ろくすけの長期投資の旅

投資を学び、資産と自分自身の成長を
追及していきます

ROIC本位で行こう(3)~同業他社比較に使う

2018-12-10 21:13:36 | 投資スタンス
さてROICの数字が出てきたところで、これをどう活かすかという話です。

ROIC(投下資本に対するリターン)がWACC(加重平均資本コスト)を上回る状態、すなわち要求されている以上のリターンが出る状態でなければ、価値を創出しているということになりません。

ROICの水準としてはざっくり2桁は欲しいところ、15%程度あれば理想的といった感じでしょうか。
ROEよりやや低めの目線で見ておけばいいと思います。

ただROEもそうなのですが、業種により水準感にはどうしても違いが出てきます。
投下資本が大きい重厚長大産業や、取扱量や売上債権の大きさに比して付加価値の低い卸売業では、ROICは低く出がちです。
逆に、資産を使ったビジネスを行わないネット関連では異常に高く出ますが、この指標を使う意味は乏しいです(P/Lの方だけで事足りることが多いです)。

個人的には、同業他社との比較において有効な指標 だと感じております。
本業において「うまくお金を回せているかどうか」に競争優位性の程度が反映されているはずで、それは業界内において大きな企業価値の差となって表れるはずですから。
企業の価値増大を複利効果で享受したい立場としては、やはり業界内での本業の強さを数字で比較しておきたいところです。

それでは、ドラッグストア業界で具体的に確認していきましょう。
(家具業界で最初は考えていたのですが、こっちの方が戦略の違いが数字に出て面白いので)

私が以前投資していたクスリのアオキ、北陸のライバルであるゲンキー、都市型のマツキヨ、負け組となってしまった元祖ディスカウントドラッグのカワチの4社で比較してみます。



営業利益率では、マツキヨ>クスリのアオキ>ゲンキー>>カワチ となります。

一方、ROICでいくと、クスリのアオキ>マツキヨ>>ゲンキー>>カワチ と、順位が変わります。

都市型で化粧品比率の高いマツキヨが一番利益率が高く、ディスカウント色が強くなるほど利益率が低くなるのはイメージできますよね。
でもROICで見ると、クスリのアオキがこの中では一番高いのです。

鍵は、ROICの分母となる「投下資本」(運転資本+固定資産)にあります。

まず「運転資本」を見て下さい。
クスリのアオキは運転資本がマイナス、CCCは▲6日であるのに対し、マツキヨは運転資金資本がプラス、CCCは18日となっています。

前回の記事で書いた通り、運転資本がマイナスの場合、売上高が増えれば増えるほど資金余剰が生まれてきます。
払いより入りが先の状態ですので、クスリのアオキは高速出店がしやすく、高成長を続けることができるというわけです。

その背景には、食品・雑貨比率の高さがあります。

加工食品卸・日用雑貨卸は、その高度な管理ノウハウ・物流機能を背景に在庫水準が圧倒的に低く、ドラッグストアに対して長い支払期間を許容することができます。
ゆえにこの分野の売上比率が高いほど、ドラッグストアのCCCは短縮化されるんですね。

九州から破竹の勢いで東進してきたコスモス薬品もそうですが、食品の圧倒的な安さでお客さんを集めるようなディスカウント色の強いドラッグストアは、CCCがマイナスとなる傾向があります。
そこで生まれた資金で出店攻勢をかけるというのが、この世界では王道となっています。
(ゲンキーだけは、どうも昔から傾向が違います。仕入債務ではなく有利子負債での資金調達の方がコストが安いと判断しているのかもしれません。)

次に「固定資産」です。

固定資産回転率でみますと、マツキヨ>クスリのアオキ>>ゲンキー>カワチ です。

都市部を押さえ、しかも今はインバウンド効果もあるマツキヨの回転率が高いのは当然です。
でもクスリのアオキもなかなか健闘していますね。

調剤併設で病院帰りの客をつかんでいるのと、生鮮三品や総菜にもいち早く注力してきたのが、他のディスカウントドラッグとの大きな違いです。
結果として、来店頻度と利益率の両方を高めることに成功しています。

こうしてまとめてみると、クスリのアオキのバランスの良さ、「お金の回し方の上手さ」が際立ちますね。
その結果として高成長を続けているわけで、株式市場での評価の高さもうなづけます。

私がクスリのアオキに投資していた当時は、ROICを使っていませんでした。
B/S・P/Lを両睨みしつつも分析はやや感覚的であったのですが、今回検証してみて、こうしてROICという指標一つで優劣を示せることに静かな感動をおぼえました。
やはりこの指標はスグレモノですね!

