新・名も無い馬ですが・・・・・

2013年11月3日に旅立ったマイネルスティング。
その想い出と一緒に、これからも名も無い馬たちの応援をしていきます。

スティング、天へと還っていきました。

2013-11-05 | 日記
3日の夜からほとんど眠らないまま、朝一番のバスに乗りスティングの元へと行って来ました。

スティングの訃報に、沢山の方からのメール、コメント、そして私の体調にまでお気遣いくださって本当に有り難うございました。
こんな名も無い馬のささやかなブログに、優しい思いを寄せて下さった皆様に、故スティング共々心から感謝いたします。


   

いつもはバスで行くにしろ、車で行くにしろ、走りだした途端から気持ちはワクワク、気分はルンルンでした。
でも、昨日はバスが揺れるたびに、閉じ込めていた目の扉を開けて涙が落ちてきそうで、こらえるのに必死でした。

定刻より20分も早くバスは静内駅に到着です。
迎えに来てくれたカト吉さんの車で、スティングを乗せたトラックと待ち合わせの場所へ。
スティングの遺体を、いつまでも手術後のそのままにしておくのは忍びないからと、早めに火葬場に運ぶこととなったのです。

S牧場長さんが運転するトラックの荷台にはブルーシートで覆われたスティングが・・・・・。
年齢もかえりみず、荷台にとび乗って(自力ですから)スティングの顔を見ました。
冷たくなったスティングの鼻筋を、生きている時には絶対に触らせてくれなかったおでこを、何度も何度もなでました。
「これは○○さんの分、これは○○君の分、これは・・・・・・・」と思いだす人たちの分も何度も・・・・・。

心から有り難うとスティングの顔に頬を寄せました。
そして、ずっとスティングが心配していたであろう1才君の事も“絶対に守るからね”と約束しました。
スティングの顔は冷たいままだったけど、この想いはきっと伝わったと私は信じてます。

火葬場の方にスティングを託し、私たちは静内の街へ戻りました。
火葬が終わるのが夕方の5時過ぎとか。
やはり大型動物は時間がかかるのですね。 

それまでの間にスティングの昨日の様子を伺いました。

昨日3日は何故かいろんな方が、それぞれの用事で静内に集まりました。
引退馬協会のN代表と事務局スタッフの方、カト吉さん、マイネルスティングの会員さんとそのお仲間達。

そしてスティングの状態がおかしくなったのは夕方、カト吉さんが待ち合わせの場所に着いたまさにその時でした。
その後、スティングのいる病院にS牧場のご夫妻をくわえた全員が揃っていました。
その中でスティングは手術し、そして旅立って行ったのです。

まるで、みんなが集まるのを待っていたかのように、みんなに見送って貰うのを期待していたかのように・・・・。

特に、千葉に住むN代表がいるというのは殆どあり得ないことです。
それが何とも不思議で、でも、スティングらしいといえばラシイとS牧場ご夫妻やカト吉さんと話していました。

スティングには何度かそういうことがあったのです。
それが顕著だったのは、オーナーさんにアクシデントがあり、スティングの命が危うかった時です。
引退馬協会のツアーの日、スティングが見せた一世一代のあのパフォーマンス。
あれがなかったら、または、ツアーの日がずれていたらスティングはどうなっていたのか。

あの強烈なアピールで、ツアーにきていた人たちの心をがっちり掴み、何としてもこの命守らなくては!と思わせたスティング。

ずっとスティングを見てきた人が「あんなスティング初めて見た。いつもはボケーっと牝馬をみていて、呼んでも来もしないのに」という言葉が何かを伝えている気がします。

“スティングの会”設立後初めてのミニツアーでみせた、1人1人への‘有り難う’とでも云う様なあいさつ。

そして最後の時までスティングはみんなが集まる時を選んで逝ったような気がするのです。

今まで病気らしい病気もせず、長患いもせず、1度だけの病院行きでさっさと旅立っていった潔さ。

マイネルスティングという馬は、中央1勝馬で、目立つ流星もなく、コロンとした体型で、特にイケ面でもなく、極めて普通のそこらへんにいる馬の1頭でした。
でも、その存在感は強烈で、自分が何をすべきか良くわかっていて、会った人を惹きつけてしまう何かをもった馬でした。


                  
      主のいなくなった馬房、ただただ寂しいです。



スティングをお迎えに行く時間がきました。
すっかり暗くなった道を走りながら、何故か心は朝と違って軽くなっていました。
スティングは自分でピリオドを打つ日を決めたのですから。
スティングの心の声が聞こえたような気がしました。
「おいらはもう十分幸せもらったねん。 だから今度は他の仔を幸せにしたってや。 ありがとな。」

スティングと出会い、スティングを幸せにしてあげたいと思ったけど、本当は私たちが幸せを貰っていました。
たくさんの素敵な方たちとの出会い、そして素敵な思い出を分かち合えた事、全部スティングのプレゼントです。
ありがとうはこちらが言う言葉です。
スティングの姿は消えましたが、スティングが残してくれたものを大切に、1頭でも多くの第2、第3のスティングをつくっていけたら、と思っています。

これからも“名も無い馬・マイネルスティングと共に”を見守って頂けたら幸いに思います。

今まで、スティングを愛して下さってありがとうございました。
11月4日、マイネルスティング、天に還って行きました。




            




            
             マイネルスティング   享年21歳