A:Bさんに現在の金融取引(金融バクチ)のあれこれをうかがう前に、確認しておきたいことがあります。最近、外資系の証券会社の日本法人で、急激にリストラが進んでいるとか。
A:今年の3月までの1年間で人員削減が急ピッチで進んでいます。これがされに加速しているようですね。日本人だけではなく外国人のファンドマネージャーたちが、東京市場からどんどんいなくなっているそうですね。外資系の証券会社を辞めた(辞めさせられた)人数については
ゴールドマン・サックス987人→847人、140人減 クレディ・スイス590人→540人,50人減 ドイツ証券905人→834人、71人減 BNPパリバ499人→462人、37人減 全体7333人→6796人、537人減です。取引を(ポジション)を解消して、どんどん東京から撤退しているという感じです。
B:そうです。事態はさらに深刻です。この人数は2011年4月1日から2012年3月31日までの、1年間の集計を、おそらく金融庁筋の情報でしょう。ですからもう前の数字にすぎない。今は、そんな悠長な状況ではありません。この、8月から9月にかけて、外資系金融機関のリストラは猛スピードで進んでいます。証券会社であれ、投資銀行であれ、外資系の日本法人では「セールス部門」をはじめとして、私のようなファンドマネージャーたちまでが首切りの対象になっている。
A:やはり、そうですか。
B:35歳以上の人が片っ端から斬られています。この切られ方のスピードは、もう何が起きても不思議ではない状況です。世界金融恐慌の前ぶれといってもいいかもしれません。これは現場にいる私の実感です。とくにドイツ証券の人減らしのスピードが速い。ご存じのとおりドイツ証券はドイツ銀行のグループ会社ですが、ドイツ銀行はグループ全体で1900人のリストラを決定しました。その大半がドイツ国外の社員を対象にしています。当然、日本にあるドイツ証券も含まれる。このほかUBS(スイス銀行)証券、モルガン・スタンレーMUFG証券でも人員削減は始まっています。ゴールドマン・サックスは、まだそれほど、といったところですが、いずれ始まるでしょう。
A:リストラが進んでいるのは総じて欧州系の会社ですね。やはりヨーロッパの国家債務危機が大きく影響している。
B:はい。さらに、そこに日本株市場の凋落が重なっています。日本株が、まったく元気がありません。ヨーロッパの経済がもっとダメになると、いちばん打撃を受けるのは、ヨーロッパに輸出をしている中国です。すると、生産・製造拠点として中国に工場を置く日本企業も必然的に弱くなる。
A:連鎖するわけですね。