次回はまとめとして、ROICの留意点と数字の拾い方について触れてみたいと思います。

(続く)

余談ですが、今はドラッグストアの出店競争で漁夫の利を得るPALTACが面白い存在だと思って投資しています。
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ROIC本位で行こう(2)~分解して考える

2018-12-09 16:57:41 | 投資スタンス
ROIC=NOPAT(税引後営業利益)÷投下資本(運転資本+固定資産)

出てきた数字に関して、どう考えていくかを説明したいと思います。

まず企業活動においてどう使われているかについて、オムロンを例に見ていきましょう。
同社はROIC経営(リンクをご参照下さい)をしていることで有名ですが、以下の表のように「ROIC逆ツリー展開」を行い、KPIを明確化することによって現場での改善活動に活かしています。



一方、投資において私が重視しているのは、上記の式において分母の部分、つまり「投下資本」を分解して考えることです。
何が企業価値創造の源泉になっているのか、B/S起点で検証してみるということです。



「投下資本」は、売上債権+棚卸資産―仕入債務からなる「運転資本」と、「固定資産」とに大きく分けられます。

同じ営業利益の水準を出すのに「投下資本」が小さければ小さいほどROICは良くなり、うまくお金を回せているということになります。

運転資本に関しては、

・売上債権を減らす(回収を早める、不良債権を発生させない)
・棚卸資産を減らす(機会損失や生産活動停滞を抑制しつつ、徹底した在庫管理で水準の極小化を図る)
・仕入債務を増やす(支払のタイミングを長めに取る)

といった取組で小さくすることができます。

地方スーパーなどは、ほぼ現金回収(売上債権が極端に少ない)の一方で仕入債務が棚卸資産を上回っていたりしますから、運転資本はマイナスになるところが多いですね。
その場合、運転資本の部分で資金余剰が生じている(余分に調達している)ということになります。

売上高1,000で運転資本が▲100の企業の場合、売上高が2,000に増えた時には運転資本は▲200となる計算です。
資金余剰が新たに+100発生し、この分が出店資金等に回せることになりますので、業容の拡大局面では大きな力となります(逆に回転しだすと、今度は資金繰りを圧迫します)。

これに関連して、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)という指標もあります。
「企業が原材料や商品の仕入などに現金を投入してから、在庫期間があって、最終的に売上が現金化されるまでの日数」です。
運転資本がマイナスですと、CCCもマイナスとなります。

ビジネスにおいては、一般的には払いが先で、入りは後ですよね。
その間に資金需要が発生し、通常は金融機関からの調達でつなぐわけです。

CCCがマイナスというのは、これが逆転する形になります。
すなわち、入りが先で、払いが後。

アマゾンがほとんど利益が出ていない状態において莫大な投資を続けられたのも、またデルが在庫を持たない受注生産で業容を急拡大できたのも、CCCが恒常的にマイナスであり、早く回収できた資金を有効活用できたおかげです。
こういう眼でB/Sを見てみると、なかなか味わい深いものがあります。

固定資産に関しては、「回転率アップ」「資産の有効活用」「ローコストの設備投資」などといった意識を持っておくといいと思います。

家具業界でニトリを例に考えてみましょう。

本来、家具はとても場所を取り回転率も低いアイテムですが、ニトリの場合は既に売上高に占める家具の割合が半分以下になってきていて、現在はカーテン、カーペット、寝装品や食器・家庭用品などのインテリア用品、そして生活家電に至るまで多彩な商品を取り扱う業態へと変化してきています。
都心部への出店と相まって大型家具から家庭用品全般へと商品構成のシフトが進む中で、FACTBOOKを見ても年々客数が増え売場販売効率(坪当たりの売上高)が上がっているのが確認できます。

規模が大きくなっても回転率アップへの意識を絶えず持ち続け、国内だけでも「デコホーム」での大きな成長機会が残されている。
しかも国内においては「製造・物流・小売業」としてもはや敵無しとなれば、安心して長期投資できるというわけです。

ここでROICの数字自体をどう扱ったらいいのかという問題が残ります。
次回は同業他社比較を行いながら、その辺りを説明してみたいと思います。

(続く)

こういう記事は書くのに時間がかかりますね。でも楽しいです。
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ROIC本位で行こう(1)~お金をうまく回せる企業を評価する

2018-12-08 00:20:55 | 投資スタンス
ここ1年くらいでしょうか。
私はROICという指標を強く意識するようになりました。
特に最近の銘柄選定にあたっては最重要視していて、PERはもはや二の次といった感じです。

  ROIC=NOPAT(税引後営業利益)÷投下資本(運転資本+固定資産)

「いかに少ない投下資本で、たくさんの利益を稼げるか」を表す指標です。

端的に言うと、「お金をうまく回せる企業」が高く評価されることになります。
シンプルですが、力強いメッセージ性がありますよね。

何より優れているのは、「B/SとP/Lを同時に考えることができる」点です。

元手をあまりかけずに(B/Sを膨らませずに)ぐるぐると効率よくお金を回せている企業は、日々体力面で確実にライバルに差をつけていきます。
それは年を経るにつれ取返しのつかない差となって表れてくることになりますが、これをいち早く察知できる可能性を秘めているのがこの指標だと思います。

