goo blog サービス終了のお知らせ 

gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

2020-07-25 18:11:52 | 日記
蛍  ラビンドラナート・タゴール



1

わたしの空想は蛍―

いのちある光のかけら

暗がりにまたたいている。



4

春は 花のはなびらをまき散らす

はなびらが 未来の果実のためにではなく、

一時の気まぐれのためにあるから。



5

よろこびは、大地の眠りのいましめを解かれて

数えきれない木の葉にみなぎり、

ひもすがら 空中に浮かんで踊る。



6

わたしのささやかなことば

時代の波に乗って軽やかに踊るかもしれぬ

わたしの作品が意味の重みで沈んだときに。



9

わたしの思いつきは、閃光のように、不意打ちを喰らわせて、

ひとつの笑いをもたらす。



10

わたしの愛が、太陽の光のように あなたを包みこんで

しかも 輝かしい自由をもたらしますように。



11

昼は 色つきのあぶく

底なしの夜のうわべに浮いている



12

わたしが捧げたのは 思い出してもらうのも気が引けるものばあり、

だからこそ あなたは憶えているかもしれぬ



13

わたしの名前は 贈り物から消しておくれ

もしそれがお荷物ならば、

でも わたしのうたは捨てないで。



18

わたしの心は 思索の流れに浮かんだ

一瞬のきらめきによって動きだす

まるで 決してくりかえされることのない

水の音符を見つけた小川のように。



23

偏見は 真実を手放すまいとして

扼殺しかねない。



24

ひとつの臆病なランプを励ましたくて

大いなる夜は 空いちめんの星に点燈する。



25

大地という花嫁を抱きしめていいるけれど、

空はつねに果てしなく遠い



26

神は同志をさがして愛をもとめる、

悪魔は奴隷をさがして服従をもとめる。



27

大地は面倒を見てくれるかわり

樹を地上に縛りつける、

空はなにひとつもとめないで樹を自由にする。



28

不死のような宝石は

永年の歴史よりも

時の一瞬のきらめきを誇りにする。



29

こどもはいつも永遠の時の神秘のなかで暮らす、

歴史の塵にまみれることがない。



30

屈託のない笑いは 創造の歩みに

時をこえた飛躍をもたらす。



31

遠くにいた人が 朝 わたしのそばに寄ってきて、

いよいよ近づいたとき 夜に連れ去られた。



33

平和が汚れを掃除するのにいそがしいとき、

それはあらしとなる。



34

みずうみは山のふもとに身を伏せている、

涙ぐましい愛の願いは

考えを曲げない人たちの足もとにある。



35

こどもの神さまがほほえむ

たいない雲のおもちゃと

はかない光の影のあいだで。



39

暴君は 自由が自由を殺すように仕向ける

だが おのれの自由だけ守ろうとする。



43

わたしはうたいながら神につながる

まるで山から瀧がながれて

はるかな海へとつながるように



44

陽の光は 色彩の宝を見いだす

さえぎる雲をくぐり抜けて。



46

わたしは人生を豊かに実らせてくれた樹木に感謝をささげたが、

つねにそれを青々と茂らせてくれた雑草を

思い出すことができなかった。



47

単独に存在するものは虚無であり、

他者の存在がそれを真実にする。



48

孤独をやわらげて

人生のあやまちが美の寛容を欲しがって嘆く

美はあやまちの孤独をやわらげて

全体との調和に変えることができるから



52

あなたが偉大な人物を誹謗するのは不遜である、

それはあなた自身を傷つける。

あなたが小人物を誹謗するのは下劣である。

それは犠牲者を傷つけることだから



55

おのれの智慧を信用しない腕力は

叫ぼうとする声をおさえつける。



56

嵐は 炎をとりこにしようとして

吹き消してしまう。



62

わたしの背負った重荷は 軽くなる

みずからを笑いとばすときに。



63

弱者は怖ろしいときがある

怒り狂って強くみせようとするから。



76

世界はなによりも無欲な暴政に悩まされる

世界を支持する者の。



77

わたしは自由を手に入れる

わたしたちが生きる権利の対価を支払ったときに。



79

あなたのさりげない一瞬のめぐみが、

秋の空の流れ星のように、

わたしのこころの奥底で発火する。



81

世界とは無常の泡

沈黙の海のおもてに浮かんでいる



83

海にそそぐ川のように、

労働は充足を見いだす

余暇の深みに。



86

権力のぎこちなさは 鍵をねじ曲げて、

鶴嘴を振りかざす。



90

危険と懐疑と否定という海が

確信の小さな島を取り巻いているから

人間はあえて未知に挑もうとする。



91

愛は赦すときに懲らしめるから、

おそろしい沈黙によって美を傷つけた。



92

あなたは ひとりぼっちで酬われずに生きている

人びとがあなtなおほんとうの値打ちを怖れているせいで。



98

