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10/3 アジアの女

2006-10-04 00:37:20 | 舞台感想
2006年10月3日『アジアの女』@新国立劇場 小劇場

作・演出:長塚圭史
出演:富田靖子、近藤芳正、菅原永二、峯村リエ、岩松 了

こんなにも、静かに深く強く胸に響いてくる舞台を見たのは、本当に久しぶり。

しばらく・・・と言ってもほんの30秒ほどだけど、終演後、席を立ちたくなかった。
ただ、目の前の小さな緑の数々を眺めてたかった。
自分でも驚くぐらい胸が締め付けられた。

「女は土の深く深くに種を埋めた。」
「女が埋めた種は女の願いが込められた手紙。」
「女は願いが土に染み込むようにと毎日毎日水をやった。」
「その願いはやがて土に染み込んだ。しかし女の願いが大きすぎたので土は困った。
 どう願いを叶えてやればよいのか、と。」

「アジアの女。女の願いは国境を越えた。」

とにかく観て欲しい。
観たら、願いの手紙が埋められたのと同じぐらいの深さにある自分の心が揺れるはず。
揺らされて来たら良い。

やっぱり長塚圭史ってば凄い。
『LAST SHOW』にとにかく衝撃を受けてから、
この人がどんな芝居を作っていくのかにすごく興味を持った。
だから、そこからは欠かさず追っかけてる。
『桜飛沫』で正直ガッカリしたり、色々あったけど、
今日、揺さぶられた部分は『LAST SHOW』と同じところだと思う。
今のところ私のこの部分(ってどこだか上手くいえないんだけど)の感情は、
長塚圭史以外に動かされていない。
野田秀樹でも違うし、松尾スズキも違う。圭史さんだけ。

『LAST SHOW』観終わったあとと、余韻がそっくりだった。
体全体に、じわぁーと震えが来る。
感情高ぶって、涙出そうになる。
1回泣き出したら、なんで泣けるのかわからないまま泣き続けそう。
嗚咽交じりの涙じゃなくて、ツーって流れるような涙がね。

富田靖子さんは真っ直ぐなのに危うげ。
真っ直ぐすぎるから危うげに見えるのかな。
自分がこれと信じてしまったら、例えそれが傍から見たらあり得ないような、
とんでもない道でも突き進んでしまう、そういう危うさ。
純粋過ぎて危険な雰囲気があって、それが凄く良かった。

近藤芳正さんは、私としては『阿修羅城の瞳2003』のイメージがすっごく強くて、
コメディ色の強い俳優さんなんだろうな。と思っていたんですが、とんでもなかった。
彼の無気力さや、虚無感漂う演技が、この舞台全ての雰囲気に繋がってました。
後にでちゃんと書こうと思いますが、なんか恐いんですよ。舞台全体が。

岩松了さんも良い意味でイメージ裏切る演技。
包容力のある頭の切れるおっさん。ってイメージだったんですが(どんなイメージだよ)、
卑しかったですねー今回の役は。
小説のネタパクるわ、食い物たかるわ、ハエにたかられれるわ・・・
最後、どんな状況下でも書くことにとり憑かれ、
机に向かって、自分の構想に興奮していた姿は、印象的。
なんていうか、捨てられない人間の業を感じた。

菅原英二さん。
マキコのことが好きな警官。
エロ小説マニアな部分と、純粋にマキコが好きな部分、そのギャップが人間として面白い。
最後、マキコが死んだことを告げる場面での、演技。
近くで見れたせいもあり、特に胸に残る。悲しさが全部伝わってきた。

峯村リエさんはやっぱ上手い。
普通の人とは違うところに価値観を置いてる、普通に見えるんだけど、
実はすっごく変な女の人とか演じると、その怖さが小出しに見えてきて楽しい。
淡々としているから、余計怖い。あとデカイから怖い。

