<前回からの続き>
蛇滝口まで戻り中央道の下に小さく設けられたトンネルを通る。ジグザグの砂利の敷きつめられた坂道を登り、高台に上がると裏高尾の梅林が見えた。
陽当たりのよい傾斜地で早咲きの桜の花が咲きかかっていた。
圏央道と中央道の合流地点では随分と回り道をさせられた。大きく掘られたトンネルの入り口からは絶え間なく車のエンジン音が響いている。急な階段を登り切ったところにキブシやアブラチャンが花をつけていた。
久しぶりの登りで早くも息が上がってきた。そろそろ標高が500mほどになったろうか。この辺りの木々に葉は見られず依然として冬のままだ。
それでもよく見ると春の到来は感じられる。林の間にマムシグサの葉が背丈を伸ばしていた。
日当たりの良いところではタチツボスミレが見られる。
やっと富士見台まで来た。ここで昼食にする。それにしても鄙びた道だ。まだ一人のハイカーにも出会わない。
詰の城といわれる大天守跡。
八王子城山に着いた。一帯には神社や本丸跡の祠など木造の建物が幾棟か立ち並ぶ。
二重に囲われた八王子神社。
本丸跡。
見晴らしがよい。眼下に八王子市外、遠くには都心のビル群が煙っている。
小宮曲輪、親子の狛犬が珍しい。
梅林が見えてきた。
梅の木下にはスミレやホトケノザ、キランソウなどが咲き始めている。この辺で初めて数人のハイカーとであった。
金子丸を通り過ぎ暫く下った頃、八王子城跡管理棟が見えてきた。「日本100名城 八王子城跡」の幟が数本立っている。」以前来た時は無かった見学者用駐車場が新しく出来ていた。ここから御主殿跡を訪ねる。
きれいに整備された大手門跡。
古の武将たちが行き来したであろう古道。
最近改修されたばかりの真新しい曳橋。
城の入り口に当たる虎口(こぐち)の石段。
門の向こうにはただ広い何もない広場があるだけ。今から400年以上前の安土桃山時代。城主北条氏照は前田利家に攻め立てられ、僅か一日で落城したといわれる。この御主殿跡からは7万点もの遺物が発掘され、その中には中国や遠くベネチア産のものまであった。
帰りは高尾駅まで約3kmを歩いて帰った。南浅川にかかる橋を渡る頃には夕暮れ時を迎えていた。