思っているという。確かに中川氏の講義を受ければ、警察にはたいへん有益だろう。しかし、道義的によくないと私は思った。利用するだけ利用しておいて、後で殺してしまうのは道義に反するのではないかと思ったのである。

そのとおりだと思います。

『サリン事件死刑囚 中川智正との対話』に、「地下鉄サリン事件21年の集い」では、同じ死刑でも罪の大きさに不公平があるから、これを契機に是正する方法を考えるべきだという意見が出たとあります。
すると、「中国の死刑判決を参考にしろ」と誰かが言ったそうです。
中国では、すぐに執行される死刑判決と、2年の執行猶予がつく死刑判決がある。
後者の死刑判決では、執行するかどうかを、2年の執行猶予期間の犯人の悔悟の具合、服役中の態度を見て決める。
態度がよければ無期懲役に減刑される場合もある。

死刑廃止論者ではないという江川紹子氏も。死刑にも執行猶予をつけられるように、法改正すべきだと説いています。

たとえば、死刑を宣告時に、一定期間(たとえば5年)の執行猶予をつける。その間は執行はせず、期間終了時にもう一度裁判所が判断を行い、反省の態度によっては無期懲役などに変更することを可能にする。そうでない者は、実刑としての死刑確定者として扱う。あるいは、最後の執行猶予をつけて、さらに見極めるのもありかもしれない。

https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20181228-00109396/
中国の死刑制度は悪くないと思いました。

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