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東大京大教員懲戒事件
早大慶大川短  〃

iPSへの期待危惧と万能の限界

2017-10-11 15:06:38 | 日記

 いまゝでも然うであり、これからも然うだろうとは想いますが、iPS細胞についてはやはり気懸りでなりません。山中先生へのノーベル賞授賞は、同細胞療法を担保したともいえ、そのかぎりでは、一応の安心感もえました。しかし、いまなお喉に刺さった小骨としてのこるのは、「人体への影響については、未知の部分もある」(厚労省科学技術部会ががみとめたiPS細胞などの臨床研究指針)という公式見解です。

 ES細胞・iPs細胞、どちらも万能性が喧伝されてきています。しかし、極端な例ではあるのでしょうが、個体のキメラ化・臓器や組織のガン化、そうした夢想外の発現も否定できないなどときくと、必ずしも全幅の信頼をおくには躊躇するものがあります。キメラ化! なんて想像するだに、身の毛のよだつおもいです。もちろん、そうしたことのないよう万全を期してはいるのでしょうが、文字通りの万能性には?が付くのも確かなようで、ちょっぴり落胆を禁じえません。尤も、万物の創造主ご自身は、かろうじて皮一枚で首がつながり、一安心というところでしょうか。

 では、万能とはいえない所以はなにか。それは、一言ですると、採取細胞の”個性”にあるようです。さしづめ、良い細胞・ふつうの細胞・悪い細胞があって、それぞれの個性を開花・主張して、山中先生らが、予定したとおりには調和しない、というところでしょうか。同種であるのに、この細胞は予定通りに分化し、あの細胞は旧態依然!  之、万能の限界の一端のようにおもえてきます。
 ただ次の見解をどうみるかは、お人により岐れるのではないでしょうか。iPs細胞をつくるときに不可避的に発生するDNAの変異の大部分(97%強)が癌化とは無関係(理研の村川リーダー)、の由。

 iPs応用の創薬への期待も大きい。ただ、事前の臨床を十二分に為なければ、危惧は現実となるかもしれません。臨床実験の徹底をのぞんで已まないゆえんです。ES細胞の実験研究に、倫理的な問題の生起を予め想定し、規制の箍をはめたのと同様に、iPs細胞の野放しも禁物ではないでしょうか。


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