黒猫のつぶやき

法科大学院問題やその他の法律問題,資格,時事問題などについて日々つぶやいています。かなりの辛口ブログです。

公益法人改革の行方

2006-04-29 18:35:24 | 司法一般
 現在,国会に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」案と「公益社団法人及び公益社団法人の認定等に関する法律」案が提出されていますが,この2法案が可決・成立し施行されると,わが国の法人制度は大きく変わることになります。

 現行法における法人の分類は,
・公益法人(社団法人及び財団法人)
・中間法人(中間法人法に基づく中間法人,NPO,マンションの管理組合法人など)
・営利法人(株式会社,有限会社等)
に大別されます(もっとも,会社法施行に伴い,有限会社が廃止されることなどは皆さん既にご存じだと思いますが)。
 上記2法が施行されると,中間法人法に基づく中間法人と,民法上の公益法人が一元化され,「一般社団法人」「一般財団法人」という名称に変わります。そして,公益性のある団体については,内閣府に置かれる公益認定等委員会の審査を経て内閣総理大臣の公益認定(一の都道府県内のみで活動するような団体については,都道府県知事が公益認定を行う場合もある)を受けることにより,「公益社団法人」「公益財団法人」となることができます。公益認定の基準に適合しなくなった場合には,公益認定が取り消され,その場合にはもとの一般社団法人・一般財団法人に戻ることになります。
 なぜこのような改正が行われたかですが,一番大きな理由は,現行法だと公益法人の活動に公益性がなくなってきた場合,法律上公益性を剥奪するという方法が無く,処分の方法としては設立許可を取り消し法人を解散させるしかないため,重すぎて事実上処分権限を発動できず,その結果公益性の乏しい公益法人が多くなってきたからということのようですね。

 経過措置については,まず現行の有限責任中間法人・無限責任中間法人はいずれも新法の一般社団法人として存続しますが,前者については施行日の属する事業年度終了後最初の定時社員総会終結までに,名称を一般社団法人に変更しなければならないものとされている一方,無限責任中間法人の名称はそのまま使用できます。
 現行の公益法人(社団法人及び財団法人)については,施行後5年間はそのままの名称で存続できますが,その移行期間中に公益認定を受けて公益社団(財団)法人となるか,あるいは認可を受けて一般社団(財団)法人とならなければならず,どちらもしないと移行期間の満了をもって解散したものとみなされてしまいます。
 ちなみに,現行の特定非営利活動法人(NPO法人)制度については,そのまま存続します。

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
たぶん (みうら)
2006-05-08 17:58:53
無限は、1年で解散するからでしょうね。
返信する