よみびとしらず。

あいどんのう。

暁の風

2020-09-02 10:12:29 | 散文
吐き出した息のぬくもりの行方は
太陽だけが知っていた
かわいた風を道しるべにして
夜は求めたひかりの在処

ひと呼吸して醒めた世界に
つめたい身体は熱を求めた
あなたを求めた真昼の夜空に
おり重なったのは
同じ景色の異なる朝(あした)

いまいる場所が何処であろうと
暁に風は吹き
夜は光に押し戻されて空の彼方へ
遠い記憶を懐かしみながら
夜はひかりの在処をうけてその姿隠す

一緒にはいられないことを知っていた

その風は帳(とばり)をはらいて夜は明けて
空は少しずつ夢から醒めて今日の色に染まる
場所同じくしてあなたは消えた

あなたの求めるものに満ちた世界にあなたは不在で
夜の終わりにはいつも後ろ髪ひかれた
その度に暁の風はわたしを押しやり
ただ前を見て受け入れるしかなかった新しい朝は
あなたが求めた温かなひかりに満ちている

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