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おかしな言葉の数々から   文科系

2017年07月31日 16時51分27秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 シリア問題で、1970さんとコメントのやり取りがあった。シリア問題関連の国連法につき僕が30日のエントリーに書いた後のやり取りだ。彼のコメントについて、おかしいと思われる箇所を指摘して、新たな論議を提起したい。

そういうことになるわけなんだが (1970) 2017-07-30 20:18:13
(前略)実際、国際法ではカバー出来ない実例は増加。国家という形を守る為にその中で行われる人権蹂躙は放置されるおかしな事態に対処出来ない。まあ、実際はそこで介入があるんだけど。
「違法であるが、正当である」なんてのが法的な標準的評価になってるならば、国際法を時代に沿う形で変えた方がよほどまともだと思う。
それは、肝心な時に機能不全に陥る安保理を見ても同じ。そもそも、世界各国の上に国連があるわけじゃないのだから、紛争の解決に国連が機能する範囲は限定的だし、それは始めから想定出来なければおかしい。(後略)』

『 「正当」の基準 (文科系) 2017-07-30 21:08:51
「正当」の基準が、大国などのご都合主義になるから問題なのである。特に、侵略しうる大国のご都合主義、それによる革命の輸出。
 そんなことだからこそ、内政不干渉の方が遙かに良いのである。ベトナム戦争、チリ内乱、アフガン戦争、イラク戦争、シリア内乱・・・内乱には全て大国の「人権問題」提起が絡んでいるじゃないか。
 そもそも国連法を近年最も蹂躙してきたアメリカこそが、この論理を語ってきたのである。
 何度も言うが、国連への態度からすれば、米国は国連から出て行くべきだ。ただしどうしても出ていかないはずだから、それならば国連法を守るべきだ。それでどれだけ世界が平和になることか』

それじゃ益々平和なんかにならないよ (1970) 2017-07-30 22:05:3
アサドにしろ正恩にしろアメリカが作り出してるわけじゃない。独裁者の非道は別問題で当該国は平和でも何でもない。そして、国連が世界規模の治安維持には殆ど機能していない。安保理見れば分かるだろう。
あなたがロシアや中国の代理人ならばアメリカ出ていけで済むが。アメリカ1国を悪者にして世の中まとまると思ったら話にならない。仮にアメリカを国連から追放すれば、・・・・(後略)』


 さて、以上の彼の論議で、僕がおかしいと感じた所を先ず何カ所か上げてみよう。
①『国家という形を守る為にその中で行われる人権蹂躙は放置されるおかしな事態に対処出来ない』
②『「違法であるが、正当である」なんてのが法的な標準的評価になってるならば、国際法を時代に沿う形で変えた方がよほどまともだと思う』
③『それは、肝心な時に機能不全に陥る安保理を見ても同じ。そもそも、世界各国の上に国連があるわけじゃないのだから』
④『独裁者の非道は別問題で当該国は平和でも何でもない。そして、国連が世界規模の治安維持には殆ど機能していない。安保理見れば分かるだろう。』
⑤『あなたがロシアや中国の代理人ならばアメリカ出ていけで済むが』


A 簡単な方から片付けよう。⑤は、言い掛かりに近い非難である。僕はこう語ったのだ。「こんな国は出て行けと言っても、決して出て行くことはないはずだが・・・」と。つまり、脱退というこういう声も出るアメリカでも、1930年代の日独伊のような悪者には流石に決してなることはできないと述べたのである。なによりもまずこのことが、21世紀の国連の姿、力なのだと言いたい。

B 次いで、『国家という形を守る為にその中で行われる人権蹂躙』、『独裁者の非道』とかと、言われた問題。
① 先ずここで最初の問題はこれ。国連の内政不干渉原理は、「国家という形を守るため」ではない。ここにつまり国連憲章「いずれかの国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限(の禁止)」への無理解がある。
 現に、国連は、内乱(の結果)を認め、「国家という形を守らない」こともあったではないか。日米の猛烈な反対にもかかわらず、台湾から中華人民共和国に代表権が移った時がそうだ。言わば、内乱を起こした側の政府を新たな国代表と認めたではないか。
 これはどういう事か。あくまでも国の代表はその国が決め、国連はそれを追認する場合があるということに過ぎない。現代では、一国の統治権は尊重した方がはるかに被害が少ないからということだ。
② 次に、いかに人権蹂躙があってもその国に対して革命の輸出をしてはいけないとは、当たり前のことだろう。国家の独立権という問題は対外的なこと。どういう国家にするかは国家内のことで、これは国民だけが決める。二つの問題を混同させてはならないのである。国家内のことは国家内で済むが、革命の輸出を始めたら、被害が世界に及んでいく。ベトナム、イラク、シリアなどで明らかなことだ。

C 次いで『肝心な時に機能不全に陥る安保理』『国連が世界規模の治安維持には殆ど機能していない。安保理見れば分かる』と言われた問題。
 誰が、どう拒否権を使っており、誰がこれを死守しようとしているかを、70さんはどうもご存じないようだ。1970年ほどまではソ連が圧倒的に多かったが(それまで116回中108回)、それ以降2004年まで圧倒的に多く行使し始めたのはアメリカ、それも、80回の行使の内40回は中東問題、特にイスラエル絡みである。
 そもそも70さんは、イスラエルの対外横暴をどう考えるのか。これは、内乱、独裁横暴よりもはるかに大きい対外的侵略問題であり、だからこそ安保理にも度々懸けられてきたのではなかったか。こういうイスラエル非難を、英仏の支援もなくたった一国だけで拒否し続けてきたのが、アメリカだった。こうして、拒否権制度死守の旗頭こそアメリカという現状も、70さんはどう考えているのか。

D『「違法であるが、正当である」なんてのが法的な標準的評価になってるならば、国際法を時代に沿う形で変えた方がよほどまともだと思う』 
「法的な標準的評価?」? 先ず、違法なら法的には正当ではない。次いで、違法だけど「標準」というのは特別な説明が要る。そして、こういう言い分こそまさにアメリカ年来の主張なのである。それを「標準」とは、苦笑いしかない。  
 上記イスラエルに比べたら、サウジの原理主義内政がいかに酷いものでもまだましだと、これが国連憲章の考え方だろう。このサウジよりもさらに、2011年反乱勃発までのシリアははるかにましとなろう。が、何故アメリカは、イスラエルでは常に拒否権を使い、サウジのイスラム原理主義的人権蹂躙は問題にしたことがなく、シリアの独裁だけを問題にしてきたか。ここに、アメリカのごまかし、ご都合主義を見るのである。アメリカの正当性なるものがいかにいい加減なものかということだ。

E 最後にもう一度、1970さんと国際政治上で最も多く争う最大問題に帰りたい。内政武力干渉、革命の輸出はありなのかどうか。
 国連法ではこれを認めていない。では、国連法はないという立場だが、認める「正当な理由」はあるのかどうか。僕は、これもないと言う。上に述べたように、内乱問題は国内だけで済むが、一旦革命の輸出が始まると、世界に際限なく戦争が広がっていくからである。また、正当な理由なるものが、お金があって戦争をすることの出来る国の恣意によって、その都度ご都合主義的に操られるからである。
 アメリカが国連総会で多数派になれなくなってきたのは、こういう理由によってアラブ諸国、EU諸国、BRICS等の他、中小国からも嫌われてきたからである。このままなら、ますます嫌われていくことになるはずだ。それで、既にこの国は国連内ではいい加減いじけているほどである。それでも国連から出ていかないのは、ここが活用できるからなのだ。
コメント (5)
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