BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

チ ラ シ

2009年08月01日 | 古本
 永い古本屋通いだが、映画チラシが挟まっていたのは初めてだ。
本が出版された時期と、映画が公開された時代が符合する。
約40年前の映画チラシは、ドーナツ盤レコードジャケット大の
大きさで、半分に折ってこの本に挟まれていた。そのあと何人かの手に渡り、読
み継がれ、チラシも同様に扱われた。汚れ具合でそのことは想像できるのだが、
最初の持ち人の意思がなにか貫かれているように感じる。
 何代かの読み手も、古本屋の店員さんも、この二つを分かつことは無かった。
この本を読んでからこの映画をみたのだろうか、それがどちらが先でも、当時そ
うした若者の気持ちが解かる。高橋 和巳さんの「憂鬱なる党派」「邪宗門」そし
てこの「白く塗りたる墓」を読んだであろう若者は、1970年公開の「いちご
白書」を映画館の暗闇にひとりで身を沈め、そのあと、狸小路界隈を彷徨ったの
だろうか。アタシに置き換えても、そこはもう漠たる記憶だ。

 「白く塗りたる墓」 著者 高橋 和巳  筑摩書房  定価580円
  ( 昭和46年5月25日 ※1971年 初版第1刷発行 )
 映画「いちご白書」 監督 スチュアート・ハグマン 1970年
  ( 原作 ジェームス・クーネン MGM映画 )