脳腫瘍の夫と共に

2010年4月グリオーマと診断された夫との手探りの日々…

もう・・・

2014-03-28 21:43:36 | 私の思い 3

いま
わたしには
なにもない

未来への希望もない
希望がなければ
絶望することもないのだと知った

お金もない
わずかなパート収入は
日々の暮らしに消えていく
それでも
週末に帰宅する娘には
ケアホームでは食べられないものを食べさせてやりたくて
今夜も少し贅沢をした
医療費もかさむから
そろそろ
私の通院をやめようかとも考える
長生きしたいわけではないのに
薬を飲むのも矛盾している

旅行に行く気力もお金もない
孫など望むべくもない
この古びた家で
ただ朽ちていくのを待つだけ

それでも
夫がいたころは
それだけで
毎日が楽しかった
幸せだった
毎日
掃除や洗濯や布団干しなどの家事に追われていた
そんな日々が
どれだけ満ち足りていたことか
お天気の良い日に
たくさんの干し物がしてある家を見ると
とてもうらやましい
我が家の洗濯物は
とてもわずかだ

お金がないことも
夫がいたころは
たいしたことではなかった
夫婦がそろっていて
二人が健康で力を合わせれば
贅沢はできなくても
なんとか暮らしていくことはできると
楽観的だった
こんな日がくるなど
想像すらしていなかった

夫がいたころと
何が変わったというのだろう
何も変わってなどいない
ただ、夫がいなくなっただけのことだ
それなのに
こんなに心細いのはなぜなのだろう

なにもかも
なくしたのだから
もうこれ以上失うものはない




ひとは
希望がなければ
生きていくことはできないのだろう