神はわたしをたたえる わたしが働くときに、

神はわたしを愛する わたしがうたうときに。



107

山はそびえて動じない

たとえ霧に負かされたようにみえても。



111

世界は知っている わずかな人びとが

たくさんの人びとよりも豊かであることを。



122

世界はわたしに映像で話しかける、

わたしのたましいは音楽で応じる。



124

夜の暗さは、痛みのように、口をきけない、

あかつきの暗さは、やすらぎのように、音をたてない。



126

へつらう絵筆は 真実を端折る

寸法の足りない画布に合わせて



129

利益は善にほほえみかける

善が利益をもたらすときに。



130

うぬぼれが昂じると

あぶくは海の存在を疑い、

笑って弾けて消える。



138

恋は 噂になっても秘めごと、

愛されていることを本当に知っているのは恋人だけ。



139

歴史は じわじわと真実を窒息させるが、

苦悩のおそろしい呵責のなかで

あわてて蘇生させようとする。



140

わたしの労働は、日々の糧によって報われている、

わたしはやがて愛によって評価が定まるのを待つ。



141

美は「もう結構、」ということをわきまえている、

野蛮は、もっとたくさん欲しいといって騒ぎ立てる。



142

神はわたしのなかに見たがっている、神のしもべではなく、

万人のために奉仕する神のすがたを。



146

わたしは わたしの神を愛することができる

神はわたしに 神を否定する自由をあたえているから。



156

果実に目がくらむと、花を見逃してしまう。



161

富は 大きなお荷物、

幸福は いのちの豊かさ。



162

剃刀の刃は切れ味にうぬぼれている

太陽をせせら笑うときに。



168

空は果てしないがらんどうである

大地がそこに夢の楽園をつくるための。



169

おそらく 三日月は笑みを浮かべて疑っている

いまだ完成の域に達していない

断片のようなものだといわれて。



170

夕べは 昼のおかしたあやあちを赦してやりなさい

そうして みずから平和を勝ち取るがいい。



171

美は 花のつぼみに幽閉されてほほえむ、

居心地がいい未完成の奥深いところで。19え



173

葉は沈黙

ことばの花を取り囲む。



179

真実はおのれの限界を愛する

そこで美と出会うから。



181

所有する権利は、愚かしくも自慢する

享楽にふける権利を。



184

かしこい人は教え方を心得ている、

愚か者は殴り方を心得ている



192

労働の精神は 創造するとき

遊びの精神に力を貸してささえる



197

党派にこだわる人は

おのれの池に海水を汲んで

海を所有していると思い込む



203

ほんとうの終わりは 限界に到達することにはなく。

限界のないものを完成することにある



205

あなたの指遣いで わたしのいのちちの弦をふるわせて

音楽をあなたとわたしのものにしてください。



206

わたしの心の世界は 果実のようにまるみをおびて、

いのちのよろこびとかなしみのなかで熟れながら、

原始の大地の暗がりへと落ちていくだろう

創造の更なる深まりのために。



207

物にはかたち、力にはリズム、

人には意味がある。



208

智慧をもとめる人たちがいて 富をもとめる人たちがいる、

わたしはあなたとの信仰をもとめる うたをうたうために。



209

樹木が大地に葉を散らすように、わたしはことばを散らす、

わたしの思想は ことばになるよりも花となれ あなたの沈黙のなかで。



210

わたしは真実を信じて、完全なるものを心に描いて

師よ、あなたを手伝う、あなたの創造を。



211

いのちの果実と花のなかに

わたしが感じてきたよろこびのすべてを

祝祭の終わりに あなたに捧げさせてください、

愛が完全にひとつとなったときに。



212

ある人々はよく考えて あなたの真実の意味を探究した、

だから偉大である。

わたしは耳を澄まして、あなたの遊戯の音楽を理解した、

だから満足している。



214

蓮の花は うつくしさを天にささげる、

草の葉は はたらきを大地にささげる。



215

蔕にしがみついた青い果実の貪欲が

太陽にくちづけされて熟れると忘我に変わる



217

間違いは真実のすぐとなりに住んでいる

それゆえ わたしたちは騙される。



219

暗闇のなかで わたしに無駄な手探りをさせないで

わたしの心を じっと落ち着かせてください

夜は明けるだろう 

そして 真実はその簡明さのなかに

あらわれるだろう と信じることで



220

しめやかな夜を徹して

わたしには聞こえる 気まぐれな朝の希望が帰ってきて

わたしの心をノックする音が



221

あたらしい恋がわたしにおとずれて

いにしえの恋の永遠の富をもたらす



225

人間は 神の花を編んで冠をつくるとき

花は人間のものだと主張する。



229

ことばで捉えることのできない わたしのあの思想が

わたしのうたに降りてきて踊る。



