フランスの詩

宮之森享太 翻訳

不安

2009-08-05 | Weblog
              不安

 ありうるのか、たえず打ち砕かれてきた野望を「彼女」がぼくに容赦したことにするなんて、― 安楽な結末が長年の貧困を償うことなんて、― 成功の一日がぼくたちの宿命的な無能力からくる羞恥の上に、ぼくたちを眠らせることなんて?
 (おお、棕櫚! ダイヤモンド! ― 愛! 力! ― すべての喜びや栄光よりも高く! ― あらゆる仕方で、どこででも、― 悪魔、神、― この存在の青春;ぼくだ!)
 科学による魔法の偶発事や社会的友愛の諸運動が、本源的な率直さを漸進的に回復するものとして大切に思われるものかどうか?. . .  
 だが、ぼくたちをおとなしくさせる女吸血鬼は命令する、彼女がぼくたちに残したもので、ぼくたちは楽しくやれ、さもなければ、もっと滑稽になれと。
 転がり落ちる。傷々に向かって、うんざりさせる空と海を通って。責め苦に向かって、凶悪な水と空気の沈黙を通って。あざ笑う拷問に向かって、残忍に荒狂うそれらの沈黙のなかを。