で、近藤さんのところで書いた舞台そのものに対する得体の知れない“恐怖感”。
なんだったんだろう。
まず舞台美術が退廃的で嫌だった。
震災があったその後の設定。
確実にその場所でいくつもの命が失われただろうな、と思わせるようなセット。
見ているだけでぽかんと心に穴開いたような寂しい気持ちになった。
しかも、これがまた凝ってる。
劇場入ってまずセットと、変形舞台に驚いた。まさかこうなるとは。

だいたい私は、新国立劇場がどうも好きじゃない。
静かで寂しすぎる。
劇場の寂しさと、舞台の持つ寂しさが一致してたかも。
そういう意味では新国立で良かったのか?
他にあの舞台美術で上演できる劇場ってどこだろう?
スペースゼロとか、トラムとかでもいけるのかな?
私がそんなこと考えなくともよいのか。

あとは音、かな。
とにかく台詞以外に音がないような舞台だったので、それも怖かったのかも。
周りに人がいない、隔離されている怖さ。
音楽も場面転換の時に流れるぐらい。しかも静かで、寂しい音楽なんだこれが。
本当に静かに静かに進んでいく舞台だった。

空も世界と繋がってるけど、土も世界と繋がってるんだよな。と見終わって思った。

『あぁ、大地讃頌じゃないか。』

帰りの電車の中でフト思う。
(ってか色々思い出して涙出たぞ!電車の中で!恥ずかしいだろ。やめてよ、長塚圭史。)
中学校の卒業式で歌ったあの曲の歌詞が頭の中をよぎる。
人種が違っても、まず土で私たちは繋がってる。
空よりも土の方が、文字通り泥臭くって人間臭くて、繋がりを感じさせるには良いかもしれない。
泥にまみれて国境越えたアジアの女・・・か。

本当に色々胸にグサグサ突き刺さった挙句、考えさせられます。
こういう感覚に陥れるので、舞台が好きです。
私みたいな大学生が普通に日常送ってたら、まずここまでの感情に辿り着くことってない。
(少なくとも私の場合はね。)

朝起きて、学校行って、友達と喋って、遊んで、家帰って、深夜のテレビ番組見て、寝る。

そこに、激しい感情の起伏もなにもあったもんじゃないわ。

「なんか楽しいことないの~??」
とぶつぶつ呟く人が嫌いです。
上に書いたようなありふれた日常の中でも、
視点を変えれば楽しいことなんていくらでも見つかるし、
「自分自身のつまらなさを人に解決してもらおうとするんじゃねぇ。」
と、突き放してやりたい気分になります。いや、実際突き放します。
私、優しい人間じゃないので。
というか、そこで慰めたり、同調してあげたりするのは優しさじゃないと思うしね。
日々の生活の中で、楽しさを見つける視点の持ち方を
私にちょっとづつ教えてくれてるのが、ほぼ日手帳かな。
四季の変化、自分の変化、人の変化・・・日々何もかも違うってことを、
思ったその時に書き留めておけるので、後で見返したとき気がつくことが多い。
些細な感情の動きとかを楽しむのも好きなんですが、
今日みたいに強烈に揺さぶられるのも、またたまらなく面白い。

ということで、感情高ぶるその一瞬を求めて、劇場へ。


すっばらしい舞台なのに、私の前、左隣空席でそれもまた寂しかった。
途中まで右隣もいなかったしさぁ。
ラストの終わり方は必見ですよ!
舞台の締め括り方を覆します!よくやった!と褒めてあげたい。
(私が褒めても嬉しくないだろうけど、褒めたいの。)
ちなみに明日も好きじゃない新国立劇場で『田園に死す』観劇。
ヤンさん目当てです。
このくらいの時代のトップさんが気になって仕方ないのね。
シメさんとか、カナメさんとか、ナツメさんとか、イチロさんとか・・・
あーここまで感情の赴くまま書いてきたのに、最後はヅカで締めか・・・どうなのよ、私。
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