べってぃのぱっしょん

ビビッとくると「パッション感じた」と言ってしまいます。平たく言えば、好きな物の寄せ集めデス。

『胡同の理髪師』

2006-09-24 19:32:59 | 中華圏映画
会場を西鉄ホールからソラリアシネマに移動して観たのは『胡同の理髪師』。
ここ何年か胡同の地名がよく目に付くようになりましたし、映画も『胡同のひまわり』がありますし、ちょっとしたブームなのでしょうか。
それだけ昔ながらの街並みが貴重になってきたということなのかもしれません。
監督は『草原の女』『秘境モォトゥオへ・・・』のハスチョロー。
どちらもアジアフォーカスで上映されていますが、辺境の地を舞台にするイメージが強いので、今回の作品がハスチョロー監督と知ってちょっと意外でした。

オリンピックに向けて再開発が進む北京の下町・胡同で床屋を営む靖(チン)老人の日常を描いた作品。実在の人物(すなわち素人)が演じていますが、純粋なドキュメンタリーではありません。
チン老人以外の出演者も全員高齢のため、台詞は大まかな内容だけ説明して後は好きなように言ってもらったそうです。
なので、リアリティーは抜群!
お年寄り特有の「間」のおかげで眠気に襲われること数度(笑)
それがユーモラスでもあり、クスクス笑ってしまうシーンも結構ありました。「新しい身分証明書は20年有効だからね」と真顔で念を押すご近所さんと「20年か・・・」と複雑そうに答える93歳のチン老人のやり取りなんてサイコーでした。
チン老人は毎日変わらぬペースを持ち、自分だけの決まりごとをきっちりと守りながら生活しています。一見頑固者に見えるのですが、周囲で起きることに関してはそれを柔軟に受け入れます。
それが何だか胡同そのものに重なって、変わるものと変わらないもの、残るものと消えるもの、という対比が浮かびました。
だからといって観た後の感覚は悲しいものではなく、何となく温かい気持ちでした。


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