DVDの映画を一本丸ごと観るのではなく心に残るシーンだけを何度も見る癖がある。
今日は邦画の「蝉しぐれ」のラストを何度も観た。
「いいねぇ」ヘッドホーンのボリュウムあげて27インチのモニターで眼の先一杯に観ると集中できるから酔える。
日本の正当時代劇に限っては外国映画に充分に太刀打ちできるね。
江戸時代の東北小藩の下級武士の息子文四郎と、同僚の娘ふくが15歳の頃から物語りははじまる。
世継騒動の陰謀に巻き込まれた父の切腹後、罪人の倅として辛苦の日々を過ごす文四郎を変わりなく支えるふく。
しかしやがてふくは江戸屋敷に奉公するため親に急かれて江戸へ。
思い思われてのまま分かれた二人が江戸で再会するが、ふくは殿(此の時代の殿ってスケベ丸出しやね)のお妾さん。
ふくの子を絡めて世継争いの悶着が山場となる。映画の出来具合全てに文句が無いわけではないが、
前半は15歳頃の文四郎とふくの淡い恋心がいじらしく描かれてラストを盛り立てている。
騒動が落着して尼寺へ入るふくは文四郎に最後にお目にかかりたいと文を送る。小船でふくの元へ向かう文四郎。
此処からのシーンが「いいなぁ」と心に残る。
別に好きな役者じゃないんだけれど、文四郎(市川染五郎)とふく(木村佳乃)の互いの思いを言葉少なに吐露するやりとり、
主題曲の流れる回想シーンからエンディングタイトルまで、今流に媚びない真面目な演出が綺麗なんだなぁ。
流行歌手の訳の解らん時代錯誤で陳腐な歌を主題曲にせず、趣きのある音楽で通したところもいい。
ならぬ恋は永遠(とわ)に美しいんだろうね。
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