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「書評の予告」の続き  文科系

2014年05月05日 20時21分10秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 「書評の予告」の続き
ーーEUのこんな「世界貢献」が日本で見えないのは何故なのか?   文科系

 4月14日にエントリーした『「求めてきた内容」の本』の続きである。そこでこんなことを予告させていただいた。
『 以前から、こんな本を探していた。世界政治の近未来を、世界経済の過去1世紀以上の長期的変遷様態分析から探っていこうとする読み物を。(中略)長期的に見て世界金融資本と産業資本との関係とか、その国の経済力が世界的重要度ではどう推移してきたかとかを少なくとも一世紀単位で観てみたかった。(中略)さて、そんな問題意識から格好な本を探していて以降もあれこれと新聞書評欄を見たり、立ち読みなどを繰り返してきたが、以降で最も期待が持てそうな著作に出会った。まだ、書き出しの第一章とちょっとしか読んでないが、岩波新書・進藤栄一筑波大学名誉教授の「アジア力の世紀」である(以下略) 』

 さて、この本の第1章、200年視野ほどの世界経済動向を4月14日に抜粋中心でまとめておいた。それを踏まえて今回は、現世界の経済情勢認識の最も重要なところを抜粋してみたい。全7章中、第6章「欧州危機から見えるもの」からの抜粋である。
 ここの結論は、こういうことだ。「100年に1度」と言われた米国発サブプライム・バブル爆発による被害をギリシャ危機などを通じてまともに被ったEUが、侮蔑気味に予測されていた「分裂、解体」にどうして陥らなかったか。それどころかEUが、「世界の市場」「(世界恐慌状態の中の)最後の貸し手」であり続けたことによって、1929年世界恐慌後の第2次大戦のような世界崩壊事態を防いでくれたのだと述べられている。以下は、その抜粋。

『確かに、1929年の世界恐慌と、2009年のリーマン・ショックに始まる世界金融危機との類似性は、いくつも指摘できる。二つとも米国発の危機であり、米国流資本主義の破綻のあらわれだ。銀行と証券会社の垣根を取り払って、金融資本を跋扈させた点でも同じだ。前者は大戦後の、後者は冷戦後の、戦後景気に沸いた米国が、自由放任的なネオリベラル政策を導入し、貧富の差の拡大を野放しにした点も同じだ』(201ページ)

『欧州の金融機関が、米国製の証券化商品を大量に買い込んでいることが明らかになり、欧州金融機関の信認が揺らぎ始めたのだった。そして09年10月、ギリシャ政府の債務残高隠しの発覚をきっかけに、ユーロの信認が一挙に失われて、危機は欧州の大手金融機関に及んだ。(中略)ギリシャは、ユーロ圏に加盟するために、粉飾決算まがいの手法を使って、財政赤字も累積債務も実態より低く報告していたことが判明した。その報告書に、ゴールドマンサックス社が関与していた。かって87(九七の誤植だろうー文科系)年夏に始まるアジア通貨危機の陰で、米国のヘッジファンドが暗躍していたように、ギリシャ危機の背後に、米国のファンドと財務省が暗躍していると噂された。米国が金融危機回避のため、欧州に仕掛けた危機だとも、時に位置付けられる』(202ページ)

『しかし、第二の世界大恐慌は起こらなかった。EUは、たゆたいながらも沈まない。ギリシャ危機以来二年半を経過したいま、EUは、危機を乗り越え着実に前に進んでいる。なぜ、「百年に一度」の悪夢は再来せず、EUもユーロも沈まないのか』(204ページ)

『それは二九年の世界と違って多様な国際機関が機能し、諸国家間の貿易相互連結度が深化しているからだけではない。広大な新興国市場が存在するから、だけでもない。何よりも「巨大単一市場」EUが、たゆたいつつも危機の収束機能を自ら果たし続けているからなのである。(中略)EU市場の広がりは、新興国市場よりもっと大きく、その底はもっと深い。市場規模は六兆一一二〇億ドル(一〇年)。中国市場の四倍、アメリカ市場の三倍に達する。EUだけで全世界対外輸入市場(一七兆八二三二億ドル)の三四・三%を占める。そして中国にとっては、かっての日本に代わってEUが最大の輸出市場となり、中国の長期高度成長の支え手となっている。巨大市場をもつ欧州共同体が、新興国と世界の成長を支える大消費地帯へと変貌していたのである』(206ページ)

