OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

カーター&ルイスの緻密な心地良さ

2013-01-17 15:51:51 | Pops

花咲くサンフランシスコ / Flowerpot Men (Deram / キングレコード)

最近はどうにも諸事、煮詰まっているサイケおやじという事で、本日は何も考えずに、ただただ聴いて、気持の良いレコードを出してみました。

それが掲載したシングル盤「花咲くサンフランシスコ / Let's Go To Sun Francisco」です。

演じているフラワー・ポットメンは、拙サイトでも度々書いてきました、所謂「実態のないグループ」のひとつで、その正体はイギリスのポップス界では、1960年代から侮れない実績を残してきたジョン・カーター&ケン・ルイスのソングライターコンビなんですが、これが大ヒットした1967年当時にはトニー・バロウズ、ロビン・ショウ、ピート・ネルソン、ニール・ランドンが表向き顔として紹介されています。

そしてここで最も注目されるのが、後にホワイト・プレインズエジソン・ライトハウス等々に参加して幾つものバブルガムヒットを出したトニー・バロウズでしょう。

またロビン・ショウも、そのホワイト・プレインズの中心メンバーになるのですから、このあたりの人脈は狭い世界の複雑な繋がりが当たり前になっていた業界の縮図というところです。

それはジョン・カーター&ケン・ルイスのコンビにも言えることで、彼等は曲作りだけなく、時にはレコーディングセッションでのコーラスの仕事や新人歌手のライプ巡業でのバックバンドに参加する等々、縁の下の力持ちとして、なかなかの仕事を積み上げていたようで、中でもザ・フーの「I Can't Explain」におけるコーラスは、いろんな意味で重要!

なにしろ、この時のセッションワークで知りあったペリー・フォードとトリオを組み、1965年にアイヴィー・リーグ名義で今も傑作とされる名曲名演を世に送り出したんですからねぇ~~♪

そのあたりの業績については、後にもう少し詳しく取り上げるということで、今はここまでに致しますが、とにかくジョン・カーター&ケン・ルイスは、ここでイギリスの音楽業界では確固たる地位を得たのです。

ところがジョン・カーターは、やはり裏方が自分本来の立ち位置と思っていたのでしょうか、人気者になっていたアイヴィー・リーグから翌年には脱退!?

しかも、その後釜に入ったのが、トニー・バロウズなんですから、この世の仕組みは、どこまでも繋がりが大切という事でしょう。

ただし結果的にアイヴィー・リーグは契約を履行した段階で消滅の道を辿り、紆余曲折を経て、再びジョン・カーター&ケン・ルイスのコンビが復活したことで作られたのが、この「花咲くサンフランシスコ / Let's Go To Sun Francisco」でした。

あぁ~、これは実に当時のフラワームーブメントと称されるサイケデリックな流行を真正面から取り入れた、最高に素敵なバブルガムポップス♪♪~♪

素敵な曲メロと素晴らしいコーラスワークが織りなす世界は、まさに夢見心地の決定版であり、そこにはビートルズやビーチボーイズがリアルタイムでやっていた最先端ロック&ポップスのエッセンスが濃縮されていますよ。

特にシングル盤では「part-2」とされた部分で堪能出来る、疑似「サージェント・ペパーズ」の趣は、要注意でしょう。

ちなみにここでリードを歌っているのは、おそらくケン・ルイスだと思われますが、残された映像を見ると、口パクながら、それを演じているのがトニー・バロウズですから、ライプの現場での音源があれば、ぜひとも聴いてみたいと切望されるほどです。

ということで、「花咲くサンフランシスコ / Let's Go To Sun Francisco」が最も凄いと思わせられるのは、聴くほどに緻密な作りが圧倒的な真実と同時に、何も考えないで聞いていられる心地良さの両立です。

まさに、プロが作った完璧なポップスレコードのひとつと断言して、後悔致しません。

もちろん、こういう最高の歌と演奏に出会える事が、音楽好きの本望なのでした。

コメント (2)
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