OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

これもハードバップ

2008-04-06 18:53:46 | Weblog

贔屓にしていたトンカツ屋が今月いっぱいで閉店するというので、喰いにいってきました。後継者がいないという理由です。

正直、特に美味いというわけでもないんですが、店主の人柄と昔っぽい味が好きでしたねぇ……。ちょっと名残惜しいです。

ということで、本日は――

Pepper Adams Quintet (Mode)

白人ながら強烈なアタックと硬質な音色でバリバリにバリトンサックスを鳴らしていたのが、ペッパー・アダムスでした。私なんか、そのあまりにも強引な存在感ゆえに、最初は黒人と思っていたほどです。

音楽的な全盛期は1950年代後半からドナルド・バードと組んでいた時期の作品へ人気が集中しているかもしれませんが、自己名義の作品も侮れず、この初リーダー作あたりは名盤扱いだと思います。

録音は1957年7月12日、メンバーはペッパー・アダムス(bs) 以下、スチュ・ウィリアムソン(tp)、カール・パーキンス(p)、リロイ・ヴィネガー(b)、メル・ルイス(ds) という西海岸派の面々! もちろんハリウッドでのセッションなんですが、これは当時、本来はデトロイト周辺で活動していたペッパー・アダムスが様々なビックバンドを渡り歩き、スタジオミュージシャンで喰っていた事情によるものでしょうか――

A-1 Unforgettable
 ナット・キング・コールがヒットさせた甘口の名曲を、ここではミディアムテンポのハードバップに焼き直していますが、西海岸派ジャズ特有のウキウキするような雰囲気はきちんと表現されています。
 それゆえにペッパー・アダムスのゴリゴリ感に期待すると肩透かしなんですが、持ち味の無骨な歌心は聴くほどに味わい深いものがあります。
 余計な手出しをしないリズム隊は快適で、続くスチュ・ウィリアムソンにはぴったりですから、これは素晴らしく穏やかな快演♪ もちろんカール・パーキンスもシブイ歌心とファンキーなフィリーリングを両立させているのでした。

A-2 Baubles, Bangles And Beads
 如何にもミュージカル曲らしい狂騒的なスイング感が楽しい名演です。
 アドリブ先発のペッパー・アダムスが得意のゴリ押し吹きで突進すれば、メル・ルイスは軽いタッチで暴れ気味のドラミング! どっしり構えたリロイ・ヴィネガーと躍動的なカール・ハーキンスも良い感じです。
 そしてスチュ・ウィリアムソンが明朗闊達な名演で、実に華やか♪ クライマックスのソロチェンジも最高で、西海岸ハードバップの楽しさが存分に味わえます。

B-1 Freddie Froo
 B面は一転して本格的なハードバップ色が強くなり、この演奏あたりはオール黒人の演奏と言っても疑いがないほどです。
 リズム隊もグッと重心が低くなり、力強いアップテンポの4ビートで気分は爽快♪ ですからスチュ・ウィリアムソンもペッパー・アダムスもヘウィなアドリブを繰り広げ、カール・パーキンスはファンキーど真ん中! う~ん、痛快です。
 
B-2 My One And Only Love
 お馴染みの美メロ系スタンダードが、全くこちらの思っているとおりに演奏されます。もちろん主役はペッパー・アダムスのハードボイルドなバリトンサックス!
 短い演奏ながら、なかなか密度が濃いです。

B-3 Muezzin'
 オーラスはラテンビートを使った楽しくもファンキーなハードバップ演奏で、これまた東海岸派に遜色のない強烈なドライヴ感が素晴らしいです。あぁ、このペッパー・アダムスのブリブリ感、そしてスチュ・ウィリアムソンの鋭さは独特ですねぇ~♪
 このあたりはリズム隊の飛び跳ねて粘っこいグルーヴが要因でしょうか、とにかくジャンプしたメル・ルイス、ファンキーなカール・パーキンス、その間にあってスイングしまくるリロイ・ヴィネガーという、この3人も名リズムセクションとして「the」という定冠詞を付けたいほどです。

ということで、ハードバップ愛好者にはたまらないアルバムだと思いますが、所謂ウエストコーストジャズの味わいもありますから、人気盤なのも肯けます。

ただしオリジナル盤は、とてつもない貴重品で高値の極み! というよりも状態の良いブツには巡り会う事さえ奇蹟という1枚です。そして当然、日本盤もアナログLP時代から再発されておりまずが、音質の問題は言わずもがな……。

それが近年発売された紙ジャケット仕様のCDでは、かなり納得出来るところまで再現されています。もっともオリジナル盤は1回しか聴いたことが無いので、私の拙い自己満足ですが……。

これをペッパー・アダムスの最高傑作とするファンも、決して少なくありません。

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