無藤氏ものべておられるように、
「子育ては苦労だが、楽しいことでもある。
乳児などは一週間で変化が見える。
人生で最初の、まばゆいばかりに新鮮な体験をし、感動をあらわにする。
それに立ち会えるのは人生の一幸福だ」という親としての高揚感は、
みなさんもご同感されるところではないでしょうか。
このような至福の時を赤ん坊と分かち合いながら
このブログをお読みいただいているお母さんもいらっしゃるとおもいます。
そんなお母さんにこそ、本物の赤ん坊の世界を知っていただくことは
わたしどものさらなる喜びでもあります!
さて、それではさっそく続きをはじめてまいりましょう。
* 前回では、「対話の基礎」が乳児のときに築かれることに
おどろきと同時に感動さえおぼえましたが、
さらに別の実験から推測して、無藤氏は、
「人間は「顔」状のものを見ることに、それを好む特殊な機構をもっている」とも記述している。
「同じ人間に属する仲間である人間の、顔」を早くから認知することの重要性を
進化・適応の過程において取りこまれたことは想像するに難くないでしょう。
* つぎに、「愛着の」成立(ボールビー)についての記述をたどってみましょう。
本来「乳児は親密で情緒的な関係を形成した母親(保育者)のそばにいたがる。」
しかし母子の関わりはそう単純にはいかないものだ。
この「愛着」が安定しているか否かが問題であるとした、
発達心理学者のエインズワースの「ストレンジ・シチュエーション」という測定法
(子どもを一人にし、あとで親が戻ってくる等の実験によって子どもの反応を観察する-)
による3タイプの「愛着の分類」を紹介している。
分類されたA、B、Cタイプはつぎのように特徴づけられている。
Bタイプは、安定した愛着の子どもで、
親が戻ってくると飛んで行き、泣いたりするが、親がなだめるとすぐに機嫌がよくなる。
Aタイプは、不安定な愛着の子どもで、
回避型と呼ばれ、親への愛着をわずかにしか示さない、むしろ無視する。
Cタイプも、不安定な愛着の子どもで、
抵抗型と呼ばれ、親にべったりしがみついたり、逆に敵意を向け怒ったり、ぐずったりと
アンビバレントな行動を示す。
ちなみに、保育園などで親から離れるときに大泣きするけれど、
そのあとはのぼのび遊んでいる子どもは、Bタイプの安定型に近いだろうという。
このそれぞれに分けられた愛着タイプが、どのような親子関係から生まれてきたかも分かってきている。
Bの安定した愛着の場合は、その母親は子どもの出す信号(シグナル)に敏感に応ずる。が
Aタイプの場合には、子どもへの拒否が強かったり身体接触を嫌う傾向がある一方で、否定的な感情表出は少ないという。
Cタイプは、子どもに対する応答が不安定で、気ままな対応の姿勢を見せるという。
愛着の安定、不安定が、子どもの幼児期を通して、
人間関係、自我の発達、課題解決力などの発達に重要な意義をもたらしていると述べられています。
その愛着の不安定の原因の一つとして、フィールドの研究により、母親のうつ状態が指摘されていて、
子どもにとって母親が精神的に健康であることの大切さを示しています。
* ハイハイがはじまる時 -
生後六ヶ月までの乳児は視覚の発達がまだ弱く、十分に焦点を合わせることができないために、
目の前の数十センチの世界しか見えていない。
六ヶ月を過ぎるころには「その先の飛躍」のための大脳生理学レベルでの準備が始まっているという。
しかしそれを実現するためには、乳児がハイハイして移動するという発達が欠かせないとも云う。
ハイハイして遠くに見えている物を、自分で触ったり、なめたり、取ったりできるということだけではなく、
自発的な移動経験の有無が、
物の関係を相対的に認識できる能力を獲得していくか否かの違いをあらわすという。
ハイハイということに関してさらに、それなら歩行器を使った移動ならばどうなるのか? といえば、
これが意外とハイハイの乳児との大きな差異は観察されないということです。
(次回につづきます。)
「子育ては苦労だが、楽しいことでもある。
乳児などは一週間で変化が見える。
人生で最初の、まばゆいばかりに新鮮な体験をし、感動をあらわにする。
それに立ち会えるのは人生の一幸福だ」という親としての高揚感は、
みなさんもご同感されるところではないでしょうか。
このような至福の時を赤ん坊と分かち合いながら
このブログをお読みいただいているお母さんもいらっしゃるとおもいます。
そんなお母さんにこそ、本物の赤ん坊の世界を知っていただくことは
わたしどものさらなる喜びでもあります!
