5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

差別するドル

2008-05-28 22:18:20 |  経済・政治・国際
外国紙幣でやはり馴染みのあるものといえばアメリカドルだが、いつものVOAポッドキャスト、5月23日放送分で、「ドル紙幣が盲人に対する差別にあたり、連邦政府は紙幣の変更について考慮すべき」とした最近の連邦控訴裁判所の裁定について放送している。

紙幣は1ドルから100ドルまで7種類が発行されているが、横15.5cm×縦6.6cmの同じサイズ、同じ触感のため、触っただけでは区別がつかない。そういえば、すべてが同じサイズの紙幣を発行しているところはアメリカ以外にはないのではないだろうか。たまの旅行者としては、支払を急ぐときなど、幾らの紙幣を持ったのかを間違えることがあるから、この裁判長も経験者だったのかもしれない。

この裁定は、2006年に「紙幣のデザイン変更にはさほどのコストはかからない」とした下級裁判所の裁定を追認するものだが、連邦政府は、全国でドル収受をおこなうマシン変更に伴う問題もおおきいと積極的ではないようだ。

全米の全盲人口は100万人以上、これに弱視などのハンデを加えれば数百万が何らかの視覚障害をもっているのだというから、人権差別だと言われても、反論する根拠はあまりなさそうだが、連邦政府は裁判官へのヒアリングを実施した後に、最高裁上告の是非を決めるということだから、まだしばらくはグリーン紙幣が流通することになる。

それでも、多少は気にする部分もあってか、今年の3月に新札が流通しだした5ドル札の裏面は、それまでよりも大きい数字の5が印刷されるようになっているのだそうだ。エンボス位なら出来たようにも思うが、コストのかからぬ印刷で逃げたわけか。

特殊インクの多色刷り、エンボスやすかしなども多用する日本円の紙幣加工技術はなかなかのものなのだろう。いいチャンスだから、銀行テラーからスーパーレジ、はては偽札感知器まで、優秀な日本のお札検知技術もあわせてアメリカに売り込みをかけるというのはどうだろう。

「基軸通貨の新価値は新しいドルデザインでアピールしよう」という自販機大国の首相メッセージをこんどの新大統領はよろこんで聞くだろうか。



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