フランスの詩

宮之森享太 翻訳

2013-09-29 | Weblog

             箒

   それはしがないシバムギの箒、固すぎて
   部屋にも壁の塗装にも使えない。
   それを使うとがっかりして、笑う価値すらない。
   根はどこか昔の草地で引き抜かれ
   生気のない毛は干からび、柄は色あせした。
   酷暑で赤くなった島の林のようだ。
   細紐は凍った三つ編みのように見える。
   ぼくはこの物の荒涼とした味わいが好きだ
   きみの大きな乳色の縁をそれで洗ってあげたいな、
   おお月よ、ぼくらの死んだ妹らの精霊が好んでいる。
   

                   F. C.