検討会議の中間的取りまとめが公表されたこともあり,最近は平成25年度の法科大学院入学者数に関心が集まっていますが,昨年の例から考えると,おそらく文科省が全法科大学院の入学者数に関するデータを公表するのは,6月頃になる可能性が高いです。
そこで,各大学のホームページ等から可能な限り,今年の入学者数に関する情報を集めてみたのですが,まだ入学者数を公表していないところが多く,現時点で判明している情報は以下のとおりです。
(人数はいずれも平成24年度→平成25年度)
新潟大学 5名→ 5名
名古屋大学 68名→ 63名
京都大学 170名→ 162名
大阪大学 84名→ 91名
島根大学 3名→ 2名(中国新聞報道による)
岡山大学 36名→ 25名
九州大学 71名→ 50名
白鴎大学 5名→ 6名
慶應義塾大学 230名→ 216名
駒澤大学 9名→ 7名
専修大学 41名→ 29名
立教大学 50名→ 27名
名城大学 16名→ 9名
龍谷大学 26名→ 15名
関西学院大学 46名→ 34名
甲南大学 24名→ 13名
全体の入学者数は今のところ「約2,800人」説が有力ですが,一部に約2,500人説も囁かれており,正確には分かりません。
ただし,仮に全体の入学者数が2,800人であったとしても,今年は「2,800人が新たに法科大学院へ入学して法曹への門戸を叩いた」と理解するのは正確ではありません。入学者数の中には,「新たな法曹志望者」にカウントするのは適切でない人数が含まれている可能性があるからです。以下に,主なものを列挙します。
(1)再入学者(リピーター)
現在の司法試験は,法科大学院を修了しても5年間で3回までしか受験することができません。そのため,法科大学院を修了し法務博士の学位を取得しても,司法試験の受験資格を喪失したため(あるいは受験資格を喪失する見込みとなったため)再度法科大学院に入学する人がいます。このような人は「再入学者」あるいは「リピーター」と呼ばれていますが,このような法科大学院入学者を「新たな法曹志望者」にカウントするのは,もちろん適切ではありません。
実際の再入学者がどのくらいいるのかは,正確な調査が行われていないので分かりませんが,例えば,大東文化大学大学院法務研究科評価報告書(大東文化大学法科大学院の認証評価報告書)の27頁には,以下のような記述があります。
「また,近年は他の法科大学院の修了者で既に司法試験を3回受験して合格できなかったいわゆる「三振者」が当該法科大学院を受験する例も増加し,全体として2年次に入学する法学既修者の数が従来より多くなった。」
他の法科大学院についても,特に下位校では再入学者(リピーター)が多いという噂を時々聞きますので,その人数に留意する必要があります。
(2)仮面浪人・事実上の転入学者
大学入試では以前からよくある話ですが,法科大学院についても,例えば東大・一橋・京大といった有名大学の法科大学院入試に失敗した人が,滑り止めで合格した他の法科大学院に入学し,入学後も有名大学に入るための受験勉強を続けるという例が相当数あるようです。
仮に,2012年度に仮面浪人としてどこかの法科大学院へ入学した人が,2013年度に別の法科大学院へ入学し直したという場合,その人は2012年度入学者と2013年度入学者の両方にカウントされるため,後者を「新たな法曹志望者」にカウントするのは,もちろん適切ではありません。
一部の法科大学院では,他の法科大学院に在学中の人を対象とする「転入学制度」を設けているところがあり,入学者数の統計を取る場合にそのような「転入学者」は除外するものとされていますが,転入学制度によらない「事実上の転入学者」は入学者数にカウントされてしまっています。
「事実上の転入学者」がどのくらいいるのかは,正確な調査が行われていないので分かりませんが,下位校の中には少しでも入学者数を集めるため,授業料全額免除といった出血大サービスを行っているところも少なくないので,そのような下位校が仮面浪人に利用されている可能性は大いにあります。
(3)予備試験受験者の滑り止め
法科大学院は,建前上法曹養成の中核的機関とされていますが,実際には法科大学院の入学者数より,(法科大学院に修了することなく司法試験の受験資格を得られる)予備試験の受験者数の方が多くなっています。
例えば平成24年度の場合,法科大学院の入学者数は3,150人であったのに対し,予備試験の受験者数は7,183人でした(もちろん,両者を単純比較するのは問題がありますが)。そして,受験者のうち1,636人は大学生であり,526人は法科大学院生でした。
