海側生活

「今さら」ではなく「今から」

寝る子は育つが 

2018年01月21日 | 感じるまま

    (蝋梅/浄智寺・鎌倉)

「寝る子は育つ」という言葉がある。
日常の暮らしの中から自然に語り継がれた言葉であろう。泣いてばかりいて親を困らせるような赤ん坊ではなく、乳を飲ませればすぐスヤスヤと眠ってしまうような幼児は親にとっても有り難い。そんな子は元気にスクスクと育ってくれるに違いないとの願望を込めた気持ちが、その短い言葉に込められているに違いない。

と当たり前のことを思ったのは、それならば、よく寝る年寄りはどうなるかが気になったからだ。
子供はよく寝ることで良く育つだろうけど、では年寄りはよく寝るとその先はどうなるのか。今さら育つ余地は残っていないのだから、せいぜい老化の速度が鈍るとか、病気に罹ることが少なることぐらいで満足しなければならないのか。

振り返ってみると、ここ幾年かのあいだに急によく寝るようになった。夜間の睡眠の事ではない。昼間の居眠りの話である。ずいぶん以前から乗り物に乗ったら電車だろうと飛行機だろうと、あの振動で心地よくなり、夢の世界に誘われたものだった。最近はそれに食事を摂ったら必ず眠くなる。また気持ちの集注を切らした時にスッと眠くなる。本を開いても睡魔に襲われる。しかし夜の睡眠時間が不足しているとは思えない。今も朝は目覚し時計に起こされる。

総じて老いた人は若い人より居眠りすることが多い。そしておそらく居眠りの時間も長いだろう。これほど眠くなるのは若い頃の不摂生や寝不足のツケが回ってきたのかとも思ったが、今はその原因よりも、こんなによく眠る老人の今後が気掛かりだ。
あまりにもよく眠ったら、その先の眠りの時間がなくなったり、眼を覚ますことを忘れてしまったりしないかと気に掛かる。