フランスの詩

宮之森享太 翻訳

青春

2009-08-17 | Weblog
                青春

                 Ⅰ
               日曜日

 数々の計算を横に置くと、避けがたい天の降下、思い出の訪問、リズムの演奏が、住居、頭、精神世界を占拠する。
 ― 一頭の馬が、郊外の競馬場から逃げている。畑や植林に沿い、炭素ペストに突き刺されながら。芝居じみたひとりの悲惨な女が、世界のどこかで、ありそうもない遺棄を渇望している。破れかぶれの無法者らが、嵐、陶酔、負傷を待ち焦がれている。幼い子どもたちを窒息させている、呪いの言葉が、川沿いで。―
 また研究を続けようではないか。大衆のなかに再び集まり再び高まり、憔悴させる仕事のざわめきのなかで。


                Ⅱ
                ソネ

 普通の体格の男、その肉は
果樹園でつるされた一個の果実ではなかったのか、― おお
子どもの日々! ― 身体は蕩尽すべき宝物か、― おお
愛することは、プシュケの危難か力か? 大地は
王侯や芸術家たちを生み出す斜面を持っていたが、
その子孫や種族がきみたちを罪悪と悲嘆に追いやっていた。
この世界はきみたちの運命であり危難だ。
しかし現在、その労苦は越えた、きみ、きみの計算、
― きみ、きみの忍耐は、― もはやきみたちのダンスと声
でしかないのだ、決定も強制もされない、もっとも
発明と成功+理性の二つの出来事について、
― 像のない宇宙での、友愛的で控えめな人間としてだが。
― 力と権利は、今になって評価されている
ダンスと声を反映しているのだ。


                Ⅲ
               二十歳

 教育的な声は追放され. . . 肉体の無邪気さは苦々しくも沈滞し. . . ― アダージョ ― ああ! 青春期の限りないエゴイズム、勤勉なオプティミズム。あの夏、世界はなんと花々に満ちていたことか! 歌も姿も死んでゆき. . . ― 合唱曲、無力と放心を鎮めるために! 合唱曲、グラスの、夜想曲のメロディーの. . . 確かに神経は、もう流されようとしている。


                Ⅳ
 きみはまだアントワーヌの誘惑にとどまっている。縮こまった熱情の浮かれ騒ぎ、子どもっぽい自尊心の痙攣、衰弱と恐怖。
 だがきみはその仕事に取りかかるだろう。和声的で建築的なすべての可能性が、きみの椅子の周りで興奮するだろう。完璧で意外な存在たちが、きみの種々の試みに身を捧げるだろう。きみの近くに夢のように押し寄せてくるものは、古代の群衆や豪奢な暇人の好奇心だろう。きみの記憶や感覚は、きみの創造的衝動の糧でしかないだろう。世界に関しては、きみが出るとき、どうなっているだろう? ともかく、今の外観は何もないだろう。