233

太陽の光は わたしに 世界の扉をひらく、

愛の光は わたしに 世界の宝をしめす。



234

太陽の光は わたしに 世界の扉をひらく、

愛の光は わたしに 世界の宝をしめす。



236

わたしの感謝のことばを あなたにささげて

わたしの沈黙から その最大限の敬意を奪わせてはならぬ。



237

人生の願望は

こどもたちの恰好をしてあらわれる。



239

わたしの人生の庭で

わたしの富は 光と影によって織りなされてきた

それは集めることも蓄えることもできない。



240

わたしが永遠に手に入れた果実は

あなたがすでに手にしている果実。



242

光は年を取らない、それは太古から変わらぬ光、

影はこの瞬間のもの、それは生まれつき老いている。



246

わたしは 人生のお芝居のなかで

自分の役の意味を取り違える

なぜなら 他人の演じている役について

わたしが知らないからだ



247

花は はなびらすべてを散らし

果実を見いだす。



248

わたしは残していく わたしのうたを

とこしえにめぐる忍冬の花ざかりと

南から吹く風のよろこびに。



249

枯葉は 土にまみれて消えるとっき

森のいのちに参加する



250

心はいつも 音と沈黙に

ことばをさがす

空が暗黒と光にそれをさがすように。



252

わたしのうたは

わたしがあなたのうたを愛しているとうたうこと。



253

ものいわないひとの声が わたしのことばに触れるとき

わたしはそのひとを知る それゆえ わたしはみずからを知る。



254

わたしはお別れのあいさつをする

わたしの至らなさを知りながら わたしを愛した人びとに。



255

愛の贈りものはあたえられるのではない、

それは受け容れられるのを待っている。



256

死がやって来て わたしにささやく、

「おまえのいのちは盡きた。」

そのときにいわせてください、

「わたしは愛に生きた漫然と生きたのではない。」

わたしはいう、「わからない、でも、たしかにわたしは

うたいながら いくたびも わたしの永遠を見つけたのだ。」



256

「さあ わたしのランプを点燈しよう、」

と星がいう、

「も思案してはいけない

明かりが闇を払いのけてくれるだろうかと。」



258

わたしの旅が終わらないうちに

すべてであるひとつものが

わたしのなかに見いだされることを祈る、

めぐりあわせとうつろいの流れに

たましいのぬけがらを浮かべて

あまたの人びとと漂いながら去りゆくままに。

吾が黄金のベンガルよ

2020-07-25 18:10:55 | 日記
我が黄金のベンガルよ  ラビンドラナート・タゴール



「きみの呼びかけに」



きみの呼びかけにだれも来ないなら ひとりで行け。

ひとりで行け、ひとりで、ひとりで、ひとりで行け。

きみの呼びかけにだれも来ないなら、ひとりで行け。

だれもが口をつぐんでいる、ああ、きみはついてない、

だれもがみな怖がって顔をそむけている―

そのとき きみは心をひらき

きっぱりと心の言葉をかたれ。

きみの呼びかけにだれも来ないなら、ひとりで行け。

みなが引きかえす、ああ、きみはついてない、

険しい道を行くとき だれもが知らん顔している―

それでもきみは茨の道を

足に血をながしながら ひとり踏みしめて行け。

きみの呼びかけにだれも来ないなら、ひとりで行け。

行く手を照らす灯りはない、ああ、きみはついてない。

嵐が吹きすさぶ暗夜、どの家も門をとざす―

そのとき雷の火で

胸のうちの痛みに火をつけ、ひとりで輝いて行け。

きみの呼びかけにだれも来ないなら、ひとりで行け。

ひとりで、ひとりで、ひとりで行け。





「身内のものたちがきみを」



身内のものたちがきみを見はなしてしまう、

そう思ってくよくよしても何にもならない。

希望の花芽は折れてします、

きっと実はみのらない。

そう思ってくよくよしても何もならない。

道が暗くなってくる、それできみは立ち止まってしまうのか―

きみはなんどもランプに火をつける

だがランプはつかないかもしれない。

そう思ってくよくよしても何にもならない。

きみが語りかける言葉をきいて、森にすむ生き物たちがまわりに集まっても

きみの家では

石のような心がとけることはない。

扉がしまっていたからと、すぐにきみは引きかえすのか―

なんども扉を押してみよ、

だが扉はびくともしないだろう。

そう思ってくよくよしても何もならない。

身内のものたちがきみを見はなしてしまう

そう思ってくよくよしても何もならない。





「昼となく夜となく」



昼となくよるとなく、望みをなくさないで、心よ、望みはきっとかなう。

昼となくよるとなく、望みをなくさないで、心よ、望みはきっとかなう。

岩のように不動でも、いのちがかよえば動きだす、

口をつぐんんでいるひとも きっと声をあげる。

心よ、望みはきっとかなう。

昼となく夜となく、望みをなくさないで、心よ、望みはきっとかなう。

時が来た、ついに時が―じぶんの荷をみずから背負う時がきた―

