随筆 「軽い発言」 H・Sさんの作品
「衆議院議員のTです。昨日遅く東京から帰って来ました。集団的自衛権行使の事で、皆様にお話ししたくて駆けつけました」と、地域の防災訓練会場に、予定にない人が突然現れ、喋り始めた。
「皆さんのおうちが火事になりました。消防士さんが火を消してくれます。隣接する消防士さんの家が火事になりました。自分の家の火事は消防士さんに消してもらっておいて、消防士さんの家が火事になった時、お手伝いは出来ません。こんなことが通用しますか?知らん顔で放っておくのですか? お互いに協力して火を消さないといけないでしょう。集団的自衛権を、例を挙げて説明するとこういうことなのですよ。みなさん。わかりますか?」と、訓練開始予定時間を、もぎ取って喋りまくった。
少しでも他国の戦争に加担したと見なされれば、この国を危険にさらすような法案を成立させるため、隣り合う二軒の家の消火活動と同じだと、言い切る。そんなはずはない。
火事と戦争は別物だ。戦争は殺し合いだ。それに日本が加担することだ。こんな次元の低い例え話で、有権者を馬鹿にするな。上から目線で集まった人たちを前に、さも活動しているように装う三十六歳の若手の衆議院議員の、発言にあきれ果てた。
薄っぺらい奴め。私は、Tには投票しないぞと、見据えた。
Tは、防災訓練の手伝いに来たわけではなく、演説だけして、さっさと退場。自家用車で、同じ日に施行された次の訓練会場へと走り去った。
この話は、昨年(二千十四年六月)、六十名の地区役員が公民館に集まった時のことだ。
今年八月。民放のテレビ番組に出演した安倍総理が、日本と米国。二つの国を、隣り合う家で起きた二つの火災に例え、Tと同じ発言をした。番組を見て納得した。自民党の中枢は、公認議員が、自分の選挙区に帰った時、有権者に集団的自衛権をこの様に説明するよう叩き込んだ。そういうことだ。
その矢先。滋賀県出身の若手衆議院議員Bが、安保関連法案反対のデモをしている学生団体に「戦争に行きたくないのは利己的個人主義」とツイッター発音をした。この議員は自分は国会議員、特別な人間だから戦争に行くことはない、デモに加わる学生たちをお前たちは俺の命令で動かせるパーツだと言わんばかりだ。
二十四歳の学生代表は「自分は戦争に行きたくない。他の人も戦場に送らない」と、事の重大さを理解して回答している。「戦争を止められるのは政治家ではなく私たちだ」と主張もしている。戦争に行きたくない。当たり前じゃないか。最近の若者は、世の中の出来事に悩みながら自ら行動している。この人たちに失礼だよ。
軽い発言は、資質に欠ける議員その者だ。この様な議員を選挙で選んだのは今の有権者だ。しかも、税金から高い給料を支払っている。決定権も与えられている。こんなことになった経緯を、しっかり見据え、一票を有効に使い、若い人たちに繋げる。そうしなければ、大変な目に合わされるのは後から生まれて来る人たちだ。私たち有権者の責任は重い。
「衆議院議員のTです。昨日遅く東京から帰って来ました。集団的自衛権行使の事で、皆様にお話ししたくて駆けつけました」と、地域の防災訓練会場に、予定にない人が突然現れ、喋り始めた。
「皆さんのおうちが火事になりました。消防士さんが火を消してくれます。隣接する消防士さんの家が火事になりました。自分の家の火事は消防士さんに消してもらっておいて、消防士さんの家が火事になった時、お手伝いは出来ません。こんなことが通用しますか?知らん顔で放っておくのですか? お互いに協力して火を消さないといけないでしょう。集団的自衛権を、例を挙げて説明するとこういうことなのですよ。みなさん。わかりますか?」と、訓練開始予定時間を、もぎ取って喋りまくった。
少しでも他国の戦争に加担したと見なされれば、この国を危険にさらすような法案を成立させるため、隣り合う二軒の家の消火活動と同じだと、言い切る。そんなはずはない。
火事と戦争は別物だ。戦争は殺し合いだ。それに日本が加担することだ。こんな次元の低い例え話で、有権者を馬鹿にするな。上から目線で集まった人たちを前に、さも活動しているように装う三十六歳の若手の衆議院議員の、発言にあきれ果てた。
薄っぺらい奴め。私は、Tには投票しないぞと、見据えた。
Tは、防災訓練の手伝いに来たわけではなく、演説だけして、さっさと退場。自家用車で、同じ日に施行された次の訓練会場へと走り去った。
この話は、昨年(二千十四年六月)、六十名の地区役員が公民館に集まった時のことだ。
今年八月。民放のテレビ番組に出演した安倍総理が、日本と米国。二つの国を、隣り合う家で起きた二つの火災に例え、Tと同じ発言をした。番組を見て納得した。自民党の中枢は、公認議員が、自分の選挙区に帰った時、有権者に集団的自衛権をこの様に説明するよう叩き込んだ。そういうことだ。
その矢先。滋賀県出身の若手衆議院議員Bが、安保関連法案反対のデモをしている学生団体に「戦争に行きたくないのは利己的個人主義」とツイッター発音をした。この議員は自分は国会議員、特別な人間だから戦争に行くことはない、デモに加わる学生たちをお前たちは俺の命令で動かせるパーツだと言わんばかりだ。
二十四歳の学生代表は「自分は戦争に行きたくない。他の人も戦場に送らない」と、事の重大さを理解して回答している。「戦争を止められるのは政治家ではなく私たちだ」と主張もしている。戦争に行きたくない。当たり前じゃないか。最近の若者は、世の中の出来事に悩みながら自ら行動している。この人たちに失礼だよ。
軽い発言は、資質に欠ける議員その者だ。この様な議員を選挙で選んだのは今の有権者だ。しかも、税金から高い給料を支払っている。決定権も与えられている。こんなことになった経緯を、しっかり見据え、一票を有効に使い、若い人たちに繋げる。そうしなければ、大変な目に合わされるのは後から生まれて来る人たちだ。私たち有権者の責任は重い。