Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

狂言「禰宜山伏(ねぎやまぶし)」

2015-09-07 | 能楽

  8/29(土) 8月最後の土曜日、急きょ金沢へ行くことにした。例年 7,8月の毎土曜日に石川県立能楽堂で「観能の夕べ」が開かれる。今年は1度も行く機会(元気も)がなかった。最終日は宝生流家元による「天鼓」だ。山崎先生から券をいただき、連れはなかったが一人で行くことにして高速バスを利用した。

 この日の演目は、仕舞「三山」、狂言「禰宜山伏」、能「天鼓」だった。「三山」と「天鼓」について前回書いたので、今日は「禰宜山伏」を紹介します。先日、長年金沢に住んでおられた友人が、コメントに「能と狂言の違いは?」と書かれたので、その答も探してみます。

 今はどうかわからないが、30年ほど前まで高岡市内の中学校では「芸能鑑賞」と言うイベントがあり、高岡市民会館でいくつかの中学校が合同で「狂言」を観たものだ。伝統芸能の鑑賞と言うことだったのだろう、わかりやすい狂言がよく取り上げられた。「柿山伏」や「附子(ぶす)」を観た記憶がある。国語の教科書に載っていたのかもしれない。

 金沢へ能を見に行くと必ず狂言も見ることになる。「寝音曲」、「鬼瓦」、「狐塚」、「棒縛り」、「伊文字」、「仏師」などなど、いくつも思い出される。基本的には、太郎冠者、次郎冠者と、頼うだお人(主人)が登場し、主人が無茶なことを頼むのを、太郎冠者、次郎冠者が知恵を絞ってくぐり抜け、「お許されませ、お許されませ」と逃げる(退場する)のを、「やるまいぞ、やるまいぞ」と追いかけると言うのが定番である。

 ある本によると、そもそも狂言は、舞台芸能としての内容そのものに大きな違いがある。
 はほとんどが悲劇で、「源氏物語」「平家物語」などの登場人物を主役にした演目も多い。シテ方はたいてい面をつけ、流れるような仕舞と、豊かな謡(うたい)で幻想的な世界を織りなしていく。
 これに対し、狂言は室町時代の民衆の身近な話が中心で、そのほとんどが喜劇だ。狂言方はたいてい面をつけず、しぐさとせりふで庶民の世界を描く。古い録音を聞いた人が、「気品に満ちた能。親しみやすい狂言というのが、率直な印象だった。」と語っているそうだ。

 さて、「禰宜山伏」は? 禰宜(神主)と山伏の話。さらに茶屋の亭主と可愛らしい大黒天が登場します。↓は、ようやくネットで見つけた写真です。禰宜が祈祷すると、大黒天はそちらを向きます。             

 ↓ 山伏が祈祷し、無理やり自分の方を向かせようとすると小槌を振り上げます。       

 《あらすじ》
 
旅の道中、禰宜が街道の茶屋で一服しています。そこへ山伏が通りかかり、禰宜に対してなにかと難癖を付けはじめ、挙句の果てには肩荷の箱まで押し付けて家来同然に扱おうとします。この様子を見咎めた茶屋の主人は、計らって、主人の所有する大黒天に向かい、2人が祈祷して祈り比べ、どちらの祈祷に従うかて勝負することを提案します・・・。
 
一見大人しくも伊勢神宮の威光を背景に持つ芯の強い禰宜と、難行苦行の末に得た能力ゆえ、傲慢な態度をとる山伏の対比がくっきりと描かれます。
 また、神仏信仰の表れと、権力に抑圧された時代背景を捉えた作品だそうです。大黒天役を子どもが演ずることも多く、大きな小槌を振りながらの采配ぶりは、可愛らしくもあり、痛快とも言えます。この日の大黒様は子方ではありませんでしたが、とてもかわゆかったですよ。

 山伏:能村祐丞  禰宜:炭哲男  茶屋:鍋島憲  大黒:山田譲二 

 ↓に、「禰宜山伏」の動画を見つけましたのでご覧ください。埼玉県日高市高麗神社での行事のようです。最初神社風景が写るので狂言だけ観たい方は早送りもできます。狂言は一部だけですがだいたいわかります。 

https://www.youtube.com/watch?v=vkow2ntq2-w 


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (千葉matsu)
2015-09-08 05:31:18
色々と詳しく説明されてだんだんと分かる様に成りました、ありがとうございました。9月5日に新宿でkaさんやasaちゃんに久しぶりに会いました。まだ食べる物に制限されていますが皆さんに会えて嬉しかった、kaさんに言わせると能は歌舞伎を見る感覚、狂言は漫才を見る感覚で丁度よいのではとのこと、なるほどと思います、その時稲塚権次郎の話も出て昔は誰も知らなかったそうですが最近になって知られる様になった都のことでした、間も無く映画にもなったとのことで見に行ってみようと思っています。
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Unknown (清姫)
2015-09-08 13:36:55
千葉matsuさん
たくさん集まられたようですね。皆さんの顔を見て元気が出たことでしょう。皆も喜んでおられたでしょうね。よかったですね。1年足らずで回復されて…。これからもお大事に。
ハイ、Kaさんの言葉通り歌舞伎と漫才の感覚かもね。権次郎さんの映画は、県内は先行上映しました。懐かしい顔を見られるかもしれないので探してみてね。
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Unknown (なは)
2015-09-08 18:06:55
清姫様
あなたの解説と写真で狂言「禰宜山伏」を楽しみ、動画も見ました。
人間の「我こそは威力を持っている」と自慢したい所をうまく突いていて面白いですね!
笑いながら「人間の持つ性(さが)」を顧みます。日頃の心の持ちようを反省もします、治りませんけど・・・。

大門で一晩車を置くところが分からないと茶々姫さんに言いましたら、「高岡で乗ることにする」といわれました。高岡の集合場所はどこですか?
彼女は今日病院なのです。ちょっと心配です。
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Unknown (清姫)
2015-09-08 22:18:40
なはさん
久しぶりに面白い狂言でした。最近はあまり笑えなかったので。
茶々姫さんには大門のJAかなはさん宅はどう?と言っていました。平米のお稽古日(木)に皆さんどうされるか聞いてみます。松○さん、米ちゃんは皆さん大門からですので。
高岡は今駅南ロータリーにバスが入れないらしく、ウイングウイングの横の通路なのですよ。
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Unknown ()
2015-09-11 01:45:59
「狂言」は面白くないとね・・・
「能」と「狂言」の違い、感覚的に分かっているつもりdすが、改めに文にすると難しいですね。
短くて、分かり易い解説、ありがとう。
うまく書きますね~。
ねぎ、と読むのですね。
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Unknown (清姫)
2015-09-11 17:56:46
姫ちゃん
ハイ、最近あまり面白くなかったと思いませんか?能と狂言はいつもセットで見ていて深く考えなかったけど友人に聞かれちょっと調べました。
なるほど、と思いましたよ。最近は「祢宜」とも書くのでは?
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