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学術会議会員六名却下は、「政治地獄への重大一里塚」  文科系

2020年10月05日 00時37分04秒 | 国内政治・経済・社会問題

 日本学術会議会員推薦6名を首相が任命しなかった問題で一言。この慣例破り問題は、既に2016年に安倍が始めた動きの完成形、その終着点だったと報道機関が昨日から舞台裏を明かしているが、世界政治史の教訓を知らない大変な政治的無教養、「政治の地獄行き」悪循環への岐路というルビコンを渡ってしまったようなものなのだ。その次第を説明してみたい。

 国家が過去に悪とされた法設定、解釈、その運用を開始する。当然、これを批判する学者が現れる。「そういう学者」を国家が切り捨てて見せる。すると国家統制がやりやすいマスコミも絡んで国家に迎合する出世主義の学者ばかりが社会科学、人文科学で世に顔を売ることになっていく。ちなみに、学者にもそういう出世主義人種は多いものであるから、そういう国家・学者が一体となって、ますます国家体制を歪めていくことになる。そして、その行き着く先は必ず、ファシズムの一種に他ならなかったのである。と、こういう悪循環は一端始まるとなかなか止まらないのは、歴史の示すところだ。

 一方また、こういう悪循環はどんなときに起こりやすいか。世界中の国家にこれが起こりやすい時代というものがあったのであって、そういう時代を一言で言えば、こうだ。
「一定長く続いたある政治形態では国民が食えなくなってしまって、政治家がその地位を守ろうとすると国民の不満をあらぬ方向に向けるしかない時代」

 日本は、というよりも世界の国家が、今まさにこういう時に直面しているのである。「何を作っても売れない」、「儲かるのは世界金融とちょっと前までの中国だけだったが、世界金融は米英日が独占してきたようなもの」、「その米英日も、物経済は全く駄目で、金融バブル工作によって持っているだけ。アメリカはプラス、新自由主義をかなぐり捨てた保護貿易強行である」。日本にはこれに加えるに、アベノミクスの大失墜もあって国民1人当たり購買力平価GDPの世界順位墜落から、「50歳まで結婚できぬ男性が4人に1人」という有様。
「結婚してくれ、子どもを産んでくれ、そのために女性も働いてくれと、保育所を懸命に作るよー」と大音声政治宣伝を繰り返してきたが、統計がある史上最低の出生数、一路小国化への流れは一向に変えられないできた。

 こうしてつまり、今の地位を守ろうとする政府がやれる「施策」はもう「国民をごまかして選挙に勝つための政治」しかないのである。「嘘の政治・トランプ」「ヤッテル感の安倍」はこうして、ある意味「歴史の必然」に基づいているのだ。「戦争はしない、海外から撤兵」と選挙前に大いに叫んではみたトランプだが、軍事予算を減らし始めたら失業者の大群になる。よって、アメリカ国家実際の累積赤字はGDPの4倍とあるのに、そんな軍事予算など減らせるわけもないのである。そんなアメリカの「学者」やマスコミ人達はちょっと前までは「冷戦に備えよ、ソ連は怖いぞ」で、9・11以降は「テロとの戦い」と叫び回っているのだ。

 さて、こういう時代の政治と学問との悪循環の成れの果てこそ、ヒトラー、東條を産み出したものだと、これが世界史の教訓である。1929年の世界大恐慌でものが全く売れなくなった。景気を作るためと、兄弟のように生まれている同じような悪循環軍事化他国に対して行くためにも、国家予算を軍事にだけどんどんつぎ込む経済の軍事化が起こった。この軍国主義化に反対する世論は、これを押しつぶした。行き着く先は、ドイツもイタリアも日本も「『反戦』は犯罪、非国民」である。

 さて今、アメリカ以外が戦争を起こすかどうかはともかくとして、「政治と学問の悪循環」はどの国でも必ず、民主主義を圧殺していく方向になるはずだ。世界経済一斉沈没の中で政治と学問とが一体となって嘘が嘘を呼んで民主主義から滑り落ちていく国家、世界。これが今世界中の国々で起こっている悲劇的現象である。

 人類史上初めてという「諸国家総力戦の悲劇」・二つの世界大戦の反省からそれぞれ国際連盟、国際連合ができ、ケインズの需要サイド経済学も生まれたわけであるが、新自由主義という供給サイド経済世界の末路もケインズ警告を無視して起こされたものと言える。アメリカは国連の制止を振り切って暴力を続けているのだし、そのアメリカの暴力は言ってみるならばドルの世界基軸通貨体制を乱す国を潰すという点にこそ焦点を合わせて来たのであった。ケインズが最も恐れていた暴力政経体制、世界こそ、今目の前にあるものである。彼はドルでなく国連的通貨パンコールを夢見ていたのではなかったか。

 以上は心ある経済学者ならば、周知の学問的事実のはずだ。この世界は今や、アメリカの国際暴力だけで維持しているものに成り果てている。

 

 

 

 

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