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随筆紹介 「連れ合い」    文科系

2017年12月02日 | 小説・随筆・詩歌など
  随筆  連れ合い  S・Yさんの作品です
      

 再婚して三十余年、三人の子どもらもそこそこ人並みに成人した。
 再婚した夫は悪い人ではない。むしろ人間性はいいと思う。しかし人には相性がある。そうなあのだ。反りが合わないというのはほんとに難しくて説明しにくい。夫婦は長年連れ添うと空気のような存在というが、そうでもない。日々生活するなかで何度も神経を逆なでされるときがある。いいかげんに慣れて、夫との関係性を良くするために私なりに対策を考えたり、努力はしてみた。してみたが、所詮、平行線で歩み寄ることは困難だった。古希を過ぎた夫の性格がいまさら変わるわけでなし、諦めて距離を保ったままの方が互いに楽に生きられるのかもしれない。そうはいっても、夫にはいろいろな意味で感謝はしている。

 しかし近頃つくづく思う。
 先夫とは正反対の、よくもよくもこんなに真逆な人を私は選んだものだと。
 先夫は不器用な人であった。家具や玩具のちょっとした修理や簡単な庭仕事も全く出来なかった。下戸でスポーツも苦手。だが反面、マメな男で人との付き合い方は巧かった。話題が豊富でユニークで口が巧かった。見栄っ張りでもあったが面白い人だった。
 もっとも先夫と知り合ったのは、私がまだ二十歳前のころ。当時、先夫はソ連から北欧、東欧と旅を続け、当時の西ドイツの自動車工場で働いていて、たまたま一時帰国したばかりのころだった。今から半世紀も前のころ、海外に行くことなど珍しかった時代、十代の世間知らずの私が、彼の話す異国や旅の話に圧倒されて夢中になるなどたやすかった。
 なにより彼はおしゃれだった。ブランド好きで、イタリアやパリにいたころのシャツや革ジャンを着ていてファッションにはうるさく、付き合い始めてすぐに私は自分が無理をしているのに気づいた。話を合わせようと背伸びをし過ぎていた。結婚してからも私は彼の言うがままに自分らしさを封じ込め、自信を失くしていった気がする。素朴な田舎娘がそのうち自分好みに変わるだろう、先夫はそう思っていたようだった。結果、十年ほどで別れた。

 今の夫は先夫とは真逆だけに、驚くほど器用で、たいがいの壊れた物は直してしまう。だがプロの業者に任せたいことまでも手を出すのが困りもの。センスがないのだが、頑固で気短なので聞く耳をもたない。口数も少なくて人付き合いも上手くはないが、スポーツは万能である。酒が入ると饒舌になる。真っ正直な人だ。(だから、やりにくい)ファッションやブランドにも一切興味がなく、流行にも左右されず(だから、ダサイ)なにかポリシーがあるのかな?と思うほどにかたくなで、冗談も通じない。(だから、つまらない)
 必然的に今の夫は私の服装や行動にもまったく興味がないので、私は毎日自由奔放だ。先夫の顔色を窺いながらビクビクと暮らしていたころに比べたら、天と地ほどの差だ。

 二人の連れ合いは共に生い立ちが貧しかった。
 先夫はそれゆえに一流やブランドに固執していたような気がする。今の夫は何事にも見栄を張ることなく、あるがままを受け入れるというのは私も見習いたいところだ。そして残念なことに二人の連れ合いは共にイケメンではないのは一致している。
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