苦しみを頭上にかかげよ、きっと耐えてゆける。

心よ、望みはきっとかなう。

時の知らせに、きみは知る 誰もが備えて馳せさんじるのを―

旅人たちはみな一つになって、きっと同じ道を歩むだろう。

昼となく夜となく、望みをなくさないで、心よ、望みはきっとかなう。

意をたてたなら、それがきっときみを支えてくれる。

昼となく夜となく、望みをなくさないで、心よ、望みはきっとかなう。





「わたしはこわくない」

わたしはこわくない こわくない。

ほんとうの死をむかえる前に、ご同輩、なんども死にそうにならない。

わたしはこわくない こわくない。

舟をこぎ出せば、たびたび嵐に出会うもの―

それで舟をこぐんおをあきらめて、ただ 嘆いたりしない。

わたしはこわくない、こわくない。

困難をのりこえ、堂々としていよう―

らくな道を行こうとして 足をすくわれ ぬかるみにはまらない。

わたしはこわくない こわくない。

なずべき善をわすれず 真っすぐな道をみきわめて―

危険がやって来ても 逃げない 家の奥にひっこまない。

わたしはこわくない こわくない。

ほんとうの死をむかえる前に、ご同輩、なんども死にそうにならない。





「きみが無力になるとき、その力をだれに」

きみが無力になるとき、その力をだれにわたすことになりますか。

いまこそ立ち上がれ、絶望しないで。

気おくれせずに、こわがらず、きみはじぶんに打ちかつのだ―

きみの呼びかけに、その時みながこたえてくれる。

家の外に出よ、引き返すな、どんなことがあっても、

なんども後ろをふりかえってはならない。

三界にこわいことなどない、こわさはただじぶんの心のなかにある―

勇気の神を信じて、さあ外へ踏み出そう。







「気怖じしないで」

気怖じしないで それは自分自身を蔑むこと

危険をあんじて くじけないで。

気怖じしないで それは自分自身を蔑むこと

危険をあんじて くじけないで。

恐れから自由になり 自分の力を信じて おのれに克てよ

弱きをまもり 邪悪を討てよ

自分を寄る辺なき弱者とみなすことなく。

怖れから自由になり きっぱりと自力の上に立てよ。

気怖じしないで それは自分自身を蔑むこと

危険をあんじて くじけないで。

善が法螺貝のひびきを合図に呼びかけるとき

黙して謙虚に心深く決意せよ。

怖れから自由になり 困難な仕事で自身をためすときが来た。

気怖じしないで それは自分自身を蔑むこと

危険をあんじて くじけないで





「なにもこわくない、かならず勝利はやってくる」

なにもこわくない かならず勝利はやってくる この扉はひらく―

きっと きっと きみを縛るものはつぎつぎに ちぎれてしまう。

なんどもきみは じぶんを見失い 目のさめない暗夜を過ごす―

なにもこわくない かならず勝利はやってくる

なんどでもきみは 世界んおなかで立ち位置をとりもどすのだ。

陸から海から きみをもとめる声がする 人びとの世できみを呼ぶ声がする―

とこしえにきみはうたつ 幸せに 悲しみに 羞じらいに 怖さに

 うたう歌を。

花や木の葉 ながれゆく水音 音に音がかさなり きみの声に調和する―

きみのリズムに合わせて 光も闇もひびきあうだろう。

なにもこわくない かならず勝利はやってくる この扉はひらく―

なにもこわくない





「ベンガルの土よ、ベンガルの水よ、ベンガルの風よ」

ベンガルの土よ、ベンガルの水よ、ベンガルの風よ、ベンガルの実りよ

ゆたかなれ、きよらかなれ、神の祝福にみちて。

ベンガルの土よ、ベンガルの水よ、ベンガルの風よ、ベンガルの実りよ

ゆたかなれ、きよらかなれ、神の祝福にみちて。



ベンガルの家族よ、人の集いよ、ベンガルの森よ、野よ

ゆたかなれ、きよらかなれ、神の祝福にみちて。

ベンガル人のいのちよ、ベンガル人の心よ、すべての息子たち娘たちよ

ひとつなれ、ひとつなれ、神の祝福にみちて。

ベンガルの土よ、ベンガルの水よ、ベンガルの風よ、ベンガルの実りよ

ゆたかなれ、きよらかなれ、神の祝福にみちて。





「このインドにとわにあたえたまえ」

このインドにとわにあたえたまえ、神よ、あなたのきよらかな祝福を―

それは怖れをしらない、あなtなお不屈にして不滅の言葉、

あなたの不動にして不滅の機能。

消えることのない禅の光を あらゆるものの上にかがやかせよ、

危機に 苦しい時に、

森にあなたの道をたどる時に忘れさせたまうな。

このインドにとわにあたえたまえ、神よ、あなたのきよらかな祝福を―

胸に 壊れることのないあなたの鎖かたびらをさずけたまえ、

怖れをしらない有機をふるい立たせたまえ。

邪悪が勝のを見てもなお、信じる心をうしなわず―

あなたの足もとにゆるぎない信頼をおけますように。

このインドにとわにあたえたまえ、神よ、あなたのきよらかな祝福を―

それは怖れをしらない、あなたの不屈にして不滅の言葉、

あなたの不動にして不滅の希望。

このインドにとわにあたえたまえ、神よ、あなたのきよらかな祝福を。





「いったいだれを」

いったいだれを確保したつもりかい、いつきみの支配が実をむすぶというの。

