黒鉄重工

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北米project 4 ~Is the order a warbird? その96【2016/03/04~10】

2019-08-18 21:16:04 | 海外旅行記

サンディエゴ海事博物館の続きです。館内で展示されている最後の船、インドの星丸こと「スター・オブ・インディア(Star of India)」(略してスタ☆イン)を見学します。日本語で検索するとカレー屋ばっかり出てくるよ。

スタインは1863年11月4日進水の大英帝国の鉄製商用帆船です。動態保存されている鉄製帆船の中では最古の船です。
初めはエウテルペ(Euterpe; ギリシャ神話の女神)という名前で、イギリスのリバプールとインドの軽かった・・・もといカルカッタの間を航行し、インドで生産されるジュート繊維(黄麻)の貿易をしとりました。当時は木綿の代用品として使われていました。その時は木綿の生産地だったアメリカで北軍と南軍に分裂したどデカい内戦をやっていたのでそれどころじゃなかったのだ。

1871年には所有者が移ってイギリスとニュージーランドを結ぶ移民船となり、25年のうちに21回の航海をしました。単なるイギリスとニュージーランドの往復ではなく、行きも帰りも東へ針路を取って世界一周航海をしていたことが特筆されます。

1901年に再度売却され、アメリカの缶詰工場の所有になります。名前もこの時にスター・オブ・インディアに変わりました。本拠地のオークランドと鮭缶の生産拠点のあるアラスカのベーリング海沿岸を結ぶ貨物船として使われたそうな。1923年に蒸気船に置き換えられる形で退役しました。

1926年にサンディエゴの動物学協会に購入されて、どうも海上移動動物園に使うつもりだったようですが、世界恐慌と第二次世界大戦のダブルパンチでポシャります。
幸い船は残っていましたが、手がつけられるような状況になった1950年代には荒廃が進んでいました。そこで市民団体の手により復元されて1976年に動態復活を果たしまして現在に至ります。


乗船しまっせ。順序通りに進みまっせ。階段登ってるおばちゃんの方はとりあえず無視してその脇の扉の中へ入っていきまっせ。

ちなみに上の白い天井みたいなのは、日よけの天幕ですね。甲板の日除けというよりは、その下の船室が温まるのを防ぐ代物です。


入った先は客室です。スタインには貿易船時代、移民船時代、缶詰船時代の3つがあるわけですが、復元時に再現されたのは移民船時代のようです。それって船名エウテルペなのでは・・・とツッコみたくなりますが、抑えておきます。
ここはニュージーランドへ移民する家族用の特等船室の広間です。個室には家具が付いていないので、出航前に積み込んで使うんだそうな。それで、ニュージーランドへ付いたらそれを降ろして現地でまた使うということか。
移民というと博打的に身一つで新天地に繰り出す感じですが、この部屋を使う人達はそういう系じゃなさそうですね。


これが特等船室の個室。2段ベッドですが天地の間隔は広めかな。
当時必要だった家具は、寝具、ランプ、ろうそく、洗面台、鏡、水の入った缶等々。持ってねーよって時は業者から買うことも出来たそうな。


ここは外科医用の個室です。航海中に移民が死なれちゃ困るので、病気を治し、怪我を治療し、赤ちゃんが生まれそうになれば助産し、食事と衛生の監督をし、患者ごとに詳細な診療記録も付け、激務でした。そのため船長と同等の権限を持っていました。
激務なわけですが、移民を健康なままに目的地まで面倒を見きれば、一人ごとに特別ボーナスが受け取れました。報酬目当てに引き受けていた医者はいるでしょうね。やはり高額な報酬ですよ。19世紀のイギリスですら既にこうなのに現代の日本ときたら。
この部屋は、1879年のニュージーランドへの航海時に船医を担当したW.R.デイビス医師の部屋を再現しているんだそうな。そんなの分かるんかいな・・・?


ここが船長室。いい部屋だな、普通に住めるでしょこれ。


ここは船尾の広間。特等船室客用のラウンジですかね?


表に戻って階段を登って上甲板へ。またB-39が見えたので撮影。本当に未練タラタラでした。


ウィンチてきな。新造時の機械を最後まで使い続けてたようです。ただし原動機とかは無いですんで、全て人力。


荷役口ですね。貨物室は甲板から数えて2層下にありにけり。
積み下ろしはデリック式だったと思います。そこまであんまり見ていなかった・・・。でも人力だからデリックではないんですけども。


船首甲板の1層下の部屋へ。緑色の歯車はジブブーム(船首から突き出てる棒のやつ)を操るものだと思いますがよく分からず。
周りには2段寝台があります。これも移民が過ごすためのベッドだったのでしょう。


船首甲板の上に上がります。
今更ですが、スタイン号はフォアマスト、メインマスト、ミズンマストの3本です。


ここは厨房(ギャレー)です。厨房は缶詰メーカーのアラスカパッカーズ時代の状態で保存されています。


まだ火を焚いて調理する時代の器具です。煙突が延びているのがまさにというところ。


マストを下から見上げるのは良いものです。幾条もの交わる綱が美しいです。

というところで今日はここまで。