さて、それではさっそく続きをはじめてまいりましょう。
* 前回では、「対話の基礎」が乳児のときに築かれることに
おどろきと同時に感動さえおぼえましたが、
さらに別の実験から推測して、無藤氏は、
「人間は「顔」状のものを見ることに、それを好む特殊な機構をもっている」とも記述している。
「同じ人間に属する仲間である人間の、顔」を早くから認知することの重要性を
進化・適応の過程において取りこまれたことは想像するに難くないでしょう。
* つぎに、「愛着の」成立(ボールビー)についての記述をたどってみましょう。
本来「乳児は親密で情緒的な関係を形成した母親(保育者)のそばにいたがる。」
しかし母子の関わりはそう単純にはいかないものだ。
この「愛着」が安定しているか否かが問題であるとした、
発達心理学者のエインズワースの「ストレンジ・シチュエーション」という測定法
(子どもを一人にし、あとで親が戻ってくる等の実験によって子どもの反応を観察する-)
による3タイプの「愛着の分類」を紹介している。
分類されたA、B、Cタイプはつぎのように特徴づけられている。
Bタイプは、安定した愛着の子どもで、
親が戻ってくると飛んで行き、泣いたりするが、親がなだめるとすぐに機嫌がよくなる。
Aタイプは、不安定な愛着の子どもで、
回避型と呼ばれ、親への愛着をわずかにしか示さない、むしろ無視する。
Cタイプも、不安定な愛着の子どもで、
抵抗型と呼ばれ、親にべったりしがみついたり、逆に敵意を向け怒ったり、ぐずったりと
アンビバレントな行動を示す。
ちなみに、保育園などで親から離れるときに大泣きするけれど、
そのあとはのぼのび遊んでいる子どもは、Bタイプの安定型に近いだろうという。
このそれぞれに分けられた愛着タイプが、どのような親子関係から生まれてきたかも分かってきている。
Bの安定した愛着の場合は、その母親は子どもの出す信号(シグナル)に敏感に応ずる。が
Aタイプの場合には、子どもへの拒否が強かったり身体接触を嫌う傾向がある一方で、否定的な感情表出は少ないという。
Cタイプは、子どもに対する応答が不安定で、気ままな対応の姿勢を見せるという。
愛着の安定、不安定が、子どもの幼児期を通して、
人間関係、自我の発達、課題解決力などの発達に重要な意義をもたらしていると述べられています。
その愛着の不安定の原因の一つとして、フィールドの研究により、母親のうつ状態が指摘されていて、
子どもにとって母親が精神的に健康であることの大切さを示しています。
* ハイハイがはじまる時 -
生後六ヶ月までの乳児は視覚の発達がまだ弱く、十分に焦点を合わせることができないために、
目の前の数十センチの世界しか見えていない。
六ヶ月を過ぎるころには「その先の飛躍」のための大脳生理学レベルでの準備が始まっているという。
しかしそれを実現するためには、乳児がハイハイして移動するという発達が欠かせないとも云う。
ハイハイして遠くに見えている物を、自分で触ったり、なめたり、取ったりできるということだけではなく、
自発的な移動経験の有無が、
物の関係を相対的に認識できる能力を獲得していくか否かの違いをあらわすという。
ハイハイということに関してさらに、それなら歩行器を使った移動ならばどうなるのか? といえば、
これが意外とハイハイの乳児との大きな差異は観察されないということです。
(次回につづきます。)