フランスの詩

宮之森享太 翻訳

パリの乱痴気騒ぎ または パリは再び賑わう

2010-11-04 | Weblog

      パリの乱痴気騒ぎ または
        パリは再び賑わう

おお、意気地なしども、さあ着いた! 駅へ流れ出よ!
太陽がその燃える肺でふいたのは数々の大通りだ、
そこはある晩、野蛮人らが埋めつくした。
これが聖なる都市だ、西洋に位置している!

さあ!火事の退潮を防ぐんだ、
河岸通りがある!大通りがある!建物があり
四方に広がる淡い青空に向かっている、
ある晩、砲弾の赤色が星のように点々と光った!

死んだ宮殿を板の小屋に隠せ!
おびえた昔日はきみらの眼差しを一新させる。
これが赤毛女の群れだ、腰をくねらせている。
みんな浮かれろ、面白がれ、狂暴だ!

集まった発情期の雌犬どもめ、濃厚食を食べてるぞ。
金の館の叫びがきみらを求める。ぼれ!
食べろ! ここに歓喜の夜がある、深い痙攣だ、
街はとばりが降りている。おお、悲嘆の酒飲みらよ、

飲め! 強烈で狂った光がやって来て、
きみらのそばで輝く豪奢を探るとき、
きみらは身振りも言葉もなく、きみらのグラスの中に
涎を流すのではないぞ、白い遠方にうつろな目を向けて。

飲み下せ、放蕩尻の女王のために!
聞け、愚かで悲痛なしゃくりの
行為を! 聞け、熱い夜々に、文句だらけのばか者ら、
老いぼれら、滑稽人ら、下僕らが跳びはねるのを!

おお、汚れた心臓ども、ぞっとする口ども、
機能しろ、もっと強く、悪臭の口どもよ!
葡萄酒を汚いけだるさのために、それらのテーブルに. . .
きみらの腹は恥辱でとろけているぞ、おお、勝利者どもよ!

鼻の穴をひらけ、その素晴らしい吐き気で!
強い毒で浸せ、きみらの首の声帯を!
きみらの子どものような襟首に組んだ両手を下ろし、
詩人はきみらに言う、《おお、意気地なしども、狂え!

なぜならきみらは女の腹を掘り返すが、
まだ女の痙攣を恐れているからだ、
その女はわめく、きみらの忌まわしい一腹の息子らを
彼女の胸の恐ろしい締めつけで窒息させて。

梅毒病み、狂人、王、傀儡、腹話術師よ、
売女のパリに何をすることができるのか、
きみらの魂と体が、きみらの毒とぼろ着が?
きみらは振り落とされるんだ、邪険な腐敗物らよ!

そしてきみらがへたばり、きみらの臓物、死んだ脇腹に
泣き言を言い、取り乱して、きみらの金を返せと言うとき、
その赤い娼婦は、戦闘を帯びた乳房をして、きみらの顎然
を尻目に、彼女の険しい両手のこぶしを引きつらせるんだ!

きみらの足が怒りであんなに激しくダンスしたのに、
パリ! おまえは短刀の一撃をたくさん受けたのに、
おまえの明るい瞳にほんの少しの黄褐色した春の
優しさをとどめながら、おまえは横たわっているのに、

おお、悲痛の都市、おお、瀕死の都市、
その頭とふたつの乳房、未来へ押し出され、
おまえの蒼白の上でその無数の扉を開いている、
都市よ、暗い過去が祝福し得るぞ!

肉体、ひどい苦痛のために再び魅了されている、
だからおまえが再び飲むのは恐るべき命、おまえは
感じる、静脈に蒼白の蛆虫が多量に湧き出ているのを、
そしておまえの明るい愛に冷たい指が徘徊しているのを!

それも悪くない。蛆虫、蒼白の蛆虫は
おまえの進歩の息吹を妨げはしない、
吸血鬼どもが女性柱の目の明かりを消さないでいたように、
そこでは星金の涙が青い階段から落ちていた。》

そのようにおまえが覆われるのをまた見るのは辛いが、
ひとつの都市が緑の自然のなかで
これ程くさい潰瘍になったことは決してないが、
詩人はおまえに言う、《輝いているのはおまえの美だ!》

嵐はおまえを至上の詩と称えた。
莫大な勢力の動きはおまえを救っている。
おまえの行為は沸騰し、死は唸る、選ばれた都市だ!
鋭い叫びを寄せ集めよ、無声のラッパの中心に。

詩人は下劣者らのすすり泣き、
徒刑囚らの憎悪、のろわれた者らの叫びを選ぶ、
彼の愛の光は女らを鞭打つ。
彼の詩句は跳ねる、ほら!ほら! 悪党どもよ!

― 社会、すべては回復した、― 乱痴気騒ぎは
かつての喘ぎ声をして、かつての娼家で泣いている。
そして錯乱したガス灯らは、赤くなった壁々で、
どんよりした碧空に向かって不気味に燃えている!