心理カウンセラーの眼!

孤立無援の・・君よ、眼をこらして見よ!

なぜ理由なき自殺か、宮台先生!

2009-08-10 16:50:42 | 宮台真司の病理的思考
台風が迫ってきていますが、皆さんいかがお暮らしでしょうか?

先日2回にわたってブログに書きました、
宮台真司先生(以下敬称略)のうつ病発言の中に、その引き金となった若者の自殺のことが触れられていました。

どうもわたしの胸に引っ掛かるので

宮台真司と藤井誠二の共著『この世から消えたい』(美しき少年の理由なき自殺)という、
とても破廉恥なサブタイトルのついた本を546円で買って、読んでみました。

まず、宮台真司を信奉する学生さん等を『ミニミニ宮台』というそうです。

そんなミニミニ宮台のひとりで、
宮台真司の思考スタイルと行動履歴(ナンパ行為であるが)にシンクロしていったS君が、

宮台真司になれずに1998年に自殺をしたということが、
この本を出した著者たちの行動の動機になっています。

自殺という行動は、
どのような理由であれ、うつ病としての死への軌道をたどったことを示しています。

また、遺書の無い自殺はあっても、理由の無い自殺などありわしないのです。

したがって、
著者たちが名づけた“理由なき自殺”などという虚飾のレトリックは到底許容するわけにはいかないでしょう。

また、S君のように自我が不安定で、
ある意味で他者(宮台真司)に取り憑いて自分の自我を再編成させようとする行動は
ある種の妄想による病理をあらわしていることになります。

それでは彼S君は、はた目にはどのような男性だったのかと言えば、
親友の渡辺君の見方はこのようになります。

「Sは、ノイローゼ気味でもなく、女の子と付き合うのが初めてでもなく、
家庭環境・友人関係にも問題ありません。挫折の線もありません。
閉じこもるタイプでもなく、友達もたくさんいて、家庭も厳しくなく、
裕福。周りから見てもオシャレで、明るく頭もいい『普通の子』でした。」・・

どなたもおおむねこのような回答(見方)を示されるもので、
これが病理の本態をひもとく上で、格別に困難な意味を持つわけではありません。

だがそんな普通の子のS君が「もう二度とこの世に生を受けたくはない」といって自死していった。・・

ひとは、現実世界がはっきりと隔絶して感じられたとき、
さらに人格を崩壊させるか・・・、
あるいは崩壊の前に、絶望的孤立を感じて自死するか、というところへ追い詰められる。・・・

それではS君がうつ病に陥った原因を探ることにしましょう。

本の『まえがき』の中で著者たちは、
「Sを支配していた自殺願望の源泉は少年時代にあり、・・それは世界を拒絶することであり、
大人になることを拒否することと同義だったように思う。」と、

はっきりと自殺念慮を抱えたうつ病であることを認めている。

さらにS君の遺書ともとれる数冊のノートには、
「美絵ちゃんは言語化された形式知ではなく重厚な体験を通じて、
すばらしい身体感覚を身につけている。・・
人と対面すると過剰反応する僕らと違い、屈託もなくお喋りする様子もイケている・・
僕は美絵ちゃんのようにイケた生き方はできないし、
立身出世と名誉欲のために生きるマジメ君の生き方もできない。
かといって脱力して生きることもできない。現実鋭敏的でなければ明晰でもない。
“中間派”の僕らにとって生きることは、なまぬるい地獄だったと思う。」
といった言葉が書き留められている。・・

この遺されたノートに書かれた言葉は宮台の言葉と宮台のロジックに覆われていると藤井氏はいう。

そして当の宮台も「これは・・・昔のおれじゃないか」とつぶやく。・・

S君には失礼ながら、この文章を読むかぎり、宮台のロジックともいえないお粗末な思考に惑わされていて、
S君の切実さを表わす言葉がどこにも無いことに、わたしは悲哀さえ感じてしまう。

