かっぱの独り言

日常の体験や感想を綴っていきます。

会津磐梯山は涙の山よ

2015-03-01 09:36:01 | 日記
 NHKのど自慢の第70回チャンピオン大会を見た。

さすが選び抜かれた14人だけあって、どの歌も見ごたえ聴きごたえがあった。
この中からグランドチャンピオンを選ぶなんて、出場者にとっては残酷過ぎるし、
審査員にとっても、至難の技だろうと思いながら聴いていた。
 
だがしかし、『会津磐梯山』の「い・や・あ~」という出だしを聴いたとたんに、
なぜか急に涙が込み上げてきた。
「会津磐梯山はたからの山よ」では溢れた涙が止まらなくなっていた。

なぜだろう。この民謡自体が素晴らしいのか。歌唱力が素晴らしいのか。
それとも原発事故からの復興ままななぬ被災地を連想したからなのか?

そして審査の結果が発表された。グランドチャンピオンに選ばれたのは、
『会津磐梯山』を歌った高校生の石井敦子さんだった

節分には碧い雪が降る

2015-02-01 09:56:49 | 高校生now


朝8時になると 東の空の雪雲が掠(かす)れて 
金色になる

そして
雪を載せた欅(けやき)の真上で 雲が割れると
欅の梢(こずえ)が青空いっぱいに拡がり
梢の先端から碧い雪が降ってくる

欅の梢の碧い雪が
生徒たちの傘の上に降りてくる

生徒たちの傘の上で
碧い雪が
金色や銀色になって
きらきらしていた











 

砂山

2014-10-21 22:14:56 | 高校生now
 バスガイド志望の美咲がやってきて、面接のときに歌う『砂山』を一緒に歌ってほしいと言う。

「海は荒海 向こうは佐渡よ」で始まる『砂山』とは新潟市の寄居浜である。そして、私の青春もそこにあった。

 砂山の長い裾野は茱萸林だった。50年前の茱萸林は、不安な青春の危うい迷路だった。 

 砂山は、新潟駅から萬代橋を渡り、柾谷小路を抜けて、日銀新潟支店の前を300メートルほど直進すると突き当たる『ドッペり坂』の急斜面を上り詰めたところにある。

 砂山の西に延びている緩斜面にはグミの藪が延々と海岸まで続いていた。歩けども歩けども茱萸の藪だった。そして、遠いあの日の茱萸林は夕陽の中にあった。


 遠いあの日に・・・踊らなかったタンゴ、歌わなかったDuet・・・。

  ・・・美咲と『砂山』を歌った・・・

    暮れりゃ 砂山、潮鳴りばかり
    すずめ ちりぢり、また 風荒れる
    みんな ちりぢり、もう誰も見えぬ


 遠いあの日、茱萸林は夕陽の中にあった。
 遠いあの日、舞砂に絶えず揺れている茱萸林があった。
 遠いあの日の茱萸林は、揺れ動く私の青春の居場所だった。




お世辞は七難を隠す

2014-10-13 10:43:10 | 高校生now
一年生もようやく2学期の中間考査が終わったところで、生徒にせがまれて座席替えをした。

悪運というか籤運の強い絵美、由美、留美のやかまし、かしまし、雑音の三人娘が最後列の窓際付近にかたまってしまった。

「こら、うるさいぞ、そこの三人組。エミ、ユミ、ルミ!騒音魔女のトライアングルめ!この俺はバミューダ海峡のポセイドン様だぞ!鎮まれ、鎮まれ!」と怒鳴ったところ、
 
「ふわ~、かっぱ先生が怒ったあ。かっこいいよ~。」

出鼻をくじかれてしまって、「う~ム、メタボな俺をカッコいいよ言ってくれたか。その見え透いたお世辞、聞いたからには・・・いい気分になったぞ!

『笑顔とお世辞は七難を隠す』というから、これも立派なさいのうだな」と言ったら、あちこちで、

「かっぱせんせ、かっこいいよお~」の大合唱となってしまった

猫じゃらし

2014-09-19 06:56:39 | 高校生now

 まだまだ残暑。夏の疲れか、退屈な授業のせいか、瑠璃が居眠りしている。白い半袖のブラウスから、日焼けした付きのよい二の腕を見せて、まるで蜻蛉のような格好で、机にふせっている。
 私は瑠璃に近寄って、オニヤンマが水面に卵を産み付けるように、ツン、ツン、ツンと肘のあたりを突いてやった。
 びくりともしないので、今度は人差し指と中指の背で、お団子のような、とっても愛らしい瑠璃の鼻をヒョイと摘んだ。

 「あっ、るりちゃん、早く起きて!かっぱ先生にセクハラされちゃうよ」と隣の加奈子が笑った。
 「セクハラなんかじゃないよ。愛の目覚まし時計だよ。るりはどう思った?」と言うと、ようやく片目を半分だけ開いて、瑠璃が言った。
 「う~ん。今うちんちの猫が、じゃれていたんだよ~お」

 ・・・・そう。窓の外は、すっかり『ネコじゃらし』の季節になっていた。
 まだ目にはみえていない残暑の終焉を知らせるかのように、あちこちで猫じゃらしがヒョイ、ヒョイ、ヒョイ、ツン、ツン、ツンと揺れていた。