みつまた大根/レンバイ=鎌倉農協連合販売所
「おみおって何?」
「えっ?知らな~い」
聞かれた子は首を傾げながら、さらに隣の子に聞いている
鎌倉で一番人通りが多く、普通のシーズンは真っ直ぐには歩けないほど混雑している小町通りも、今の夏最盛期だけは人影も疎らだ。
ふと華やいだ賑やかな声が一つの店内から、小町通りまで響きわたって来る。
何事かと足を止め、?つけもの〝と布に染められた大きな文字の暖簾が軒下から床まで掛かっている。狭い店内に足を踏み入れると、7~8人の女子中学生と思しき一行が、家で待つ者へのお土産の物色中なのか、一袋を手にとってはその都度、相談なのか品定めをしている。店の人は彼女達から離れてにこやかに黙って見ている。
彼女たちはどこから来たのか、皆が私服だが、揃いのバックを肩からタスキ掛けしている。言葉の端々から判断すると福島か宮城らしい。彼女たちが迷っている理由を探してみた。陳列ケースの中には一般的な蕪つけ、大根つけ、茄子つけ等の他にチーズつけ等の名前も見える。彼女達の視線の先に、『一番人気!筍つけ』の文字が見えた。その一袋の横に『おみおつけのお供にいかがですか?』の小さな旗が立ててある。
「おみおって何?どんな漬物?」「糠漬の意味?あれは臭いよ」「私も味が苦手だな~」「お母さんは好きかも」と様々な感想。
日本語では尊重すべきものの語頭に『御』をつけることは皆知っている。
しかし、もし「おみおつけ」に『御』の文字を三つも並べ「御御御付け」と書いてあったら、場所がどこであれ、自分だって勘違いしたに違いない。今でも一般的に味噌汁を「おみおつけ」と呼ぶのは古い東京人だけかも知れない。
市場には出せない奇形大根ですか。どうしてこんな大根ができるのか分かりませんが、面白いですね。「大根」は冬の季語ですので、このごろの大根は夏大根といいます。春には春大根という季語にします。子供の頃、母親に大根おろしをさせられましたが、尻尾からおろすとからいということで、よく大根おろしをさせられたことを思い出しました。
今でも、大根おろしは私の仕事です。