きみの無理強いはつづかない、とどまるものがとどまるだけだよ。

いったいだれを確保したつもりかい、いつきみの支配が実をむすぶというの。

きみの無理強いはつづかない、とどまるものがとどまるだけだよ。

いったいだれを確保したつもりかい。

やりたいようにやり、力ずくでとどめて傷めつける―

身に痛みを受けるその人が絶える、結局もちこたえるのはそのことだ。

きみが持つ巨額の金、あれやこれやの綱や縄、

数えきれない馬や象―此の世はきみのものばかり。

欲しいものはなんでも手に入る、この世をきみが躍らせてると思っているね―

さあ目をあけて気づけよ、不可能にみえる事も可能だってことに。

いったいだれを確保したつもりかい、いつきみの支配が実をむすぶというの。

きみの無理強いはつづかない、どろまるものがとどまるだけだよ。

いったいだれを確保したつもりかい。





「かれらがきつく縛れば縛るほど」

かれらがきつく縛れば縛るほど 縛り口はちぎれてしまう

われらを縛るものはちぎれてしまう。

かれらの目が血走れば血走るほど われらはさらに目をみひらく

しっかり目をみひらく。

かれらがきつく縛れば縛るほど 縛り口はちぎれてしまう

きょう きみの仕事をしてほしい 夢をみる暇はない―

かれらが吠え立てれば吠え立てるほど 眠りは吹きとび

われらの目はいっそう冴えてくる

かれらが力ずくで壊そうとするなら さらに二倍をつくり直すことになる

かれらが怒りにまかせて叩けば叩くほど 波のうねりはさらに高まる。

かたときも希望を捨てないで 主はめざめておられる―

かれらが正義を踏みつぶそうとすればするほど

かれらの旗は土ほこりの上を引きずられるだろう。

かれらがきつく縛れば縛るほど 縛り口はちぎれてしまう

われらを縛るものはちぎれてしまう。

かれらの目が血走れば血走るほど われらはさらに目をみひらく

しっかりと目をみひらく





「神意のさだめを」

神意のさだめを断ち切るほどの力持ち―

きみはそんなに力持ちなのか。

われらを壊すも作も意のままと―

きみらはそれほど思い上がっている。

神意のさだえを断ち切るほど力持ち―

きみはそんなに力持ちなのか。

われらを永久に後ろへ追いやり低くおとしめる―

そんな力はきみにはない、それはつづかない。

支配がどれほど及ぼうとも弱き者にも力がある。

きみがどんなに巨大になろうとも神は見ている。

われらの力を殺せば、きみらもまた力を失う、

きみの荷物が重くなればたちまち舟は沈む。

神意のさだめを断ち切るほどの力持ち―

きみはそんなに力持ちなのか。

われらを壊すも作も意のままと―

きみらはそれほど思い上がっている。

神意のさだめを断ち切るほどの力持ち―

きみはそんなに力持ちなのか。

迷い鳥

2020-07-25 18:09:25 | 日記

「迷い鳥」  ラビンドラナート・タゴール



1

夏の迷い鳥が、わたしの窓にきて、うたをうたい、飛び立つ。そして、秋の黄ばんだ木の葉が、うたうでもなく、吐息まじりに舞い散る。




世界は、愛するものに、途方もなく大きな仮面をはずしてみせる。それは永遠の一つの歌のように、ひとつの口づけのようにささやかなものとなる。





もしもあなたが太陽を見失ったときに涙するなら、あなたは星を見逃すことになる。





かの女の物思いに沈んだ顔は、夜の雨のように、わたしの夢にたえずあらわれる。



10

悲しみはなだめられて、わたしの心をやすらかにする、ひっそりとした林のなかの夕暮れのように。



13

聴け、わたしの心よ、ささやきを、世界はささやいて、おまえと愛を交わすから。



14

創造の神秘は夜の闇に似ている―それは大いなるものだ。知識のまやかしは朝の靄に似ている。



15

そこが高いところだからといって、あなたの愛を崖っぷちにおいてはいけない。



16

わたしが今朝、窓辺に座っていると、世界は通りすがりのように、ちょっと立ち止まってわたしに会釈していく。



17

これらのささやかな想いは、かさかさと木の葉の擦れ合う音。それは、わたしの心のなかで、よろこびのささやきとなっている。



18

あなたが何者なのか、あなたには見えていない、あなたに見えているのは、あなたの影。



19

私の願いは愚か者、あなたのうたを大声で妨げています、師よ。ただ聴くだけに、わたしをさせてください。



20

わたしは、いちばんよいものを選ぶことができない。 いちばんよいものが、わたしを選んでくれる。



22

わたしは存在することは、ひとつの果てしない驚き、それがいのち。



26

神は答えを待っている、わたしたちに届ける花のために、太陽と地球のためにではなく。



27

はだかのこどものようい青葉のあいだで遊んでいる光は、幸せなことに、人間が嘘をついたりするなんて知らない。



28

うつくしさよ、ほんとうのあなたは愛のなかにいることに気づきなさい、 あなたにへつらう鏡のなかにではなく。



33

人生は、世界が求めるから富を見出し、愛が求めるから価値を見出す。



37

