今年も世界クラブカップ争奪戦が間もなく始まる。世界各大陸のチャンピオンクラブが集まって、世界チャンピオンクラブを決める大会だ。日本でもやっとこれに向けてのアジア予選・ACL(アジア・チャンピオンズ・リーグ戦)にJ各チームが目の色を変えて臨むようになってきて、去年は浦和が優勝し、今年は鹿島が優勝した。その鹿島が、2016年末のこの闘いで上げた金字塔の報告を再掲してみよう。南米チャンピオンを初めて負かして、決勝戦をレアル・マドリッドと戦うことになったあの闘いである。
【 Jリーグの鹿島アントラーズが、世界各大陸チャンピオンクラブ大会(クラブワールドカップ)で歴史的1勝を挙げた。アジア代表がどうしても崩せなかった西欧、南米の一角、南米チャンピオン、コロンビア・メデジン市のアトレティコ・ナシオナルを3対0で破って、この両地域以外から決勝戦に進んだごく珍しいチーム、国に仲間入りした。アジア・チームとしては初のことである。18日決勝戦の相手は西欧・スペイン代表のリアル・マドリッド。
去年の広島がやはり、南米代表のアルゼンチンはリーベル・プレート相手に優勢だったのに0対1で惜敗するまで、次第に「勝てるかも知れない」と思い始めてきた僕だったから、ついにという感じだ。なお、去年の広島の健闘は、15年12月14、18、21日と当ブログ・エントリーで扱ったので、ご覧いただける。リーベルの監督は後半顔面蒼白であったと書いてあるはずだ。
さて、昨日のゲーム、僕のゲーム観戦ノートを振り返ってみる。
前半は、準々決勝のアフリカ代表戦と同じで、明らかに押されていた。相手は脚も速いなど身体能力も個人技術も高く、そもそもシュート力が凄くって、正にゴールに向かってダイレクトなサッカー。対する鹿島の特長は、組織的守備の一語に尽きる。ゴール前が特に堅かったし、中盤などでも組織的ボール奪取力が光ったので、メデジンは中盤のボール回しなどで焦り始めていたように見えた。その焦りが単調な攻撃・特にシュートを生んだのではなかったか。凄いシュート力だが、攻撃にもう一工夫必要だという感じがしたもの。33分のPK得点は、敵ゴール前でDFの1人がマークした日本選手(西?)について行けず反則を犯したことによってもたらされたもの。PK場面からはちょっと遅れてのビデオによるPK判定と、とても興味深いシーンを観られた。
後半もメデジンが攻めたが、攻め疲れという感じから後半20分過ぎの僕のノートにはこう書いてある。
「メデジンに疲れも出て来たのか、ゴール前のボール受け走りが少なくなるなど、得点への組織的意欲が減ってきた?」
後はもう、攻め焦る敵に、鹿島のカウンターだけというサッカーでは良くある場面の連続だ。鹿島のカウンターに敵が振り切られている感じが増えて、38分には2対0、直後に3対0。まー、あれだけ攻めて得点できなければ、そりゃ疲れるだろうというゲームになった。ただ、勝った鹿島だが、準決勝のアフリカ代表戦でも前半は確かシュートはゼロで敵シュートは無数に浴びていた。「守備組織」に自信があって「守備から入って、相手攻撃がよく見えるチーム」と評することもできるはずだ。一つの面白い戦い方を築き上げたなという感じがした。
「組織能力対個人能力」、サッカーでは特にある対戦をこう評することが多いが、まさにそんな闘いだった。個人の技術技能、体力などの劣位を、組織力でカバー出来たという典型的なゲームということだろう。3位決定戦がこのメデジンとアジア代表全北現代になって興味深いが、この鹿島が決勝で、世界のレアル・マドリッド相手に前半をどこまで守れるか、興味が尽きないところ。
この鹿島というチーム、Jリーグでは年間3位。それも2位に凄く離されていた。それが川崎、浦和を破って、この大会でここまでのし上がったのだ。石井監督の、対戦相手研究、対策というのがいかに優れているかが分かるというもので、レアルとの対戦も凄く楽しみになっている。】
この守備を統率した槙野はさぞ喜んでいることだろうし、彼を通じてこのチームが代表から学んだことも多いのだろう。槙野はハリル(流潰し指導)を評価、尊敬していたことだし。
これからの日本では、組織的潰しがどんどん上手く、激しく伸びていくと思う。ということは、選手層が厚くなければ勝てなくなるということだろう。守備の育成が大事になるということでもある。
逆に、繋ぎ中心のグランパスのようなチームが強くなればさらに理想的と言うことでもあるのだが、よほどのことがない限りACL圏内など夢のまた夢だ。