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假面劇場 その①

2007-01-12 06:22:06 | 物語

 仮面病

 狂人の汚名を着せられて大学を追われた身として、恨みつらみを述べるために筆を執ったのではない。禍をベルデナウル全土に及ぼす愚を回避するため、発掘品のすべてを地中に返し、アブモウル遺跡を元のままの姿に復元すべしという勧告のためである。
 また、あなた自身を含む発掘調査に同行した全隊員は、この手紙の真実を認めた上で、ベルデナウル政府に報告して、その厳正な処置に委ねるべきである。一時の猶予も許されない。
 ひるがえってみれば、私にも反省の余地がなかったわけではない。頑迷な諸君の偏見を顧慮することなく、また婉曲なほのめかしによってではなく、真相を率直に吐露すべきであった。ベルデナウル考古学会において唯一人難解極まりないアブモウル語を解読し得た学者の誇りにかけても。以下、かいつまんで説明しよう。信じようと信じまいと、それが私の信念であるからには。


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