わたしにはわからないう、この心がどうして黙ったまま苦しんでいるのか。それは、欲しがったり知っていたり思い出したりすることのない、ささやかな欲求のせいだ。



44

世界が押しよせてくる、いつまでも哀しみの調べを奏でつづける心の弦をとおして。



45

かれは考えた、武器は神であると。武器が勝つとき、かれ自身は敗れている。



46

神は創造によって能力を自覚する。



49

わたしはあなたに感謝している、わたしが権力の車輪ではなく、 それに踏みつぶされる生きとし生けるものとひとつになっていることを。



50

心のはたらきは、頭は切れてもおおらかでないと、細かいところにこだわるばかりではかどらない。



51

あなたの偶像が打ち砕かれて塵にまみれて証明している、神の塵はあなたの偶像よりも大いなるものであると。



56

いのちはわたしたちにあたえられる、わたしたちはいのちをあたえることによっていのちをものにする。



57

わたしたちが大いに謙遜するとき、大いなるものにいちばん近づく。



59

決して瞬間を怖れるな―そのように永遠の声はうたいつづける。



62

完璧なものは、完璧でないことを愛しているから着飾る。



68

悪には敗北する余裕がないけれど、正義にはある。



73

貞操とは、豊かな愛情がもたらす宝。



75

わたしたちは世界の意味を取り違えて、世界がわたしたちを騙すという。



77

こどもは誰でも、ことづてをたずさえて生まれてくる、神はまだ人間に失望していないということづてを。



79

人間はおのれに対して壁をめぐらす。



82

いのちは夏の花のように、死は秋のもみじのように、うつくしいいものでありますように。



83

善意ある者は、門をたたく。愛する者は、門が開いていることを悟る。



84

死ぬとき、たくさんのものがひとつになる。生きているとき、ひとつのものがたくさんになる。宗教はひとつになるだろう、神が死んだときに。



87

わたしがいまあこがれているのは、暗闇のなかで感じられるけど昼の光のなかでは見えないもの。



90

闇のなかで、ただひとつであるものはひとつに見える。光のなかで、ただひとつであるものがさまざまに見える



93

権力が世界にいった、「おまえはおれのもの。」世界は権力を王座に縛りつけた。愛が世界にいった、「わたしはあなたのもの。」世界は愛に家庭の自由をあたえた。



95

静粛に、わたしの心よ、この大いなる樹々は祈りをささげているから。



96

一瞬の雑音は、永遠なるものの音楽をあざける。



105

あなたの財布から手柄を貸して友を侮辱してはいけない。



106

名もない日々の触覚が、わたしの心にまとわりついている、老木のあちこちに生えた苔のように。



108

神ははずかしがる、成功した人たちが神の恩寵を鼻にかけるときに。



110

人間は沈黙の巷に分け入って、みずからの沈黙の叫びをまぎらわす。



111

消耗して終わることが死である、だが、完璧な終わりは永遠のなかにある。



115

いたずらを自慢する力は、散りゆくもみじと、流れゆく雲から笑いものにされる。



117

草の葉は大いなる世界に値するから生えている。



128

はっきりと物を言うことはたやすい、あなたが遅らせないで真相を話すときには。



130

もしあなたがすべての過失に対して扉を閉ざすなら、真実は締め出されるだろう。



131

わたしの心の悲しみの裏側で、なにかざわついている物音が聞こえる、―わたしはそれを見ることができない。



134

地中の根は、枝がたわわに実ったからといって報酬をもとめたりしない。



140

真実は衣装を着ると、事実があまりにも窮屈だと気づく。虚構のなかで、真実は手足を伸ばす。



142

わたしに思わせてください、あれらの星のなかに、未知の闇をつらぬいてわたしの人生をみちびく星があると。



140

真実は衣装を着ると、事実があまりにも窮屈だと気づく。虚構のなかで、真実は手足を伸ばす。



145

燃えさかる火は、真っ赤に輝いていて、わたしに近づくなと警告する。わたしを助けて下さい、灰の下に隠された、消えかけの燃えさしから。



147

死んだことばの塵が、あなたにくっついている。あなたのたましいを洗いなさい、沈黙で。



148

いのちには隙間が残されていて、そこから死の悲しそうな音楽が流れてくる。



149

朝になると、世界は光でできたその心を開け放った。出ておいで、わたしの心よ、愛をこめてお迎えに。



150

わたしの想いは、これらのきらきら光る木の葉とともにきらめき、わたしの心は、この太陽の光にふれて、うたをうたう。そして、わたしのいのちは、空間の青のなかを、時間の闇のなかを、万物とともに浮遊していられて、ありがたいと思う。



151

神の大いなるちからは、そよ吹く風のなかにあって、あらしのなかにはない。



152

これはひとつの夢、そこではすべてのものがばらばらになって重くのしかかっている。わたしが目を覚ましたとき、あなたのなかでそれらがひとつになっていると知って、わたしは自由になるだろう。