『EUはまた、金融投資規制を軸にカジノ資本主義への規制強化策を打ち出した。そしてそれを、グローバルな金融規制へつなげようとしている。ファンドや格付け機関への規制、役員の過剰報酬規制から、銀行・役員の金融活動税の創設。投機的金融取引への国際取引課税の導入。さらには、銀行の自己資本比率を高めて過剰投機を抑止するバーゼルⅢから、ケイマン諸島など法人課税逃れの租税回避地への国際的規制に至る』(214ページ)

 さて、アメリカべったりのせいか、日本では欧州のこんな「活躍」、「世界的役割」は知らされていなかったように僕には見えた。アメリカべったりというよりも、日本政府がまだまだカジノ資本主義にも希望を繋いでいるということなのだろう。物作りで黒字を作ってきた中国から、アメリカとともにいつか金融で巻き上げてやろうとかの道を探っているのでもあろう。これに対して欧州は、やはり二つの大戦から日米よりもはるかに多くのことを学んでいるということなのか、永年の恩讐を超えて和解し手を繋ぎ合った独仏と、ますます険悪な日中韓。

(この本の要約はまだ続きます。ただし、長くじっくりとやっていきたい)
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日経新聞世論調査     大西五郎

2014年05月05日 18時55分22秒 | Weblog
日経新聞世論調査で「憲法改正すべし」が44%
昨年比-12ポイント、「改憲反対」が過去最高44%
                                  2014.5.6 大西 五郎

 日経新聞は憲法記念日を前にテレビ東京と共同で4月18~20日に憲法についての全国世論調査を行い、5月3日に結果を発表しました。それによりますと、「憲法はいまのままでよい(改正反対)」が44%、「改正すべきだ」が44%でした。
 日経新聞は2004年から毎年のように憲法についての世論調査を行ってきました。これまでの調査では毎回「憲法を改正すべきだ」が「現状維持(改正反対)」を上回ってきましたが、今回の調査では「改正反対」が昨年の調査より16ポイント増えて、過去最高の数値になりました。「改正賛成」は昨年は56%で過去最高でしたが、今回12ポイント減り、はじめて「改正に賛成」と「反対」が同数で並びました。

国民は「憲法の平和主義が大切」

 「現在のままでよい」と答えた人に理由を複数回答で聞くと、「平和主義が変質する恐れがある」が48%で最も多く、「よほどのことがない限り、憲法は改正すべきでない」が40%、「現在のままで特に問題はない」が28%でした。「憲法の平和主義を大切に」という人が多いことが分かります。
「9条改正」は改正派にとっても要求の中心ではない
 一方、「改正すべし」と答えた人にもその理由(複数回答)を聞きましたが、最も多かった理由は「二院制など国会のあり方を見直すべきだ」で54%。次いで「9条を見直すべきだ」が34%、「環境権などの新たな権利を加えるべきだ」の31%と続きました。安倍首相や自民党は「9条改正」を憲法改正の中心テーマにしていますが、一般の国民の間では「9条改正」は改正要求の主流ではないということです。

安倍首相の「改憲前のめり」を国民が心配か

 「憲法改正すべし」が昨年より低くなっていることについて日経新聞では「今国会では憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案が成立する見通し。政府は夏に集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更を閣議決定する考え。回答の傾向の変化には、最近の一連の動きが影響した可能性がある。」と分析しています。日経新聞は遠まわしに言っていますが、要するに安倍政権の“改憲前のめり”の姿勢に国民が「このままいくと、戦争が近づくのではないか」という不安を感じ始めたということでしょう。

国民世論を無視した安倍政権をなぜ批判せぬ

 日経新聞の同じ面(4面)では「米副大統領石破氏を厚遇、注文も 『集団的自衛権』歓迎 日韓関係の改善要求」とアメリカに「集団的自衛権の行使容認」について了解してもらうために訪米した自民党の石破幹事長とアメリカのバイデン副大統領との会談を大きく取り上げていました。
 この3月から4月にかけて行われた朝日新聞、毎日新聞、中日新聞、共同通信のどの世論調査でも「憲法9条改正」「集団的自衛権の行使」「解釈変更による『改憲』」には国民の過半数が反対しています。新聞は「国民の理解を得ないまま、アメリカに報告に行く安倍政権と与党の動き」を批判すべきだと思います。                                 (了)
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