「立憲主義の危機」シンポに1400人 憲法学者批判続々(15.6.7 毎日新聞)
安全保障関連法案の衆院審議が続く中、京都大学名誉教授で憲法学者の佐藤幸治氏が6日、東京都内で講演し、「憲法の個別的事柄に修正すべきことがあることは否定しないが、根幹を変えてしまう発想は英米独にはない。日本ではいつまでぐだぐだ(根幹を揺るがすようなことを)云うのか、腹立たしい」と述べ、憲法を巡る現状へのいらだちをあらわにした。法案を巡っては4日の衆院憲法審査会で、自民党推薦の参考人・長谷部恭男氏を含む憲法学者3人全員が憲法9条違反だと批判。自民は当初佐藤氏に参考人を要請したが断られ、長谷部氏を選んでいた。
佐藤氏は「(憲法という)土台がどう変わるか分らないところで、政治と司法が立派な建物を築くことはできない」とも語り、憲法の解釈変更で安保法制の整備を進める安倍政権への不信感をにじませた。
講演は「立憲主義の危機」と題するシンポジウムで行われた。続く討論で安保法制について、樋口陽一・東京大名誉教授が「(関連法案の国会への)出され方そのものが(憲法を軽んじる)非立憲の典型だ」と、また石川健治・東京大教授が「憲法9条の論理的限界を超えている」と、憲法学の立場から政府のやり方を厳しく批判した。
会場の東京・本郷の東京大構内では、開始前に700人収容の会場から人があふれ、急きょインターネット中継を利用して300人収容の別会場が用意された。だが、そこも満員で立ち見が出る盛況ぶりで、最終的に約1400人が詰めかけた。開始20分前に付き、別会場に誘導された埼玉県入間市の日本語教師の男性(66)は、「安保法制の進め方は民主主義とは違うと感じていた。それが確かめられ、すっきりした」と満足そうに話した。
主催した「立憲デモクラシーの会」は昨年4月に設立され、樋口、石川両氏のほかノーベル賞を受けた理論物理学の益川敏英氏など日本の代表的知識人約60人が呼びかけ人に名を連ねている。
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政府が国会に提案した安全保障関連法案について、日本の憲法学の第一人者の人たちが「憲法違反」と批判しています。また3日には愛敬浩二名大教授らが呼びかけ人となって「安保法の廃案を求める声明」を発表しましたが、170人を超える学者が賛同を表明しています。昨日のシンポジウムへの市民の参加状況を見ても、多くの国民が政府の強引なやり方を批判していることが分ります。
きょう(7日)の中日新聞は「『行使基準』から『違憲性』へ安保法案審議の焦点移る」として、これまではどういう状況なら集団的自衛権の行使がゆるされるかの基準に議論が集中していたが、法案の違憲性に論議の潮目が変わった。政府側は「憲法解釈は行政府の裁量の範囲内と反論しているが、この説明は「政府が合憲と判断したから合憲だ」と主張するに等しいと政府を批判しています。国会の審議状況を監視していきましょう。
大西 五郎
安全保障関連法案の衆院審議が続く中、京都大学名誉教授で憲法学者の佐藤幸治氏が6日、東京都内で講演し、「憲法の個別的事柄に修正すべきことがあることは否定しないが、根幹を変えてしまう発想は英米独にはない。日本ではいつまでぐだぐだ(根幹を揺るがすようなことを)云うのか、腹立たしい」と述べ、憲法を巡る現状へのいらだちをあらわにした。法案を巡っては4日の衆院憲法審査会で、自民党推薦の参考人・長谷部恭男氏を含む憲法学者3人全員が憲法9条違反だと批判。自民は当初佐藤氏に参考人を要請したが断られ、長谷部氏を選んでいた。
佐藤氏は「(憲法という)土台がどう変わるか分らないところで、政治と司法が立派な建物を築くことはできない」とも語り、憲法の解釈変更で安保法制の整備を進める安倍政権への不信感をにじませた。
講演は「立憲主義の危機」と題するシンポジウムで行われた。続く討論で安保法制について、樋口陽一・東京大名誉教授が「(関連法案の国会への)出され方そのものが(憲法を軽んじる)非立憲の典型だ」と、また石川健治・東京大教授が「憲法9条の論理的限界を超えている」と、憲法学の立場から政府のやり方を厳しく批判した。
会場の東京・本郷の東京大構内では、開始前に700人収容の会場から人があふれ、急きょインターネット中継を利用して300人収容の別会場が用意された。だが、そこも満員で立ち見が出る盛況ぶりで、最終的に約1400人が詰めかけた。開始20分前に付き、別会場に誘導された埼玉県入間市の日本語教師の男性(66)は、「安保法制の進め方は民主主義とは違うと感じていた。それが確かめられ、すっきりした」と満足そうに話した。
主催した「立憲デモクラシーの会」は昨年4月に設立され、樋口、石川両氏のほかノーベル賞を受けた理論物理学の益川敏英氏など日本の代表的知識人約60人が呼びかけ人に名を連ねている。
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政府が国会に提案した安全保障関連法案について、日本の憲法学の第一人者の人たちが「憲法違反」と批判しています。また3日には愛敬浩二名大教授らが呼びかけ人となって「安保法の廃案を求める声明」を発表しましたが、170人を超える学者が賛同を表明しています。昨日のシンポジウムへの市民の参加状況を見ても、多くの国民が政府の強引なやり方を批判していることが分ります。
きょう(7日)の中日新聞は「『行使基準』から『違憲性』へ安保法案審議の焦点移る」として、これまではどういう状況なら集団的自衛権の行使がゆるされるかの基準に議論が集中していたが、法案の違憲性に論議の潮目が変わった。政府側は「憲法解釈は行政府の裁量の範囲内と反論しているが、この説明は「政府が合憲と判断したから合憲だ」と主張するに等しいと政府を批判しています。国会の審議状況を監視していきましょう。
大西 五郎