154

あなたがいくら花びらを毟り取ったところで、花のうつくしさを掻き集めたことにはならない。



155

沈黙はあなたの声を支えるだろう、眠りについた鳥を抱いている巣のように。



156

大いなるものは小人物と一緒に歩くことを怖れない。凡人はよそよそしくしている。



157

夜はこっそり花を咲かせて、昼が感謝してもらえるようにする。



158

権力は犠牲者たちの身もだえを見て、かれらが感謝していないとおもう。



159

わたしたちは満ち足りてよろこんでいるときに、わたしたちの果実をよろこんで手放すことがきでる。



167

世界はその痛みをこめて、わたしのたましいにくちづけした、おかえしにうたをうたって欲しいbかりに。



168

わたしを虐げるもの、それは、開かれた世界に出ていこうとするわたしのたましいか、それとも、わたしの心の扉をたたいて入ろうとする世界のたましいか。



170

わたしは心のうつわをひたした、この静謐のひとときのなかに。すると、それは愛であふれそうになった。



171

あなたは、仕事をもっているか仕事をもっていないかのどちらかだ。「おれたちになにかやらせてくれ」といわずにいられないとき、災厄がはじまる。



176

うつわの水は輝いている。海の水は暗い。ささやかな真実には明らかなことばがある。大いなる真実に大いなる沈黙がある。



177

あなたの笑顔は、あなたの野に咲く花だった、あなたのお話しは、あなたの山に吹く松風だった、でも、あなたの心は、わたしたちみんなが知っている女性だった。



178

わたしが家族に遺すのはささやかなもの、―大いなるものはみんなのためにあるもの。



182

わたしは夜の道のように、思い出のそれぞれの足音に黙って耳を傾けている。



184

善いことをするのに忙しすぎると、善いひとになるひまがない。



186

かれらは憎んで殺して、人びとはそれを称えた。しかし、神は愧じて、そそくさと記憶を隠す、青草のかげに。



188

暗黒は光をめざして旅をするが、無知の闇は死をめざしている。



189

飼い犬は、世界が自分に取って代わろうとしているのではないかとおもう。



190

じっと坐っているんだ、わたしの心よ、埃を立たせてはならない。世界にたどり着かせなさい、おまえの居場所まで。



193

頭でっかちは、刃先しかないナイフのようなもの。手がそれを使うと出血してしまう。



195

この世界は、美の音楽で手なずけられた獰猛なあらしの世界。



203

昼は、このちっぽけな地球の雑音で、ありとあらゆる世界の静けさを台無しにしている。



204

うたは果てしないものを空中に感じる、絵は地上に感じる、詩は空中と地上とに感じる。なぜなら、詩のことばには、歩き回る意味と、舞い上がる音楽とが備わっているからだ。



206

わたしが誤ってわたしの世界にのめりこむことがありませんように、そして、わたしの世界をわたしに背かせることがありませんように。



208

手持ちぶさたでなにもしていないわたしを、波音の消えた海辺のたそがれのような平和の深みでのんびりとさせてください。



210

いちばんよいものはひとりで来ない。それはすべてのものを仲間に引きつれて来る。



213

夜の闇は、あかつきの黄金ではちきれそうな袋。



214

わたしたちの欲望は、人生の単なる霧や靄でしかないものを虹の七色で彩る。



216

わたしのかわいそうな思いつきが、自分たちに名前をつけてほしいとせがむ。



217

果実のはたらきは貴い、花のはたらきはうっとりさせる、でも、わたしのはたらきは、そのかげにかくれて謙虚な愛をささげる木の葉のようでありますように。



219

人々は残酷だが、人は優しい。



220

わたしをあなたの杯にしいて、わたしの豊かさを、

あなたのために、あなたの豊かさのために役立ててください。



223

人生は失恋によっていちだんと豊かになった。



227

いのちの動きは、みずから奏でる音楽のなかで休む。



228

大地を蹴っても埃がたつだけ、作物は得られない。



229

わたしたちの名前は、夜の海の波間に輝いて、

それから署名を残さずに消えていく光。



230

薔薇の花が見える眼の持ち主にだけ棘を見せて下さい。







231

鳥のつばさを黄金で飾れば、空に舞うことは二度とないだろう。



234

月はもっている、空をあまねく照らす光と、わが身の暗いまだらを。



238

臆病な思想よ、怖がることはない。わたしは詩人だ。



241

あなたはわたしをみちびいた、わたしの昼のにぎやかな旅路をへて、わたしのたそがれの孤独へと。わたしはその真意がわかるのを待っている、夜の静けさのなかで。



243

真実の小川は、思い違いの水路を経由して流れる。



250

刀身に刀の柄を揶揄させてはならぬ、それが斬れないからといって。



254

現実のものが、意味を取り違えて根拠のない強調をされて、非現実的なものとなる。



255

おまえのうつくしさを見つけなさい、わたしの心よ、世界の移ろいのなかから、風と水の恩恵に浴しているボートのように。



257

わたしは、このちいさなわたしの世界に生きていて、それをずっとずっとちいさなものにしているのではないかと怖れるあなたの世界の高みへとわたしをみちびいてください、

そしてすべてのものをよろこんで手放す自由をわたしにあたえてください。



258

正しくないものが勢力を伸ばしても真実に変わることはない。



259

わたしの心は、うたの波をひたひたと寄せて、
この晴れた日の青々とした世界を撫でてあげたくてたまらない。



260