最近は,法科大学院生の間でも予備試験の受験が流行しており,若くして法曹を目指す人は,大学1年生くらいから(有名私立大学に内部進学を決めた人は高校3年生くらいから)予備試験の勉強を始める例もみられます。
こうした予備試験受験者が,大学4年生までに予備試験に合格できず,滑り止めとして仕方なく法科大学院へ入学する場合,その人は法科大学院なんか存在しなくても予備試験ルートで法曹を目指すことが期待される人であり,実際には入学後も法科大学院の授業などは適当にこなすだけで予備試験の勉強を続ける例が多いので,こうした人は「法科大学院の入学者数」にはカウント出来ても,「新たな法曹志望者」にカウントして良いかは疑問の余地が残ります。
(4)就職活動のモラトリアム
法科大学院は,本来法曹を目指す人のための大学院であり,制度発足当初の「法科大学院バブル」と呼ばれる時期には,真剣に法曹を目指す比較的優秀な人が法科大学院に入学したのですが,法科大学院の人気が低迷してくると,就職活動に失敗した大学生が,いわゆるモラトリアムの場として法科大学院に入学する例も多くなっているようです。
特に,未修者コースでは法律の試験を課されず,一種のパズル試験に過ぎない適性試験と小論文,面接くらいの試験で入学できてしまうので,法学部生なのに法律の知識が何も身に付いていないような人でも入学できるのが特徴であり,一応法曹を目指すという大義名分も出来ますので,たしかにモラトリアムの場としては他の大学院より魅力的でしょう。
もっとも,法学部を修了しても何一つ身につかなかった人が,法科大学院に入学しても結果は知れており,実際に法科大学院を修了しても法律の知識がろくに身に付いておらず,予備校の講師から「入門講義から勉強やり直しなさい」と宣告されてしまう人が相当数いるようです。
このような人は,「法科大学院の入学者数」にはカウント出来ても,「新たな法曹志望者」にカウントして良いかは大いに疑問の余地が残ります。
仮に今年の入学者数が2,800人だったとして,その中から再入学者,事実上の編入学者,予備試験受験者,就職活動モラトリアム希望者を順次差し引いていくと,実質的な「新たな法曹志望者」と呼べる人はほとんど残らないのではないでしょうか。
そこで,各大学のホームページ等から可能な限り,今年の入学者数に関する情報を集めてみたのですが,まだ入学者数を公表していないところが多く,現時点で判明している情報は以下のとおりです。
(人数はいずれも平成24年度→平成25年度)
新潟大学 5名→ 5名
名古屋大学 68名→ 63名
京都大学 170名→ 162名
大阪大学 84名→ 91名
島根大学 3名→ 2名(中国新聞報道による)
岡山大学 36名→ 25名
九州大学 71名→ 50名
白鴎大学 5名→ 6名
慶應義塾大学 230名→ 216名
駒澤大学 9名→ 7名
専修大学 41名→ 29名
立教大学 50名→ 27名
名城大学 16名→ 9名
龍谷大学 26名→ 15名
関西学院大学 46名→ 34名
甲南大学 24名→ 13名
全体の入学者数は今のところ「約2,800人」説が有力ですが,一部に約2,500人説も囁かれており,正確には分かりません。
ただし,仮に全体の入学者数が2,800人であったとしても,今年は「2,800人が新たに法科大学院へ入学して法曹への門戸を叩いた」と理解するのは正確ではありません。入学者数の中には,「新たな法曹志望者」にカウントするのは適切でない人数が含まれている可能性があるからです。以下に,主なものを列挙します。
(1)再入学者(リピーター)
現在の司法試験は,法科大学院を修了しても5年間で3回までしか受験することができません。そのため,法科大学院を修了し法務博士の学位を取得しても,司法試験の受験資格を喪失したため(あるいは受験資格を喪失する見込みとなったため)再度法科大学院に入学する人がいます。このような人は「再入学者」あるいは「リピーター」と呼ばれていますが,このような法科大学院入学者を「新たな法曹志望者」にカウントするのは,もちろん適切ではありません。
実際の再入学者がどのくらいいるのかは,正確な調査が行われていないので分かりませんが,例えば,大東文化大学大学院法務研究科評価報告書(大東文化大学法科大学院の認証評価報告書)の27頁には,以下のような記述があります。
「また,近年は他の法科大学院の修了者で既に司法試験を3回受験して合格できなかったいわゆる「三振者」が当該法科大学院を受験する例も増加し,全体として2年次に入学する法学既修者の数が従来より多くなった。」
他の法科大学院についても,特に下位校では再入学者(リピーター)が多いという噂を時々聞きますので,その人数に留意する必要があります。
(2)仮面浪人・事実上の転入学者