個人投資家の多くは、利益成長(P/L)あるいは資産バリュー(B/S)のどちらかに偏りがちで、両方に同時に目配りしている方が少ないという印象を持っています。
とてももったいないことです。

企業の価値創造の源泉にまで踏み込んで考えていく作業は、非常に楽しいものです。

ROICが安定して高い企業は、その背景に何らかの競争優位性を持っていると考えるのが自然です。
この指標を起点に考えていくと、感覚としてその企業が長期投資に値するかどうかがクリアーになってきます。
次回以降、その思考プロセスについて具体例を用いて触れてみたいと思います。

(続く)

↓以前も記事でおすすめした本。まずはここから。

ROIC経営 稼ぐ力の創造と戦略的対話
クリエーター情報なし
日本経済新聞出版社


年々知的体力が続かなくなってきていることもあり、記事は小分けにさせていただきます。
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藤本壱「株初心者も資産が増やせる高配当株投資」を読む。

2018-12-05 22:02:56 | 読書
私が投資先に望むのは、稼いだキャッシュを事業に再投資し、(株主としての)課税を繰り延べしつつ複利の力で企業価値を高めてもらうことです。
基本的には、株主がその都度課税されてしまう配当は程々にしてもらいたいという思いがあります。

株主側でお金が必要なら、ポートフォリオの中でうまくいっていない投資に見切りをつけ、一部を売って配当の代わりに元本を確保した方が良いと考えています。
含み損を抱えていた株ならば余計な税金を払わずに済みますし、適宜見直しを行うことでポートフォリオをフレッシュに保てるという副次的な効果もあります。

そんなわけで、ポートフォリオを高配当株だけで固めたり配当再投資戦略に特化したりすることには、乗り気ではありませんでした。
ただこれだけボラティリティが高くなった相場で、一定部分についてマイルドな値動きの高配当株にシフトするというのは精神衛生上いいのかもしれません。
将来的な配当金生活への移行を検討してみたかったこともあって、この本を手に取ってみた次第です。

株初心者も資産が増やせる高配当株投資 (高配当&堅実成長で値上がる銘柄の探し方)
クリエーター情報なし
自由国民社


藤本壱氏は初めて知りましたが、これまで投資関係の本を書いてきている方のようですね。
単に現時点での配当利回りが高い株を薦めるのではなく、業種ごとのリスクと可能性、長期的な増配傾向を考慮した銘柄選択、ネットキャッシュへの着目等、バランスの取れた内容となっております。
中長期的な資産形成への目配りもあり、株初心者に対して分かりやすく良心的な本だと思いました。

ただこの本では多くの銘柄が紹介されておりますが、私にとっては投資を検討したいものはほとんどありませんでした。
配当性向が高いということは、その企業にとって投資機会が乏しいことの裏返しです。
企業としての面白みにはどうしても欠けてしまうんですよね。

むしろ何らかの事情があって、配当性向は高くないにも関わらず低PERを余儀なくされているために、結果的に配当利回りが高くなっている株の方に魅力を感じます。
一時的に減益見込みであるとか、一見財務面のリスクを抱えているとか、株主還元の姿勢が見られないとか。
でもきっかけ次第で状況が一変する可能性を秘めている。
こっちの方にお宝が潜んでいる気がします。

あれ?本来の高配当株を求める目的はどこかに行ってしまいましたね(苦笑)
私はやはり知的な刺激を投資に求めるところがあり、純粋な高配当株投資は向いていないのかもしれません。

これまで読んで来なかった類の本で、良い頭の体操になりました。
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ろくすけカブスのスタメン状況(18.11.30)

2018-12-01 20:40:34 | 投資日記
11月末のろくすけカブスです。



リログループの割合がまた30%に乗ってきました。
一銘柄の比率としてはこの辺りを限度にしたいですね。

一方でポートフォリオの下位が小口分散化してきました。
フレッシュな顔ぶれが増えてくると楽しいです。
でもゴチャゴチャしているので、老眼が進行する前に少しすっきりさせたいですね(笑)
集めていきたい銘柄はあらかた打診買いができましたので、ここからじっくり吟味しウェイトの軽重を決めていきたいと思います。

次にランキングです。



4銘柄が新規ランクイン。
ややBtoBに偏っていたので、長期保有できそうなBtoCを組み入れました。
時価総額が大きめの銘柄が増えてきて、以前の自分とは嗜好がだいぶ変わってきたのを感じます。
成長性より安定性、つまり競争力の持続性を重視するというのが今の方針です。

上位5銘柄はしばらくこのままでいきそうです。
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