道辺の草よ、星を愛しなさい、そうすれば、おまえの夢は花を咲かせるだろう。



261

あなたの音楽には、ひと振りの剣のように市場の騒音を刺しつらぬかせよ、その心臓に達するまで。



263

わたしのたましいの、このかなしみは花嫁のヴェール。それは夜更けに取り去られるのを待つ。



265

わたしは路上の世界にいる。夜が来る。あなたの門を開けてください、あなたの世界はわが家だから。



266

わたしはあなたの昼のうたをうたってきた。夕べには、あなたのランプを運ばせてください、あらしの道を通り抜けて。



271

万物のかなしみをとおして、永遠の母なるものがささやくようにうたって聞かせる。



272

わたしはよそ者としてあなたの岸にやって来た、わたしはお客としてあなたの家で暮らした、

わたしは友としてあなたの戸口をあとにする、わたしの大地よ。



273

わたしがいなくなったとき、どうかわたしの想いがあなたのところに届いていますように、あたかも星空の静けさの余白に映える夕陽の残照のように。



274

わたしの心のなかに安らぎ宵の明星をともして、それから夜の愛のささやきをわたしにあたえてください。



277

出会いのランプは永いあいだ燃えているけれど、別れが来ると一瞬にして消える。



278

ひとつのことばを、あたなの沈黙のなかに、わたしのために秘めていてください、世界よ、わたしが死んだときに、「愛していた」のひとことを。



279

わたしたちは世界に生きている、この世界を愛するときに。



280

死者には不滅の誉れをあたえてください、だが、生きている者には不滅の愛を。



282

わたしはいくたびも死んで、いのちが儘きることはないと知るだろう。



284

愛とは、酒を注がれた杯のように満ちあふれるいのち。



286

あなたの沈黙の深みへとわたしをみちびいて、

わたしの心をうたであふれさせてください



288

恋のかなしみは、わたしの人生のまわりで、底の知れない海のようにうたい、恋のよろこびは、花ざかりの森に棲む鳥のようにうたっていた。



290

日の果てに、わたしがあなたのまえに立つとき、あなたはわたしの傷痕を見て、わたしが怪我をしてすでに癒えていることを知るだろう。



293

真実はみずからに向かってあらしを起こして真実の種子をまき散らす。 



294

昨日の晩の嵐は、今日の朝の黄金の平和の冠をさずけて輝かせた。



296

評判がそのひとの真実よりも光っていない者は幸いである。



297

あなたの名前のやさしさは、わたしが自分の名前をわすれたとき、わたしの心に満ちあふれる―まるで霧が晴れたときのあなたの朝の太陽の光のように。



299

世界は人間を愛した、人間が微笑したときに。世界は人間を怖がるようになった、人間が哄笑したときに。



301

わたしに感じさせてください、この世界はあなたの愛がかたちとなってあらわれるものだと、そうであれば、わたしの愛はそれをお手伝いするだろう。



302

あなたの太陽の光は、わたしの心が過ごしている冬の時代に微笑みかける、花咲く春の訪れをいささかも疑わないで。



303

神は限りあるものを愛してくちづけする、そして、人間は限りないものを愛してくちづけをする。



305

神の沈黙は、人間の想いを豊かなことばに変える。



306

あなたは見つけるだろう、永遠の旅人よ、あなたの足跡がわたしのうたの向こう側へとつづいているのを。



308

わたしは知っている、わたしが大切な友と出会うために旅をしていることを。



310

わたしは夢みる、ひとつの星を、ひとつの光の島を、わたしはそこに生まれるだろう、そして、活き活きとした安逸のなかで、わたしは一生の仕事を豊かに稔らせるだろう、秋の陽に照らされている稲田のように。



311

雨にぬれた大地のにおいは昇っていく、ごく平凡な無言の群衆から湧き上がる大いなる讃歌のように。



312

およそ恋が破れることがあるなんて、わたしたちには真実として受け入れがたい事実だ。



313

わたしたちはやがて知るだろう、わたしたちのたましいが得たものを、死は決して奪うことができないと、なぜなら、たましいが得たものは、たましいとひとつになるから。



314

神はわたしのところにあらわれる、わたしに夕闇がせまるときに、神の手かごのなかで色あざやかに保たれていたわたしの過去の花々をたずさえて。



315

わたしのいのちの弦がすべてきちんと張られたら、師よ、あなたが触れるたびに愛のしらべを奏でるだろう。



316

わたしを真実のままに生きさせてください、主よ、死がわたしにとって真実となりますように。



317

人類の歴史は、侮辱された人間の勝利を辛抱強く待っている。



318

わたしは感じる、あなたがたったいま、わたしの心をじっと見つめているのを、まるで刈入れがすんでさびれた野辺に降りそそぐ朝の陽の静けさのように。



321

わたしは山のいただきをきわめて、名声の荒涼として不毛な高みが終のつみかではないことを悟った。わたしを導いてください、先達よ、とっぷりと日が暮れないうちに、人生の収穫からまろやかな黄金の智慧がもたらされる平和の谷へと。



323

わたしは苦しんだ、絶望した、死を知った、そして、わたしはうれしい、この大いなる世界に生きていることが。



324

わたしの人生のなかには、がらんどうでしんとした場所がある。それは、わたしのいそがしい日々が光と風をはらんでいた空間。



325

わたしを自由にしてください、背中にしがみついて死を困難にしているわたしの満たされなかった過去から。



326

これをわたしのお別れのことばにさせてください、

わたしは主の愛を信じていますと。