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世界から日本、9条を見る  文科系

2013年01月09日 09時34分47秒 | 国内政治・経済・社会問題
 安倍政権が生まれた原動力が、今の日本の主として経済沈滞にあることは明らかだ。よって、この沈滞をどう見るかでまた、安倍政権(的政策、雰囲気)が続くかどうかの見通しも全く違ってくる。9条派は今、旧左翼の沈没などだけを中心に日本の近い将来を見るべきでは全くなく、今こそ世界経済とか世界政治とかに目を向けるべき時だと思う。そうすると、安倍政権を見る目も全く違ってくるはずだ。

 最近、NHK出版新書の2冊の本を拾い読みした。一方は「ケインズはこう言った 迷走日本を古典で斬る」。昨年8月に出版されたこの本の著者・立命館大学教授は、米ブルッキングス研究所客員研究員や通産省大臣官房企画室主任研究官を経てきた人だ。こういう人が書いたこの本を要約するとこんな内容になるから、驚くのである。
 今、ケインズの目で日本経済を見ると、資本主義経済の安楽死へ導くような経済学を書くだろう。マルクスが、資本主義の制度的矛盾を揚棄すべきだと語ったように。
 もう一方のNHK出版新書は「なぜ日本経済が21世紀をリードするのか ポスト『資本主義』世界の構図」。こちらは昨年2月に出て、著者は、アメリカの大学二つに学び、国連食糧農業機関にも勤めていた方で、こんな内容の本だ。資本主義とはこのように不安定なものであり、その病理は根深い。サブプライムバブルはこのようにして必然的に起こったものであって、そもそも「資本主義は永遠なのか」。これは最終章の題名であり、その副題が「ポスト資本主義の世界経済と日本」となっている。ちなみにこの著者は、日本政治にはきわめて辛口だ。
『2010年に誕生した『減税日本』と『大阪維新の会』の二つの新党の勢力が伸長すれば、政治の混迷は深まるばかりだということも、あまりにも明白です』(「はじめに」から)
『この、現在の日本の政治的、経済的混迷の根っこにあるのは、政策処方についても、政治制度や官僚制度の改革についても、浅薄な自由主義思想が幅をきかせていることによります』(「あとがきに代えて」)
 なお、この著者がこの本で使っている「自由主義思想」とは、従来でいう「経済学」という「科学」のことだがと語られている。よってこの本がマルクスやケインズを名指したその教えをちりばめていることも必然だ。ただし、この著者が、マルクス、ケインズ二人の本質を見る目は前者の立命館大学教授とは全く違っている。この点がまた、世界の将来を見ていくという興味から、僕にはとても面白かった。

 こんな2冊の本が去年相次いでNHKから出ているという時点に、何か隔世の感を感じるのである。これも多分、政権交代の好遺産の一つなのだろう。文教族が多い自民党森派の天下がずっと続いていたら、NHK統制に抜かりはなかったはずだからだ。

 さて、こんな状況で安部成長路線に持続可能性などあるはずがないではないか。日銀に貨幣を増やさせ、公共投資で景気刺激をして、2%のインフレ目標を達成するなどという古臭い弥縫策で、今の世界が抱えた問題に立ち向かえるわけがないのである。上記著書前者ならこう言うだろう。
「これで『非自発的雇用者』が減っていくなら、大賛成してやるがね?」
 「非自発的雇用」とは、著者の作った言葉であって、この書の焦点的概念だ。2000時間働いても200万円を切る、時給1000未満の労働者たちのことだと述べている。
 後者も安倍「成長」路線について例えば、こう語るだろう。
「ドル体制が崩壊するのだよ。日本が持っている1兆ドルの処理に困るはずだが。また、1ドルなんて間もなく50円の価値もなくなるはずだが、対米貿易はどうするの? そうでなくとも、エネルギー問題こそ目前の世界が避けて通れぬものだよね?」
 安倍のこんな策はせいぜい持って2年。その間に公的累積赤字がまた100兆円も増えるのが関の山だろう。そうでなければそもそもどうして、「資本主義が終わるか」とか何とかなどなどと学者たちが論じ始める必要があるのか。それも、世界を見てきたはずの学者たちが天下の公共放送NHKからなのである。彼らこそ正しいことは、以下のいくつかの世界情勢を揚げただけでも明らかである。アメリカの財政の崖やイラン制裁に反対してきた人物の国防長官就任。ヨーロッパの、出口が見えない失業者数。ブリックス諸国も中国を筆頭として、同じ問題を抱え始めているのである。
 僕は今後このブログでも、こういう目で安倍政権を見て、エントリーを続けていきたいと決意している。経済的に持たない政権など、5年も持つはずがないではないか。かといって、安倍がヒトラーになるほどには、世界の民主主義が弱いとは言えないはずである。同盟国、アメリカも音を立てて変わっていくだろうから。
コメント (5)
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