BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

椎 名 町

2014年06月16日 | 古本
 山手線池袋駅から西武池袋線が出ている。その池袋駅から1つ目の駅が椎名町駅で、2つ
目が東長崎駅だ。その2つの駅から歩いて10分くらいな千早町と東長崎のアパートのそれ
ぞれに住み、都合3年以上は居ただろうか。どちらも相当なボロアパ-トで誰も鍵などかけ
ていなかった。部屋に貴重品など無かったし、代々住人は勝手に入れ替わり、いつも誰かが
来ていて、誰それに紹介されたといえばそれでよかった。家賃を払えばうるさく言う大家さ
んでもなかった。
 思えばそこから歩いて数分のところに、この歴史的大事件の現場は在ったのだ。だが住ん
で居た時は事件が有ったことは知っていたとしても、その現場建物を意識して見に行ったり
することは無かった。アタシの20代のころのまだ20数年前の出来事だったのにだ。
 「帝銀事件」について書かれたものは意外にも少ないようだ。現にいつもの古本屋さんで
帝銀事件系を見つけたのは初めてだった。
 平沢さんは「春画」を書いてお金を得たことを、自分の命に代えても自白はしなかった。
それは画家としての、命より重いプライドだったのでは。青函連絡船で医者と乗り合わせ、
名刺をもらった偶然が大きく運命を変えたのだろうか。
 平沢 貞通 画家 1892年~1987年、95歳で亡くなるまで39年間獄に繫がれ
た。彼の養子になって「救う会」を支えた平沢 武彦氏も2013年10月に亡くなった。

 「帝銀事件の真実」 著者 ウイリアム・トリプレット  訳 西岡 公  講談社
  ( 19873月20日 第1刷発行 )