こんな言葉をつづるくらいなら、まだしも沈黙し通すことの方に重みがあると思える。・・

(青少年の多くは、本当に行き詰ったときには
“もう一度深く黙して、無知を恥じて、相手を認めて、堪えて学び直す”という時間をもつしかないはずです。)・・

S君の宮台をなぞった薄っぺらな言葉にはもう
自分の心の破綻を隠すために用意された仮面の役割しかのこされていなかったようです。

おそらく著者たちもまた、S君の言葉の切実さや説得力の無さに気づいて、
自らの思考の力の無さも実感させられた挙句、
“理由なき自殺”というレトリックを使うほかなかったのだとかんがえます。

ひとはこんな理屈で死ぬわけがないと、宮台もようやく思ったに違いない。
(いや? 分からないかも? )

彼がアジテーションのように若者たちに声高に語りかけた『終わりなき日常を生きろ』の言葉には、

「永久に輝きを失った世界のなかで、
将来にわたって輝くことのありえない自分を抱えながら、そこそこ腐らずに“まったりと”生きていくこと。
そんなふうに生きられる知恵を見つけることこそが必要なのではないか---」とある。・・

これほど自ら破綻した思考を臆面もなくおおっぴろげられると却って気の毒になる。

その果てに、まったりした生き方として、

「親や教師と向かい合った自分と、
パンツを売ったり、援助交際する自分を
巧みにロールプレイしながら生きるブルセラ女子高校生」を挙げ、

「匿名性社会を自在に泳ぐスキルこそ、終わりなき日常を生き抜く知恵だ」と語っている。・・

ここでは、
『そんなふざけた“生き抜く知恵”なら、坊さんの説教よりもっといらねえや!』と、
なんでS君は思えなかったのかということの方が問題なのですね。

著者たちはS君が宮台にシンクロしていたという言い方をしているが、

むしろ、S君が宮台のこのような、小賢しいスタイルに惑わされて、
危うい言説を信奉するという行動は

社会性の概念や哲学的な思考を表面的に記号として短期記憶認知しただけで、
他者に説明可能なだけの論理性、批評性を身に着けていなかったことを示しています。

すると社会不安の観念が常同的に迫るS君にあらわれる症状は、

コンプレックスの裏返しの恣意的な依存行動としての
バーナム効果や多元的無知や確認バイアスといった作為思考に翻弄されることになったわけです。

ここに、宮台のちんけな社会学風アジテーションが入り込む隙があったということです。

S君が宮台の真似をしてテレクラにはまったことを親友の渡辺君までがこういっている。

(Sは、)「自分にかぶせられたイメージを捨て軽くなり、ナンパすることによって、
いろんな人と話せるようになれば、楽しく生きられるんじゃないかと思ったんです。」・・

ここでは何が語られているのかといえば、

1・“自分の事をじっとみつめていること”・・離人症と関係妄想をあらわしています。

2・“対人緊張を解消した美化の妄想をつくっていること”・・現実解離の逃亡に向かっています。

このようにS君は心的な病理をすでに抱えている中で、

ナンパという性的関係の自己破壊を実行しようとしたことで

一層の精神の破綻をまねいたこと。

それが契機となってあらためてはげしいうつ病に陥ったということが、
自殺に到る本当の理由だとかんがえられます。

(次回に続きます。)(敬称略)
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3 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-05-10 22:16:37
ブログに書かれていること
完全に理解はできませんが
同意いたします

かつて私は宮台先生の言説を信奉していましたが
人生経験を積むにつれ
次第に違和感を感じ
彼から卒業していきました

ブログにある
無知を恥じて、相手を認めて耐えて学び直す時間を持つしかない

わたしは幸運にもこの経験を得ることができ
絶望からたちなおることができました

鋭い考察非常に興味深く読ませていただいております
返信する
痛み入ります (大木です)
2017-05-12 09:08:00
ブログをお読みいただき恐縮です。

できるだけわかりやすく書き記そうとおもっていますが、
ぎりぎりのところの概念をつたえたいので
苦戦するところです。

日頃、のほほんと生きて行きたいとおもっているのですが、

どうにも、真剣の鯉口を切らざるをえない情況にでくわしては
やむを得ず、立ち合いになってしまうことになります。

お恥ずかしいかぎりです。
返信する
Unknown ()
2017-06-29 17:12:29
なんとなく分かる気がする。あの人なんかナルシス感が信頼できない。
返信する

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