大学入試では以前からよくある話ですが,法科大学院についても,例えば東大・一橋・京大といった有名大学の法科大学院入試に失敗した人が,滑り止めで合格した他の法科大学院に入学し,入学後も有名大学に入るための受験勉強を続けるという例が相当数あるようです。
仮に,2012年度に仮面浪人としてどこかの法科大学院へ入学した人が,2013年度に別の法科大学院へ入学し直したという場合,その人は2012年度入学者と2013年度入学者の両方にカウントされるため,後者を「新たな法曹志望者」にカウントするのは,もちろん適切ではありません。
一部の法科大学院では,他の法科大学院に在学中の人を対象とする「転入学制度」を設けているところがあり,入学者数の統計を取る場合にそのような「転入学者」は除外するものとされていますが,転入学制度によらない「事実上の転入学者」は入学者数にカウントされてしまっています。
「事実上の転入学者」がどのくらいいるのかは,正確な調査が行われていないので分かりませんが,下位校の中には少しでも入学者数を集めるため,授業料全額免除といった出血大サービスを行っているところも少なくないので,そのような下位校が仮面浪人に利用されている可能性は大いにあります。
(3)予備試験受験者の滑り止め
法科大学院は,建前上法曹養成の中核的機関とされていますが,実際には法科大学院の入学者数より,(法科大学院に修了することなく司法試験の受験資格を得られる)予備試験の受験者数の方が多くなっています。
例えば平成24年度の場合,法科大学院の入学者数は3,150人であったのに対し,予備試験の受験者数は7,183人でした(もちろん,両者を単純比較するのは問題がありますが)。そして,受験者のうち1,636人は大学生であり,526人は法科大学院生でした。
最近は,法科大学院生の間でも予備試験の受験が流行しており,若くして法曹を目指す人は,大学1年生くらいから(有名私立大学に内部進学を決めた人は高校3年生くらいから)予備試験の勉強を始める例もみられます。
こうした予備試験受験者が,大学4年生までに予備試験に合格できず,滑り止めとして仕方なく法科大学院へ入学する場合,その人は法科大学院なんか存在しなくても予備試験ルートで法曹を目指すことが期待される人であり,実際には入学後も法科大学院の授業などは適当にこなすだけで予備試験の勉強を続ける例が多いので,こうした人は「法科大学院の入学者数」にはカウント出来ても,「新たな法曹志望者」にカウントして良いかは疑問の余地が残ります。
(4)就職活動のモラトリアム
法科大学院は,本来法曹を目指す人のための大学院であり,制度発足当初の「法科大学院バブル」と呼ばれる時期には,真剣に法曹を目指す比較的優秀な人が法科大学院に入学したのですが,法科大学院の人気が低迷してくると,就職活動に失敗した大学生が,いわゆるモラトリアムの場として法科大学院に入学する例も多くなっているようです。
特に,未修者コースでは法律の試験を課されず,一種のパズル試験に過ぎない適性試験と小論文,面接くらいの試験で入学できてしまうので,法学部生なのに法律の知識が何も身に付いていないような人でも入学できるのが特徴であり,一応法曹を目指すという大義名分も出来ますので,たしかにモラトリアムの場としては他の大学院より魅力的でしょう。
もっとも,法学部を修了しても何一つ身につかなかった人が,法科大学院に入学しても結果は知れており,実際に法科大学院を修了しても法律の知識がろくに身に付いておらず,予備校の講師から「入門講義から勉強やり直しなさい」と宣告されてしまう人が相当数いるようです。
このような人は,「法科大学院の入学者数」にはカウント出来ても,「新たな法曹志望者」にカウントして良いかは大いに疑問の余地が残ります。
仮に今年の入学者数が2,800人だったとして,その中から再入学者,事実上の編入学者,予備試験受験者,就職活動モラトリアム希望者を順次差し引いていくと,実質的な「新たな法曹志望者」と呼べる人はほとんど残らないのではないでしょうか。
半分にさせたいですね。
あとちょっとで大学を訴えるチャンスがあったのですが、縁がなかった。
京都大学かどうかは知りませんが。
2000割れになるのはもう暫く掛かるようだ
それに、来年から既修未修併願可能になったみたい
ずいぶん学生集めに苦労している印象
多分東大一橋のほか早稲田や中央の全額免除(あるいは半額免除)に相当数蹴られたんだと思う
京大は定員が160だから定員割れはしていない。
去年が少し受からせすぎただけなのでは。
学生に法的措置をとるとか
法科大学院は経営がキチキチの大赤字状態。大学自
体も経営がきついだろうから、貸与にした所で返せないから同じ(笑)。