4月に始まったNHKラジオのロシア語講座。今日は第6課だが、すでに我が日本語脳が慌て出した。キリル文字を読むのがたいへんだし、音を真似るのもしんどい。母音にも子音にも柔らかいのと硬いのとがある。文の抑揚も英語などとはちょっと違う。今日覚えたのは「シャカラ」、英語でいえば「チョコレート」なのだが、ロシア人がどんなシャカラを好んで食べるのかは、時間切れで教えてもらえなかった。
外国語を学ぶ理由はひとそれぞれだろうが、生活文化を知りたいという学習者もいるだろう。ということで、中日夕刊の「世界の街海外リポート」でモスクワの生活事情のワンカットを教えてもらった。
特派員はいろいろなアサインメントがあるらしいが、このモスクワ特派員は産婦人科で出産を済ませた母親に話しを訊いて、赤ちゃんを抱いた姿を写真に撮らせてもらうことになったらしい。ところが母親は胸に抱いた赤ちゃんの顔を写真に撮らせようとはしない。
「生後40日間は赤ちゃんの顔を撮影してはいけない。写真を見る人の中には悪い気を持つひともいる。それが赤ちゃんに伝染してはいけないから」
というのが看護師さんの説明だったらしい。「そりゃ迷信だろう」と笑うわけにもいくまいが、ロシア人もそれこそ「気」を気にするとは可笑しい。
フィルムが一般的に出回ったのは19世紀末ごろだったはずだから、この習慣が出来たのはそれ以後のこと、ソ連時代の置き土産だったなんてことはないのだろうか。特派員氏も「ソ連時代は出産祝いにきた人たちにさえ、顔を見せなかったほどの徹底ぶりだった」と書いている。20世紀初めにも今のスマホ顔写真の無断転用と同じようなプライバシーリスクがあったのかもしれない。
このおかしな風習は発育をとりまく厳しい環境があることを物語る。改善されてきたとはいってもロシアの乳児死亡率は日本の3倍もあるから、赤ちゃんのお披露目は、ある程度順調に育ってからにするということだというのが、特派員氏のロシア人の知人の説明らしい。
スマホが日常になった今でも残るこの風習。「子は宝だ」という気持ちの表れで、子供の健やかな成長を祈る親の気持ちを特派員氏は感じたそうだ。
ちなみに、赤ちゃんのロシア語は「リェビョーノク」だそうだ。