帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

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帯とけの新撰和歌集 巻第一 春秋(七十一と七十二)

2012-04-27 00:13:56 | 古典

  



          帯とけの新撰和歌集



 言の戯れを知らず、貫之の云う「言の心」を心得ないで、解き明かされてきたのは和歌の清げな姿の
み。公任の云う「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。


 紀貫之 新撰和歌集 巻第一 春秋 百二十首(七十一と七十二)


 桜花ちらば散らなむ散らずとも ふるさと人の来ても見なくに 
                                   (七十一)

(我が宿の桜花、散るのならば散ってくれ、散らずとも、生まれ育った里の人が来て、見ることもないのでなあ……おとこ花、散るならば散ってくれ、散らずとも、古妻が来て、見ることもないことよ)。


 言の戯れと言の心

 「桜花…木の花…男花…おとこ花」「散る…花などが散る…果てる」「なむ…てほしい…他に対する願望を表す」「ふるさと人…古里人…生まれた里の人々…古女人…古妻」「さと…里…女」「見…見物…覯…媾…まぐあい」「なくに…無いのでなあ…ないことよ…詠嘆の気持ちを含んだ打消しを表す」。



 をみなへし多かる野辺に宿りせば あやなくあだの名をや立ちなむ 
                                   (七十二)

(女郎花の多くある野辺に宿をとれば、わけもなく徒な男と噂が立つだろうか……をみな圧し、多くある、ひら野あたりに宿っていれば、わけもなく、いいかげんな汝おがよ、立つだろうか)。


 言の戯れと言の心

 「をみなへし…女郎花…女花…草花の名…名は戯れる、をみな圧し、女押さえ付け」「おほかる…多くある…多く刈る」「かる…かり…採る…引く…摘む…めとる…まぐあう」「のべ…野辺…山ばでなくなったところ…おとこののびたところ」「あやなく…文なく…不条理に…わけもなく」「あだ…徒…いたずら…一時的でもろい…気まぐれ」「なをやたちなむ…噂でも立つかな…汝お立つだろうか立ちはしない」「な…名…評判…汝…親しいものを呼ぶことば」「なを…汝お…わがおとこ」「や…疑問の意を表す…反語の意を表す」「たちなむ…立ってしまうだろう…立つだろう」。


 春歌は桜花に寄せて、出家した男の心境を詠んだ。

 秋歌は女郎花に寄せて、その心ありながら身の立たなくなった男の心境を詠んだ。



 伝授 清原のおうな


 鶴の齢を賜ったという媼の秘儀伝授を書き記している。

 聞書 かき人しらず


  新撰和歌集の原文は、『群書類従』巻第百五十九 新撰和歌による。漢字かな混じりの表記など、必ずしもそのままではない。又、歌番はないが附した。

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