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書評「暴政」 ④  文科系

2017年10月21日 09時30分50秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
米イエール大学のティモシー・スナイダー教授の著作、副題「20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン」の要約最終回である。なおこの著者は1969年生まれの歴史学者で、「中東欧史、ホロコースト史、近代ナショナジズム研究」が専門と紹介されてあった。この2月に発行されて以降すでに世界40か国に翻訳されている著作だ。世界的なベストセラーということだろう。
書名副題の通り20のレッスンがあるが、20それぞれの表題に添えて初めに、その内容の著者自身による要約がなされている。よって、その要約を原文のまま紹介していくというやり方を取る。

14 きちんとした私生活を持とう
卑劣な支配者たちは、あなた方についての情報を、あなた方を好き勝手にするために用いるものです。定期的に悪意のあるソフトウエア、略して「マルウェア」をあなた方のコンピューターから取り除きましょう。Eメールは、空中に文字を描くようなものだということを忘れてはいけません。インターネットを違った形で使うこと、あるいは単純にもっと使用頻度を少なくすることを考えてみることです。じかに個人的な交流を持つことです。同じ理由から、法的なトラブルはどんなものでも解決しておくこと。暴君は、あなた方を鉤に吊してがんじがらめにしようとします。そんな鉤とは無縁でいることです。

15 大義名分には寄付せよ
政治的なものとそうでないものとを問わず、あなた自身の人生観を表している組織においては積極的であってください。慈善活動を一つか二つ選んで、自動引き落としを始めることです。そうすれば、あなた方は、シビルソサイエティ(政府、企業、血縁関係以外のさまざまな団体や組織。また、そうした民間組織が公共を担う領域)を支援し、他の者が善をなす手助けをするという、自発的な選択を行ったことになるのですから。

16 他の国の仲間から学べ
国外の友人との友情を保ちましょう。また外国に新しい友人もつくりましょう。アメリカ合衆国の現在の窮状は大きな潮流の一部に過ぎません。そしてどんな国であれ自国だけで解決法を見出せはしないのです。あなた方も家族も、必ずパスポートを持っていてください。

17 危険な言葉には耳をそばだてよ
「過激主義」とか「テロリズム」といった言葉が使われるのには警戒してください。「非常時」とか「例外」といった由々しい観念には敏感でいてください。愛国的な語彙の、実際には祖国への背信につながる使い方には憤ってください。

18 想定外のことが起きても平静さを保て
現代の暴君は「テロの操作」を行います。テロリストの攻撃があったときには、権威主義的支配者は権力を強固にするためにそうした出来事を利用しようとすることを忘れてはいけません。思いがけない大惨事により「チェックアンドバランスの終焉、野党の解体、表現の自由や公正な裁判を受ける権利などの停止」といったものが要求されるとしたら、それはヒトラーの書物にもあって、策略としてははなはだ古いものです。そんなものには引っかからないこと!

19 愛国者たれ
来るべき世代のために、アメリカが持つ意味について良き手本となってください。彼ら彼女らにはそうした手本が必要となりますから。

20 勇気を振りしぼれ
仮に私たちのうちの誰一人自由のために死ぬ気概がなければ、私たち全員が暴政のもと死すべきさだめとなるのです。

 なお、この著作のプロローグとエピローグそれぞれの題名をもう一度掲げておくと、「歴史と暴政」、「歴史と自由」となっている。


 最後に書評を少少。
 アメリカの心ある人々の中でこういう論議が始まったと知ることができたのは、勇気づけられることだった。また、日本以上に戦争政策やファッショ的傾向が著しいと、そんな切迫感がアメリカの心ある人には抱かれているのだろうとも感じられた所である。確かに、日本に伝えられるアメリカは、嘘の理由を創りだして国民を熱狂させて開戦したイラク戦争、今尚アフガン、シリアから手を引かぬ姿勢などであって、それらへの日本参加を要請するばかりである。折りしも、独善丸出しの偏狭ナショナリズムに凝り固まったような大統領の誕生! これはその後に書かれた著作である。トランプは今こう叫んでいる。
「北朝鮮は完全に破壊する」。
この声自身が国連法違反なのではないか。核開発が国連の約束に反しているにしても、あの首領がどれだけ酷い奴で、これを倒すべきだというのは、各国の内部問題である。国連法ではそういうことにしかならないものである。
 この国連法を無視して、他国が内部問題に武力干渉する「革命の輸出」こそ、戦争を世界に広げる愚行と言うべきである。関連死含めて50万を越える死者と膨大な難民とを出したイラク戦争の愚行を忘れてはならない。

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