海側生活

「今さら」ではなく「今から」

全力を込める

2011年11月07日 | 魚釣り・魚

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やっと秋らしくなったのか、早朝の港に吹き込む風が思わず身震いさせた。

海水温度が例年より高く、思うようには獲れないと日頃から愚痴ってた“せいちゃん”の顔に今日は笑みが浮かんでいる。
浜に引き上げられた舟に積まれた網から、掛かった魚を手際良く一匹づつ外す手先を見ていると、実に様々な魚がいる。まるで小さな水族館だ。

“せいちゃん”の今日の本命はカサゴだ。
本命の他にメバルもいる、コハダやメジナも混じっている。中には歓迎されない魚もいる。体長50cmぐらいの可愛いサメやアンコウに似たシビレ、この生き物は素手で触ると手首あたりまで電流が走るそうだ。
網に掛かっているのは魚だけではない。サザエの空殻や海草の屑も無数に絡まっている。ヒトデもいる。

思わず目を見張る魚が顔を覗かせた。カトッポだ。オチョボ口で愛嬌のある目が自分を見ている。
この浜でも“達人”は器用に調理するが、自分は出来ない。身は無毒だが体表から毒を出す。やはり下手な調理は危ない。
故郷に近い長崎・五島でこの料理を食べた事がある。このハコフグは全身を硬い甲羅に包まれ、形は箱状になっている。釣りでは滅多にお目にかかることは無い。
しかし食べると最高に美味い。焼いて腹部の甲羅を外して、味噌とミリンと合わせたものを腹に詰めて焼く。繊維質の身は味噌と良く絡む。一緒に葱や生姜も合えると又一段と美味くなる。又刺身にしても透明感のある白身は甘味が強く美味い。

カサゴも箱にイッパイになった。

自分は魚の顔を見るのが好きだ。いつでもビックリしたように、全力を込めた目でモノを見る。魚の顔ほど真面目で真剣なものは、他には見られない。